いま国民や企業の間に自粛ムードが広がっているという。歓送迎会の中止にとどまらず、結婚式の延期も続出。企業CMも大幅に減った。結婚式の挙式や披露宴の延期、東京都の石原知事は上野の花見の自粛を求めているというニュースもあった。バカ騒ぎは控えるぺきだが、バカ騒ぎを想定して花見を自粛せよというのはかつては文学者であった知事の発言とは思えない。「バカ騒ぎは自粛してほしい」としておけば、都民の常識をもってすれば、「花を愛でる」という花見本来の姿に戻るのではないか。
このように、何でも自粛すればいいという安易な考え方は、海外でも不思議な現象ととらえられているらしく、米紙ニューヨーク・タイムズは28日付で「津波後の日本は自粛という新たな強迫観念に襲われた」との見出しの記事を掲載し、「自粛をする側を何か良いことをしているという気分にさせる安易な方法だ。しかし、当人たちは実際にどんな効果をもたらすかはあまり考えていないようだ」と論評、いや酷評している。
自粛とは自分の行動や態度を慎むという精神性であって、中止する・取りやめる、ということではないと思うのだが、自粛という形を見せることによって「いいことをした」という自己満足、あるいは自己欺瞞である場合も少なくないようだ。
そして自粛現象が日本の経済をさらに停滞することに、とくに日本経済のカギを握っている 政・財界は気がつくべきだ。

7