前回の予告通り、今回の
『エヴァで多くの人が気付いていないこと その4』では、
エヴァの7番目の機体について説明したいと思います。
この、エヴァの7番目の機体に関しては、
『6番目の機体(Mark.6)と8番目の機体(8号機)が登場しているのに、その間の7番目の機体が登場していないのは何故?』
という様な意見が散見されます。
つまり、こんな感じ↓でしょうか?
でも、私からすれば、
え?登場してるじゃん?
という感じです。
なので今回は、その点について詳しく説明したいと思います。
・・・
まず、『破』において加持リョウジがこんなこと↓を言っています。
加持リョウジ 『数が揃わぬうちに初号機をトリガーとするとは・・・』
ここで、このセリフの意味は、
『エヴァの数が揃ってない状態でサードインパクトを起動する気ですか・・・』
ということだと思いますが、ポイントとなるのは
『揃う』という動詞の意味です。
これ、以下のように例文を並べると判り易いのですが、
『シールが10枚必要なのに9枚しか揃っていない』
『シールが10枚必要なのに5枚しか揃っていない』
『シールが10枚必要なのに2枚しか揃っていない』
この三つの例文は、全て文章として意味が通ります。
しかし、次の文章だとどうでしょうか?
『シールが10枚必要なのに1枚しか揃っていない』
おかしいですよね?
1枚しか無いんだから『揃う』という動詞が出てくると違和感バリバリなのです。
つまり、1枚の場合は、
『シールが10枚必要なのに1枚しかない』
とするのが自然なのです。
何が言いたいかと言うと、
『揃う』という動詞は、対象が1つの場合には用いないんです。
・・・
話を戻します。
つまり、加持リョウジが上の状況↑を見た上で、
『数が揃わぬうちに初号機をトリガーとするとは・・・』と言ったということは、
『エヴァの数は足りないけれど、1体では無い。』と認識していることを意味しているんです。
しかも、この時点で、零号機は捕食済みで2号機は完全に機能停止状態です。
ということは、どう考えても、加持リョウジは
こいつ↓をエヴァとしてカウントしているんです。
(以下、説明の便宜上、こいつ↓のことを巨大レイと呼びます。)
どうです、今回は流石に信じられませんか?
でも、この巨大レイをエヴァとしてカウントすることは変な話では無い、むしろ、
よーく考えてみると自然なことなんです。
だって、この巨大レイって
『零号機』が丸々1体分含まれているんですよ?
それならば、エヴァとしての資格を満たしていることは明らかです。
(※え?足が含まれていないって? あんなの飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ。)
その一方で、
『第10の使徒』『レイ』も取り込んだ上で外観形状が
『レイ』の情報で上書きされていることを考慮すると、
この巨大レイは、エヴァであるとしても『零号機』とは完全に別物、むしろ『レイ』をエヴァ化したような存在と言って良いのではないでしょうか。
ということで、
『零号機』『第10の使徒』『レイ』を含んで生まれた巨大レイを、新たなエヴァンゲリヲンと認識するのは
至極自然なことだと思いませんか?
そして、このシーンでは、重要なポイントがもう一つあります。
それは、
登場人物達の全員が巨大レイの出現に驚いていない
ということです。
要はですね、
『形状崩壊した使徒の残骸が集まって何故か巨大なレイが出現する』という
普通の感覚からすれば理解不能な場面を見たのであれば、
『あれは一体何?』
『レイ・・・どうして?』
『何が起こっているの?』 等々・・・
といった感想が登場人物の口から洩れると思うんですよ。
でも、実際はそうではなく、登場人物が語るのは初号機のことばかりで、
巨大レイに関しては面白いくらいに完全スルーです。
何故だと思います?
それは、
巨大レイに似たものを見慣れているから
ではないかと私は考えています。
この点はかなり重要なのでちょっと解説します。
・・・
まず、『破』のこのシーンでゲンドウがこんなこと↓を言ってます。
ゲンドウ 『Mark.06の建造方式が他とは違う』
このセリフ、よーく考えてみて下さい。
Mark.06の建造方式は、画面を見れば一目瞭然ですが
エヴァ本体(肉体)の表面を装甲で覆う形となっています。
でもそれって、私たちの知っているエヴァの建造方式そのもの、つまり
TV版や旧劇場版のエヴァの建造方式↓と同じですよね?
・・・そう、実は疑問に思わなければいけないのは、
新劇場版のエヴァ(零号機〜仮設5号機)の建造方式の方なんです。
しかし、新劇場版では、Mark.06以外のエヴァの建造シーンは出てきません。
ですが、それを推測する材料は散りばめられています。
・・・
ここで、話を判り易くするため、まずはTV版の19話で初号機が覚醒するシーン↓を確認してみましょう。
このシーンにおいて初号機は、第14使徒(ゼルエル)を取り込む(捕食する)ことで覚醒し、人にかけられた呪縛としての拘束具(装甲)を自ら解いていきます。
つまり、
TV版のエヴァの身体と拘束具(装甲)は別物ってことの再確認です。まぁ、当たり前の設定ですよね。
・・・
その一方、『破』で初号機が覚醒するシーンではどうだったでしょうか?
『破』でも、初号機が巨大レイ
(第10の使徒を含む)を取り込むことで覚醒するまでの流れは、大枠としてはTV版と同じと言って良いでしょう。
しかし、そこから後が
決定的に異なります。
・・・わかってもらえましたか?
つまり新劇場版の初号機は、驚くべきことに
『形状変化のリミッター』が消えた状態では身体と装甲の区別が無く、装甲も含めて全身の姿が一気に変化しているんです。
以上のことから、新劇場版のエヴァ
(零号機〜仮設5号機)の建造方式が以下の様なものであると導かれるんです。
@人型の巨人を用意
Aエヴァの形に変化させて『形状制御のリミッター』で形を固定
Bできあがり
どうです、簡単でしょう?(笑)
つまり、私の考えが正しいのであれば、先ほどのシーンの登場人物達は、
エヴァの本来の姿である人型の巨人についても良く知っているはずなんです。
そして、巨大レイは、正にその
『エヴァの本来の姿である人型の巨人』に似た姿形をしているのではないでしょうか。だからこそ、登場人物達は誰一人として驚いていないんです。
だって、見慣れているんだもん。
・・・
それに、この考えは、『破』のあるシーン↓の謎を解き明かしてくれるんです。
マヤ 『今だって、初号機優先での修復作業です。』
でも、このシーン↑の修復作業って、
横たわる初号機の周囲で3つのリングがゆっくりと回転しているだけなんですよ。
パーツを換装したり修復したりといった様子は微塵もありません、というか、そもそもそんな作業をするスペースすら見当たりません。
なので、本来なら
『そんなんで修復できるの?』という感じなのですが、エヴァの身体を装甲ごと形状変化させることが常識の世界であれば、むしろ、こんな修復作業風景の方が理に適っているのではないでしょうか。
実際、このリングには
『DANGER WARNING KEEP CLEAN』と書かれているので、エヴァの形状を制御するためのエネルギー的な何かを照射する照射源じゃないかなーと思っています。
(照射源って、きれいにしておかないと自らが照射するエネルギーで焼き付いちゃうんですよ)
<2020/4/25追記>
尚、『破』の画コンテには、映画には使われなかった
こんな単語↓が登場しています。
新劇場版のエヴァ=再現型エヴァ
これ、アニメ版や旧劇場版のエヴァこそが本来のエヴァであり、新劇場版のエヴァ
(Mark.06は除く)は、
元々はエヴァでは無い存在に対して形状制御のリミッターをきかせることで、エヴァの形を再現しているってことを示しているんじゃないでしょうか。
だとすると、私の考えはドンピシャじゃね?
・・・
では最後に、巨大レイがエヴァである証拠を示しておきます。
『破』において、初号機、Mark.06、8号機の頭上に輪が形成される描写があります。
この輪は、エヴァが何らかの励起状態になったときに発生するものと思われますが、原則として、
エヴァ1体につき輪が1つという関係になっています。
しかし、『Q』において、ヴンダーが初号機を主機(メインエンジン)として起動したときには
二重の輪↓が形成されました。
このときの初号機は、『破』で巨大レイを取り込んだ後の状態なので、
初号機の分の輪と巨大レイの分の輪が重なって二重になっていると考えることができます。
つまり、
この二重の輪が巨大レイがエヴァであることの証拠なんです。
・・・
という感じで長々と説明してきましたが、
巨大レイがエヴァであるという私の考え、どう感じたでしょうか?
また、新劇場版におけるエヴァについて、良い感じに今までの固定観念が崩れつつあるのではないでしょうか。
実は、その認識を持って頂くことも、今回の目的の一つだったんです。
・・・
ちなみに、この巨大レイ、Mark.06の次の登場で、世界A側で建造(発生?)した形となっているので、ナンバリングとしては、
エヴァ7号機
が妥当かなと思います。
・・・
ということで今回はここまで。
次回の
『エヴァで多くの人が気付いていないこと その5』では、エヴァのナンバリングの続きとして、
エヴァの10・11番目の機体について説明したいと思います。
ではっ!