「旅日記その6/凶徒 京都木屋町「ろくでなし」で吼える!」
凶徒見参! 関西ツアー2004/旅日誌
(承前)9月23日(秋分の日)
木屋町通りのなかほどにカラオケ屋もやっているカフェがあったので、そこで軽く食事する。TOMOはこれからアラブ圏の音楽をやるということで、ビールもひかえる。ボクはむしろサーキー(酌婦の意。「酒姫」と訳されている。「ルバイヤート」に頻繁に出てくるが、おんなではなく少年である)を呼び寄せるためビールを飲む。
実は、この日2番目によむ予定にしているものは「千夜一夜」をテーマにしたものだった。「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」(千一夜)は、TOMOのウードをチャーターして、岡ちゃんの太鼓、篠木マリさんのベリー・ダンスがつくという趣向だ。ある面、マリさんをサーキー(酒姫)そしてこの長大な物語の話者であるシェーラザードに見立て、その視覚的快楽とボクのポエトリー、TOMOたちサポート・ミュージシャンの音楽との「ダンス(視覚)」+「ポエトリー(ことば)」+「音楽(聴覚)」による多層的なコラボレーションの試みと言ってもいいだろう。
軽く食べてから「ろくでなし」へ戻ると、「楽しみにしています」と来ることを約束してくれていたAWAJIさんもカウンターに座り、初対面なのに打ち解けた雰囲気だ。ボクは持参した自分の詩集を置かせてもらう(この一晩でなんと4冊も売れました)。めちゃくちゃハクいアラブおんなに変身したマリさんも、ベリーダンスの肌もあらわな衣裳を着てひかえている。昨日、シリアったシリア系ドイツ人のZくんも、友だちを連れてきてくれた。ドイツ人はみながみなウソつきという訳ではなかった。アーリア系白人のドイツ人がウソつきなのだ(笑)! 開演時間の20時を10分ほど過ぎたあたりでスタート。「ろくでなし」でのイベントでは前代未聞の、もはや伝説化した(ホントかよ!)ポエトリー・イベント『クエスト(探求)――トレーンを追ってドルフィまで』の始まり始まり!
セット1はガンジーさんのサックスをメインにフュチャーした「賛歌――チェイシン・ザ・トレーン(トレーンを追って)」。ジョン・コルトレーンに捧げるポエトリー・パフォーマンス。ガンジーさんは「至上の愛(A Love Supreme)」のテーマを吹く。ガンジーさんが、ジャズしてるそのバックで岡ちゃんが持参したゾウさんギターで、奇妙なリフを付けている。さかんにTOMOがよろこんで笑っている。始まりは20分の二人の掛け合いだ。あんまり音の対話にはなってなかったみたいだけど……(笑)。
ボクのポエムがからんで、全40分くらいのパフォーマンスだったかな。
セット2が、ボクらも含め(とりわけガンジーさんが)楽しみにしていた篠木マリさんのベリーダンスがからむ演目。「千夜一夜――シェヘラザードを甦らす詩的試み」。TOMOのウードをメインにフュチャー、太鼓岡ちゃん(だったが、途中からマリさんと踊りだしシリア人のZくんがタールを叩いてくれる)、ダンス篠木マリの面々。やはりこの夜では、これが一番面白かったのではないだろうか?
セット3は、何の用意もしていないブルースコードでやる即興リィディングである。これが一番難しいのだが、「千夜一夜」の後半がノッてほとんど即興だったので、実際かなりのっていた。何をやったかよく覚えていないので、早く岡ちゃんにMDで録音したものをもらいたいものだ。
一応、プログラムはここまでだったのだが、このあとなんと延々とガンジー+マリさん、ガンジー+ボクなどの組み合わせで即興を午前2時位までやっていた。マスターの横ちゃんはのせるし、ボクももうガブガブ飲みだしていたので止まらなかった。午前1時位にあとから入った二人組の男の子たちの前でやった68年ころの旅を即興でうたった(即興はほとんど読むでなく歌うになってます)ものも結構よかったと思うし、彼らにも受けていた。この二人組もボクの詩集をサイン入りで買って行ってくれた。
しかし、さすがにこの夜は疲れた!
(この項つづく)







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