「日本秘湯に入る会」の仲間で作った激渋温泉本「この温泉が好きだ!」の売れ行きが好調だ。11月26日(いい風呂の日)の発売からちょうど1ヶ月、驚いたことにすでに3刷が決まっている。年間7万冊の新刊が出る中で、増刷になる本はほんの一握り。今、本を買う人少ないもんね〜。そんな中での3刷は驚異的(^^v 有り余るほど出ている情報のみの温泉ガイドブックとも、お偉い温泉評論家の懇意な温泉宿の紹介本とも違う、単なる温泉好きの潔い紀行文というところがうけているのかもしれない。
北与野駅近くの巨大本屋さんの「書楽」を見ていて、ふと「この温泉が好きだ!」があるかなぁ〜?と温泉本エリアに足を運んだところ、な・な・なんと!旅&温泉本エリアのフロントの平台に、5冊ほど平積みされているではないか!今まで本屋さんで見かけると、棚から出して勝手に平積みにして目立つように置くという地味な販促活動をしていたのに、この晴れがましい姿(TT)うう感激!星の数ほどある新刊の中で、目立つ平台を得るのは至難の業なのに…。
真夏のくそ暑いさなかでの取材が思い出される。秩父の菅沼館では気温37℃というあまりの暑さに頭痛がおさまらず、女将さんが用意してくれた氷枕に30年ぶりくらいにお世話になった。栃木の紅葉荘からの帰り道では、台風のあおりのドシャ降りに遭遇して泣きながら山道を走ったっけ…。横浜の中里旅館では周辺の竹やぶで蚊に10数ヶ所刺されまくり、再度駅まで友人を迎えに行くと告げた時に出てきた仲居さんが、
「あらあら、また蚊のえさになっちゃうわねぇ〜。ちょっと待って…」
と言って虫除けスプレーを持って来てシューシューとつけてくれたのが嬉しかったなぁ。
そして猛暑にもかかわらず嫌な顔ひとつしないで、マイナー温泉に付き合ってくれた温泉一般人の友人にも心より感謝したい。露天での初アブ体験は、さぞかし怖かったことでしょう。普通の人は、あんなバカ暑い時に温泉行きたくないよね(^^;
実はこの時期、取材の時間を取るのがけっこう大変で、かなりスレスレで出かけていたのだが、今となってはやれる時に無理してでもたずさわっておいて良かったと思っている。自分の好きな場所で感じたことが活字になって多くの人の目に触れ、そこでまた人と人、人と物の新たな展開が生まれるのは書き手の喜びだ。綺麗でお洒落な温泉でくつろぎたいという人には不向きな本だが、静かな本物の秘湯で人の温かみに触れたいという旅慣れた人にはお勧めの1冊。見かけたら、チラリと覗いてみて欲しい。
日本秘湯に入る会→
http://www.hitou.net/


