「西郷どん」がヒットしない訳

2018/9/17 | 投稿者: 鹿苑院

大河ドラマ「西郷どん」の評判が極めて良くない。個人的にはまあまあ面白いと思っており、何故そんなに厳しい評価が飛んでくるのか、ぐらいに思っていたが、先週と今週を見ると「ああ、なるほど。これは不出来だ」と思わざるを得なくなった。

ひたすらに民のためを思い、戦を嫌う平和主義者だった西郷が武力倒幕論に転換した理由として、徳川慶喜がフランスから援助を得る見返りに日本の領土(できれば薩摩)を割譲しようとしているからだとドラマではなっている。
無論、そんな事実は無い。鳥羽伏見の敗北後、さらに挑めば勝てる可能性は充分にあったにも関わらず慶喜公が徹底恭順を貫いたのはひとえに、内戦に乗じた外国からの干渉を避け、日本の国体と領土を護持しようとしたからに他ならない。これほど我が身を犠牲にして日本を守った大君のどこをどう突つけば売国奴になるのか。甚だしい改竄である。

こういう無理な捏造をしてまで慶喜公を悪者にせねばならないのは、そうでもしなければ平和主義者だった西郷が武力倒幕論者になる理由が説明つかないからであろう。
断っておくが史実の西郷は平和主義者ではなく、最初からタカ派である。明治維新後も例えば征韓論で韓国に武力行使しようとしているし、不平士族に応えるための手段は西南戦争を起こす以外にもやりようはあっただろう。西郷という人物は武力行使を選択肢の割と上位の方に持ってくる好戦的な人物だと考えて間違いは無い。

要するに、ヒットしない大河にありがちな「主人公を無理矢理、現代の価値観に合わせた平和主義者にする」というパターンを「西郷どん」も踏んでしまっているのだ。
主人公が平和主義者でないと具合が悪いというのなら、史実でも平和主義者だった人物を選んで主人公にすれば良い。西郷のようなタカ派の人物を主人公に選んでおきながら平和主義者であるかのように描くというのは、「上品でまったくエロくないAV」を撮りたいというのと変わらない矛盾だろう。AVを見る人は下品でエロい物を見たいのであって、そのニーズを無視して良い子ぶった作品が高い評価を得られる筈はない。
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