
「言伝」のキャラクター。イラスト小笠原尚子(武蔵野美術大学卒・卒業後、高松市立美術館にて個展開催・アートSUH会員)
新しい場所へ行けば新しい出会いがある。初対面の詩人であっても、川柳であっても言葉をもって表現するもの同志はすぐ和やかな仲間になれる。特に「詩人会議」に所属されている「くにさだきみ」さんに詩集をいただくなど親しくさせていただいた。
今日、岡山市「吉備路文学館」であった詩の朗読会「言伝」は出演者・観客あわせて40人ぐらいか。用意していた椅子がほぼ埋まったことから、もう少しいたのかも知れない。もう朗読馴れしてしっかりと笑いをとる芸人のような詩人もいれば、おなじ笑いでも毒を含んだブラックユーモアもある。しかし、「朗読は初めてです」と消え入りそうな声には、こちらが手に汗にぎって応援したくなるし、一番大きな拍手が送られていたようだった。
私は予定していた「てのひらの義眼」の前に、短い即興の詩(?)を入れて二部構成にした。
第一部「老人の呟き」
国家はかつて
「若者は死んでください国のため」と
スローガンを掲げ
多くの若者をころした
神風特攻隊とうつくしく飾られた死
そしていま国家は
「老人は死んでください国のため」と
スローガンを塗り替えて
ひそかに
増え続ける老人の
間引き作業をはじめたようだ
ただいま現在
百歳以上の老人の行方不明者283名
・・つぎは私でその次はあなただ
※283名は正しい数字ではありません。
第一部はともかく、第二部にはそれなりに気合を入れた。
第二部「てのひらの義眼」は、小説「沼に舞う」の作者、江口ちかるさんの了解を得て、小説の一部と、私の川柳のコラボレーションを試みたもので、「不思議な言葉の世界に耳を澄ました」「言葉の一つ一つが意思をもって躍動している」「川柳を読んでみたい」などと嬉しい評をいただいた。
BGMのピアノ曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」も好評だった。勿論、選曲は私ではない。驚いたことに私以外はみなBGMなし。あとで何人かが「私らもBGM用意すればよかったね」と。

6