『鎌倉擾乱』読了

2021/1/12 | 投稿者: 鹿苑院

2001年の映画、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』はゴジラが悪役であり、珍しくキングギドラが善玉だった。
白目を剥いて感情というものが一切窺い知れないゴジラは憎らしいほど強く、映画館の大スクリーンでキングギドラとの決戦を見守った僕は「ゴジラ、死ねー!」と念じたものだ。それでもゴジラは死なずキングギドラを打ち破った恐るべき強さだった。


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さて、タイトル通りにこの本を読み終えた。三本立ての中編集。そのうちの一編は平頼綱が主人公である。
北条時宗に仕えるしがない御内人でありながら、安達泰盛の引き立てを受け出世の糸口を掴む。時宗の死後は恐るべき野望を胸に秘め、恩人の泰盛を殺して幕府の実権を握り粛清の嵐を吹かせる恐怖政治を行う。
恩人を殺して出世するのは斎藤道三に似ているし、恐怖政治はロベスピエールに似ているのだが、何故だろう、その二者に見られる颯爽とした英雄性が頼綱にはまったくないのだ。ただただ陰惨で憎らしく、刺客に襲われる場面でも難を逃れて死ななかったのを舌打ちしたくなる思いにすらなった。

悪役主人公をそこまで憎むのは、実はその本が面白いことの証だと言っていい。
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』も僕的にはゴジラシリーズで5本の指に入れる。
悪役主人公を憎んでいる時点で、作者に見事に一本取られているのだ。そんな作品に出会えるのは幸運なことである。
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