選んだ句。
昼寝覚ひきずって来た水平線 麦子
ハエダタキ妻との距離をちぢめけり 礼子
どくだみに囲まれ冷えてゆく受話器 麦子
絵筵の下に延長コードかな 悠詩
蝿叩き叩き具合を確かめる みつ子
◎五月雨や弓道場のメロンパン 悠詩
去年の秋頃だったか、あるいは五月雨の頃だったか。岡山市の市街から少しはずれた古い町並みの通りすがりに、ぼんやりと明りのついた建物があり人の気配がする。そおっと覗いてみたら弓道場だった。何人かが袴姿で弓を絞っている。不意の闖入者を振り向いたが気にするふうもなく、黙々と遠くの的に矢を放つ。そして満足げに頷いている。その足元に何か夜食のつもりか紙袋が置かれていた。それがメロンパンであったかどうか・・。とにかくその情景を思い出しながら◎にした。
選ばれた句。
配偶者控除はずれる蝿叩き
抱くときにやや不具合な蝿叩き
蝿叩きぽつんと被告控室
蝿叩きさううつくしく輪廻せよ
上記3句が高得点だったのは意外な気がしたが、「蝿叩き」という課題と「配偶者控除」「抱くとき」「被告控室」の言葉の距離が面白がられたようだった。

会場玄関前のシンプルなオブジェだが、この水色に案内されるように玄関にたどり着く。

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