某ネットで「川柳の世界でストレートに性を扱った句はあまり見かけないような気がします。俳句のほうがむしろ、あけすけに詠んでいるケースが多いのです。これは何故だろう?と不思議に思っています。」という投稿があった。おせっかいな私は早速これに反応した。
古川柳といわれていまも脈うつ江戸川柳では、エロスはお家芸でもあった。その古川柳の表芸が『誹風柳多留』なら
http://www.geocities.jp/kojifuji55/01_01.htm
裏芸は、江戸庶民のおおらかな性を詠った『誹風末摘花』がある。
http://tokaido.canariya.net/hr03/suetumuhana/senryu2_1.html
恋の闇下女は小声でここだわな
ぬけるまで置けば女房も機嫌なり
とんだ下女寝てする事を立ってする
ひん抜いて殿様直ぐに湯であらひ
したくない顔をしている奥女中
『誹風柳多留』と『誹風末摘花』。この二つを知らずして川柳は語れない。
さあさあお立会い、頬をほんのり朱に染めて、江戸時代の性の祭典、エロスをとくとご覧あれ。
テレビのホームドラマ的川柳、毒にも薬にもならぬ日川協的川柳がもてはやされる時代だからこそ、これらの句(古川柳全般。エロスを奨励しているわけではない)をもう一度見直さなければ、苦味のない川柳は(私ごと川柳)としてやがて衰弱してしまう。

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