KYを貫く勇気

2014/10/25 | 投稿者: 鹿苑院

小田原陣でのこと。豊臣軍の進軍路に谷川に架かった細い橋があった。やがて徳川隊が渡る番になった。意外に思われるかもしれないが家康公は個人武技においても戦国トップクラスの腕前で、馬術もお手の物。海道一の弓取りはどんな見事な馬術を見せてくれるのかと諸軍が期待して見守った。

すると家康公、ためらわず馬から降り、しかも家臣の中から力自慢の者を選び彼に背負われて渡った。これを見ていた他家の足軽たちは「なんだよあれ。本当はたいした腕前じゃないんじゃねーの」と笑った。

この家康公の行動は現代の言葉で言えばKYである。空気を読まずに場の盛り上がりを台無しにしている。しかし足軽は笑っても、大名クラスの者になると反応は違った。
「さすが徳川殿だ。真の名手は無駄な危険は冒さないものだ。まして大切な戦の前。無意味な見栄のために怪我をしては目も当てられない」

考えてもみてほしい。空気を読んで場が盛り上がってもそれはその場限りの一瞬のことに過ぎず、それ以上のメリットは無い。そして失敗して怪我をすればしばらく苦しむことになるし、打ち所が悪ければ死ぬこともある。
成功しても得はゼロで、失敗すれば損が大きいのなら、そんな空気は読まずに無視するのが正しい。
危険を冒して、自分を犠牲にして、さらに誰か(多くはいじられ役と呼ばれる人)に迷惑をかけてでも場の盛り上がりを大切にするべきだと思うのなら、あなたはテレビの見過ぎである。自分たちの集まりはバラエティ番組ではなく自分がタレントでもお笑い芸人でもないことを自覚した方がいい。

この考えを持っていたためにお笑いブーム真っ只中の大学時代にはKYの名を欲しいままにしたが、後悔はしていない。
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