NHKBS放送でやっている『ハイビジョン特集「帝国劇場100年」』が気になりながら観る機会がなかったが、今日ようやく
「名作 あの舞台」●「ぼく東綺譚」
演出:佐藤浩史 脚本:菊田一夫 原作:永井荷風 出演:浅丘ルリ子/藤間紫/加賀まりこ/田中健/仲谷昇/宮崎淑子を観ることができた。
といってもこの舞台が特別観たかったわけではなく、観たいのは「屋根の上のバイオリン弾き」「レ・ミゼラブル」「ラ・マンチャの男」などミュージカルだが、「ぼく東綺譚」もよかった。舞台はストーリーよりも、役者の芝居と場面で見せるものと思っている私は、「ここで体を売るということは、市場で豆腐を売ることとおなじなんだ、豆腐がいちいち客を選ばないこととおなじなんだ」という、蓮っ葉な女郎を演ずる加賀まりこ、お人よしだがノー天気な女郎の宮崎淑子など脇の好演が、ヒロインお雪を演じる浅丘ルリ子の美しさを際立たせる。
もう10年も前の舞台だろうか、まだ健在の藤間紫が演じる女郎屋のおかみの、情にもろい内面を隠しながら、土地のヤクザと渡り合う口説と、胸のすく啖呵が舞台にひびき、芝居を引き締める。お雪の相手役に起用された田中健の芝居はまだ生固い印象だったが、ひさしぶりに仲谷昇の好演も堪能できた。

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