アメリカ合衆国皇帝ノートン1世

2013/9/28 | 投稿者: 鹿苑院

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アメリカに皇帝がいたことは知る人ぞ知る事実である。名はノートン1世。ノートンはファミリーネーム(姓)であり、これに1世と付けるのはおかしい。このちぐはぐさから想像できるように、彼は正式なアメリカ皇帝ではなくただの誇大妄想患者である。日本で言えば又吉イエスみたいなもんだろう。人柄は温和であり、彼の提案する政策にはまともな物も多く、後に実現されたものもある。

又吉イエスがそうであるように、ノートン1世も民衆から面白がられ、愛されていたようだ。暮らしは貧しかったのだが、彼は構わず最高級レストランで食事をし、金を払わず出ていく。店は快く送り出し、「合衆国皇帝ノートン1世陛下御用達」と看板を掲げ、それが売り上げ上昇につながる。
鉄道会社は食堂車での代金を彼に請求したが、市民が鉄道会社に抗議をしたため、結果的に鉄道会社がノートン1世に金色の終身無料パスを献上して謝罪している。
劇場は彼が貴賓席に着席するまで幕を開けることはなく、皇帝の来臨がアナウンスされると観客の全員が起立して彼を迎えるという対応。
また彼は独自に紙幣を発行していたがこれは地域社会でなんら違和感なく承認され、通用していた。
彼の軍服が古びてくると「御座所」のサンフランシスコ市当局から新しい軍服を買えるだけの費用が献上されている。

なにしろ貧しい暮らしだったので崩御の際に彼の遺産を探ってもまともな葬式ができる金は無かったが、ビジネスマンによる団体、パシフィック・クラブが資金集めに奔走し、実現した盛大な葬儀には3万人の市民が詰めかけ、「資本家から貧民まで、商店主から泥棒まで、身なりのよいご婦人から卑しい出自だと見た目でわかる者たちまで」誰もが皇帝との別れを惜しんだ。

崩御を報じるニューヨーク・タイムスの記事が良い。
「彼は誰も殺さず、誰からも奪わず、誰も追放しなかった。彼と同じ称号を持つ人物で、この点で彼に立ち勝る者は1人もいない」
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2013/9/30  13:32

投稿者:鹿苑院

そう、なぜか魅力のある人物ですよね。彼を愛して付き合い続けたサンフランシスコ市民の粋にも拍手したいです。

2013/9/28  19:17

投稿者:tenjin95

> 管理人様

初めて、彼のことを知り、色々な資料を読んだ時、不意に滴涙したのを思い出します。こういう話があるので、世界史の勉強は止められないんです。

http://blog.goo.ne.jp/tenjin95/

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