ホテルの朝食を平らげ、須磨の大御所の車で鍬渓温泉へ向かう。ここは「この温泉が好きだ!」にも載っている、本物の温泉バカが一押ししている秘湯だ。鉄ちゃんしながら自力で行くつもりであったが、朝一の電車で行く1往復しかチャンスが無かったので、この大御所のお心遣いは本当にありがたい。道々、いろんな話をしながら目的地を目指す。人生の先輩のお話は胸に残るものが多く、これもありがたい限り。
途中からいきなり里山に入り、その道端に唐突にプレハブ小屋が現れた。須磨の大御所の後について料金を払い、源泉を見る。湧出量が多くないため、毎日の営業はしていないとのこと。加水すれば毎日できちゃうんだろうけど、これぞ正しい温泉の姿ですなぁ(^^ いよいよ待望の鍬渓温泉に入浴だ。仮設に毛の生えたような浴室へ踏み込むと、先客はチャリで来たばーちゃんとでっかいおばちゃんふたりのみ。埼玉から来たというと、ばーちゃんの話が止まらない。鉄分の多い有馬の金泉に似た湯が満たされたポリ浴槽で手足を伸ばし、とうとうここに来られたなぁという感慨にひたりたいが、ばーちゃんの機関銃のようなしゃべりがそれを許してくれない(0^; じわじわと濃ゆい温泉の成分も効いてきた。そろそろ上がろうとすると、ばーちゃん一言。
「あれーもう上がるの?早いでー。もっとあんじょうあったまらんと、来た意味無いでー」
もう、いっぱいいっぱいです。許して下さいまし。
真っ赤なホッペをしてプレハブの休憩所へ入ると、おっちゃんの一団がすでに朝から宴会モード。
「おお!ベッピンさん来たでー。こっち来て一緒にどうやー」
目の端に何やら肌色の動くものが…?何?うう、ラクダのももひき姿のおっちゃんだ!大御所いわく、
「ここは、ほんまもんの‘ふだん着の温泉’やろ」
いえいえ‘ものスゴクふだん着過ぎる温泉’と呼ばせていただきましゅm(。.)m 入り口には、ここのドンである布袋さんのような風貌の会長が、居眠りしながらドッカと座っている。せっかく来たので会長にご挨拶をと思って近づいて行き、記念写真をお願いしたところ快くOKしてくれた。隣に並んだ瞬間、膝の上に乗っけられ左胸にグローブのような感触が…?! グェッ!会長が胸をわしづかみ(><)会長、思い切り揉んでますけど…。あまりのストレートな行動にグゥの音も出ず降参。
「大長老の布袋さまに胸揉まれたら、何かご利益あるかも?」
と前向きに考える。いやぁ、忘れられない思い出となりました(0^;会長はその後で、
「あんた旦那おるんか?明石の研究所に勤めてる、男前のええのがおるのや。あんた愛嬌あるし温泉好っきみたいやし、嫁に来んか?ここに住所と名前書いとって」
「ここに3回来たらご縁があると思って、その時に釣書き持って来ます(汗!)」
と大きな手と握手しながら約束した。
ここでのもうひとつの目的が、250円の激安定食。ご飯、味噌汁、ポテトサラダ、野菜の煮物小鉢、お漬物が付いてこの値段だ。今日は絶品のかま飯があるということでご飯をかま飯に代えてもらって、350円の特別定食にしてもらった。どれも手づくりの深いお味で素晴らしく美味しい。この定食以前は150円だったそうで、値上げに際しては常連さんからの大ブーイングがあり、その代わりにおでんを値下げさせられたとか。う〜ん、さすが関西!このご近所ノリは、素晴らしく「ほんやら」した気持ちにしてくれる。温泉好きがここにはまるのがよくわかった。隣にあるマッサージ処も気になるが、次回の楽しみに取っておこう。後ろ髪引かれつつ、そこだけ異空間のような鍬渓温泉を後にした。(つづく)
鍬渓温泉→
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この温泉が好きだ!→
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