
句集『魚命魚辞』著者・渡辺隆夫 序・守田緑郎 跋・堺利彦 発行所・邑書林 定価2100円(税込)
魚命魚辞、また勅語かと朕びびる
ブリューゲル父が大魚の腹を裂く
国後の狐羽子つき海苔師泣く
パリの夜はフレンチカンカンぞなもし
ウンコなテボドン便器な日本
スリッパに喘息発作きたぞ春
棺の窓あけろよ姉ちゃん桃の花
エロ・グロ・ナンセンスを駆使して、文明批評も、社会性も世界観も、すべてナンセンスな世界へ引き倒してしまう力技。その力技に喝采する読者もいれば、眉をひそめて横を向く読者もまた、嫌がりながら渡辺隆夫の名を覚えてしまう。そうればしてやったり、隆夫の思うつぼなのだ。

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