次の朝タロは、目をさまして「あやまりに行こう」
といって起きました。タロはかべにある一つのぼうし
をながめました。麦わらぼうしはこんがりと焼けて
ぼうしのへりはほつれています。リボンはこん色でした。
(こんなのあの子にあわないよ。)
じぶんがかぶり女の子の家に行こうとドアをあけました。
ドアの後ろへ何かがふわりとおちました。
タロはびっくりして胸がドキンとなりました。
イナの川をながれていった麦わらぼうしでした。
胸にかかえました。お日さまのにおいがしました。
麦わらぼうしはきれいでした。
(すぐひろってくれてとどけてくれたのです。)
タロがよんでも出てきてくれなかったすばやいクルリ
を思い浮かべました。
「そんなことするのはカモのくるりのほかにいない。」
タロは笑いました。
ああああああああ!夢のようでした。
(クルリのことをうらんで悪かった。)
とタロは思いました。しっかりぼうしをかかえていました。


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