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2011/3/20

メタボラ  お題

大地震以後、何となく毎日が落ち着かず、テレビやラジオにかじり付いていた。
読書の習慣がどんどん遠のいてゆく。
そんなわけで何か面白い小説でも読もうと思って桐野夏生の「メタボラ」を読んだ。

この小説は、2005年11月〜2006年12月 朝日新聞に連載されたものなので、それなりの分量がある。
でも私は2日間で読み終えたので、面白かったのだと思う。
「思う」というのは、多くの桐野の小説には人間の業の深さが描かれていて、それ故不快な気分になることがある。
ネット自殺、家庭崩壊、風俗産業、若者の低賃金労働、不法労働、価値観の多様化から生まれる性の倒錯。
しかし、それは荒唐無稽な作り話ではなく、私たちの平穏な生活の中のすぐそばに横たわっているものである。
そんな不快な現実をみせつけられた時どうしてもページをめくる指先が鈍ってしまう。
また、桐野夏生の小説でよく言われることだが、終わり方がなんとなくサッパリしない。
この小説もまったくサッパリしない。でも、私にはラストシーンは泣いていた。
「ズミ、ズミ、上等」(ズミ=済み)
ジェイクのこの言葉の通り所詮不条理な悲しみや憎しみは、深く追求せず乗り越えてゆかなければ生きていけない場面も沢山ある。

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朝日新聞社刊¥2000(古書¥100より)



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