タロは疲れて家に帰ったら(お水を飲んで昼寝しようと!)
そう思い、やっと家にたどり着きました。
タロは裏の木陰にハンモックをつりました。ネネおばさんにもらった
本をもってハンモックに入りました。
タロの真上には灰色雲が浮かんでいます。
虫の声が聞こえてきます。木の間から陽の光がたくさんのペンライト
明かりのように揺れています。タロは時々「ひャッ!」
と言ったり自分の声に驚いたりして、夢中になって読んでいました。
時々ペンライトの明かりがぼやけて虫の声が
が遠のいたり近づいたりします。タロのおなかのうえ
で本がパタンと閉じました。
ぷ〜ぷ〜とねいきをたてていつのまにか眠ってしまっていました。
いたずらねこネーネに鼻をせんたくばさみでつままれて
はねおきたり、おしゃべり鳥キュウに目をさまされたものです。
でも、タロは誰にも眠りをじゃまされずにねむっていました。
どこかで花火のような音がとどろいたのです。
ざわざわ風が吹き出してあたりは暗くなりタロの鼻へ
ひとしずくがおちました。そして大雨が落ちてきました。
タロと読みかけの本が水びたしになりました。
目をさまし、ハンモックから早く降りようともがきました。
もがくとあみめが絡みついてきます。やっとのことで
ころげ出ると、地面はぬかるみになっていました。
タロは、家にころがりこみました。
(あ〜いやだよ。二度と雨に会いたくない。)
とタロはぬれた体をふきながらおもいました。
ねこのネーネがいればこんな目にあわないのにタロはどろ水だらけ
の床をふいたりはいたりしながらおもいました。
(ネーネがいたら手伝ってくれるのに。)
(ひとりぼっちはいやだぁ〜。)
そしてけっしんしました。
(ネーネがかえるまでとおくへいかないんだ。)
次の日もまたつぎの日もタロは家からはなれませんでした。


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