八股文と高校数学

2019/1/31 | 投稿者: 鹿苑院

王朝時代の中国の官吏採用試験である科挙には八股文という特殊な文体が使われた。マスターするのが難しいが、科挙をパスする以外には使い道がまったくなく、使いこなせたからといって優秀な官吏となる能力があるということにもならない。
清初の大学者・顧炎武は「八股文は焚書坑儒より酷かった」と論じている。秦の始皇帝の焚書坑儒により生き埋めにされた儒者は460人に過ぎないが、八股文によって官吏になる道を絶たれた者は数知れないという理由である。

ここで考えてみると、現代日本人は王朝時代の中国人をまったく笑えないことに気づく。大学受験をパスする以外に使い道のない高校数学によって医学部受験に失敗し、医者になる道を絶たれた者もまた数知れないからだ。してみると人間社会の愚かさというのは時代が変わり所が変わっても簡単には改善されないものだということがわかる。

高校数学に関して、「こんなものが何の役に立つのか」と言った生徒に対して「こんなものすらできない奴が何の役に立つのか」と言い返した教師の話が上手い切り返しとして讃えられているのを読んだことがあるが、その言い方はもっと誰でもできるような簡単な物に対して用いるべきで、高校数学というのはそんなに簡単なものではない。その言い方を適用するにはあまりに難し過ぎる。その証拠に大学受験さえパスすれば理学部や工学部にでも行かない限りみんな忘れてできなくなるではないか。しかもそれで困ることもほぼない。

顧炎武を真似て言わせてもらうなら、さしずめ「高校数学は医学部の不正入試より酷かった」とでも言うべきか。
0



コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ