「2017年・霊場貴船の雪(後編) @ 京都妖怪探訪(467)」
季節の風景
(記事中の写真はクリックで拡大します)
どうも、こんにちは。
前回に引き続いて、京都・貴船の雪の光景を観て回ります。
今回は、霊場・貴船の中でも、真に霊場魔所というべき奥宮(おくみや)を訪れます。
結社(ゆいのやしろ)からさらに奥へ。
前方に奥宮の鳥居が見えてきましたが。
その前に入り口手前の末社にも礼拝。
奥宮の参道へ。
ここ奥宮には、まだまだたくさんの雪が積もったままでした。
というよりは、元々はこういう一面雪の光景を観たかった、撮りたかったのです。
ここまで来ますと、たくさん居た参拝者や観光客の姿もほとんど見られなくなります。
わずかに遭った人というのが。
私の少し前を歩いていた若い女性の二人連れと。
往きにすれ違った若いカップルと。
帰りにすれ違った中国か台湾の観光客らしき一団と。
それだけ何ですが、それが何ともこの場所らしいな、とか。
何とも今の時代らしいな、とか思ったものです。
しかし雪深く、静寂に包まれたこの奥宮こそは、かつての本宮があった場所。
つまり本来の貴船神社というべき場所なのです。
このような樹氷も観られました。
雪に覆われた境内を巡ります。
女神・玉依姫の伝説が遺る船形石。
本殿が建て替え中、仮の本殿が置かれていた権地(ごんち)。
そして舞殿。
この舞殿の後ろに、中に竜穴(りゅうけつ)と呼ばれるパワースポットがあると伝えられている本殿があります。
が、あえて本殿を直接撮影するのは避けるようにしています。
もう6年ほど前ですが、この本殿を撮影しようとしたら、その場に居た霊能者らしき方から「ここは竜穴だから撮影してはいけない」と、強い口調で言われたからです。それ以来妙に気になりまして、奥宮本殿を直接撮影しないようにしています。その時の詳細は、
シリーズ第138回に書いてあります。
そして私が、この場所を「真の霊場魔所」と呼ぶ理由がもうひとつあります。
それはこの地が、人間のあらゆる感情を、特に嫉妬や欲望、憎悪などの負の情念を集める場所でもあるからです。
どういうことか。。
まずは、本殿と権地の横に奉納されている絵馬を見てみましょう。
本来ならあまり見るべきものではないかもしれませんが……。
絵馬の内容を見ると、人間の祈り、願いというか、あらゆる情念や欲望が顕れているものが見られます。
大半は試験の合格祈願や、普通の良縁祈願など、何の罪もないほほえましいものです。
が、たまに。
露骨な欲望や憎悪、本気の憎悪や呪いを込めたものも見られます。
この時は
「セレブ女と結婚してヒモになりたい」
というのがありました。さらに
「○○(女性の名前)が消えて居なくなりますように。二度と××さん(男性の名前)に近づかないようにしてください」
と書かれて、さらに「このゴムを使った女です」とご丁寧に実物まで付けられているものまで……。かなり本気度の高い呪いが込められています。
こういう場所には他にも、「○○(異性の名前)と別れられますように」とか、「○○さん(異性の名前)と××(同性の名前)を別れさせてください」とか、「○○が死にますように」とか、憎悪や呪いの絵馬が奉納されていたりします。
そして、さらに。
京都・貴船の奥地で「呪い」とくれば、やはりこれでしょう。
境内やその周辺の木を少し探しますとすぐに見つかります。
明らかに自然に空けられたものではない小さな穴が。
やはりアレ、俗に「呪いの藁人形」とも呼ばれる
丑の刻参りの跡です。
夜中の丑三つ時(午前1時〜3時頃)、神社の御神木などに憎む相手に見立てた藁人形を釘で打ち付けて呪う、という呪術の一種ですね。
昔から貴船は、丑の刻参りの地として有名です。
否、それどころかここ貴船の奥宮こそは「丑の刻参り発祥の地」と伝えられています。
貴船の神様がこの地に降臨したのが、「丑の年、丑の日、丑の刻」だったからだというのが由来で、その時に霊力が最大限に高まって、祈願成就の効果も上がるというものです。
元々は呪いに限定せず、あらゆる祈願に効果があるとされていたのですが、何故か後世には呪いの側面ばかりが強調され、今日のような呪いの藁人形による呪術になってしまったとか。
『京都妖怪探訪』シリーズを始めて以来、ここには何度も訪れていますが、毎回こういう釘の跡が見つかります。
藁人形そのものは、貴船神社や地元の方がすぐに取り除かれるので、実物は見たことが無いのですが、こういう釘跡はいくつも見つかります。
つまり未だに、こういう呪いを実行する人が後を絶たないのですね。
貴船神社さんには大変不本意なことでしょうが。
多分、今後も釘跡がなくなることはないでしょうね。つまり今後も丑の刻参りをする人は後を絶たないでしょうね。
これも、私がこの場所を「真の霊場魔所」と呼ぶ理由です。
こんなことを考えていたら、降雪と曇り空でただでさえ薄暗かったこの場所が、さらに薄暗く、そして寒く感じられてきました。
奥宮から元来た道を戻ります。
それでは今回はここまで。
また次回。
*貴船神社のHP
http://kifunejinja.jp/index.html
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
