どうも、こんにちは。
前回の特別編記事の続きです。
多くの貴重な資料が展示されていた
あべのハルカス美術館の
『大妖怪展』。
それら全てについて述べていたら、紙幅がいくらあっても足りなさそうなので、そのうちのふたつ、『針聞書(はりききがき)』と『百鬼夜行絵巻』について、今回は語ります。
なお当然のことながら、展示されている実物の撮影が、私みたいな一般人ブロガーに許可されるはずがありません。
以下の画像は、イベントの物販コーナーで買った、『針聞書』の解説書『戦国時代のハラノムシ』(国書刊行会)から。
今回は『針聞書(はりききがき)』から。
この書物について私は、今回の
『大妖怪展』で初めて知りました。
戦国時代に書かれた医学書だったようで、当時は心身のあらゆる不調や病気は、人間の体内に救う虫が原因だと信じられていたようです。
それで、そうした「腹の虫」について、その種類や引き起こす症状、駆除・撃退の方法について記されたのが同著だったそうです。
これらの中には、実にユニークで面白いものもあり、ここでその一部だけでも紹介させていただきたいと思います。
これは「蟯虫(ぎょうちゅう)」。
勿論、人の腸や肛門などに寄生する現代の蟯虫とは違います。
庚申(こうしん)の夜に男女の性交をすれば体内に宿るとされます。
宿主が抱いた性的欲望や妄想などを。「あの女とヤリたい」などといった実行もしてない、口にもしてないような妄想まで、地獄の閻魔大王に報告するという虫です。
この虫に取り憑かれたら、やがて天罰の病で死ぬ、というもの。
これを防ぐには、(この虫の幼虫が宿り、成虫が閻魔大王に報告に行くという)
庚申(こうしん)の夜には性交を我慢し、徹夜で謹慎しながら過ごすしかない、とされています。
これは「風邪の虫」。
これはその名の通り「風邪」の虫です。
この虫に取り憑かれると、身体がほてってのどが渇き、ほしいだけ水を飲み続けるといいます。虫の欲望に支配され、肉に食べ過ぎて身体の変調を引き起こす、とされています。
これを撃退・治療するには、人参(朝鮮人参)か「甘草(かんぞう・マメ科カンゾウの茎と根)が効果的です。
次は「鬼胎(きたい)」。
皿のような塊の中に牛のような顔があるという、奇怪な姿をしています。
この虫に取り憑かれるとヒステリー状態に、非常に怒りっぽく、キレやすくなってしまいます。
この虫を撃退・治療する方法は難しいようで、直接口伝でなければなかなか伝えられないそうです。
この他にも、こんな虫が。
「腹痛の虫」。
その名の通り、腹痛を起こします。
海人草(かいにんそう。赤藻類のマクリを乾燥させた駆除剤)が有効です。
「欠伸(あくび)の虫」。
この虫に神像へと侵入されると、大あくびをし、睡魔に襲われるようになります。
勝木(かちき。ウルシ科ヌルデの葉にアブラムシが産卵してできた
虫こぶ)が有効です。
そして、凄いと思ったのが、この「九虫(きゅうちゅう)」。
五色(赤・青・黄・白・黒)の凶悪な虫が次から次へと腹の中に発生してくるというものです。
こんなのに取り憑かれたら大変でしょうね……。
『針聞書』には、こういう「ハラノムシ」が63種も記されています。
さて、この記事をアップする頃には、
『大妖怪展』は終了しています。
こういう面白い「ハラノムシ」たちに再びお目にかかるには、どこに行けばいいのか。
その答えは、冒頭で紹介した『戦国時代のハラノムシ』の巻末に書かれていました。
福岡県太宰府市、あの
太宰府天満宮の隣にある
九州国立博物館に『針聞書』が展示され、ミュージアムショップにはフィギアやポストカード等のオリジナルグッズも販売されています。
さらに博物館のオリジナル公式ソングとして、『はらのむし体操』なるものまで(笑)。 以下、動画で紹介します。
*オリジナル公式ソング『はらのむし体操』フルバージョン
*くまモンとはらのむし体操in九州国立博物館-H28.7.17-
九州太宰府に行くことがあれば、是非とも太宰府天満宮で
道真公に、九州国立博物館で「ハラノムシ」たちに会いたいモノです。
ただ、私の居る関西から九州は、ちょっと遠いですねえ……。
シリーズ次回は『百鬼夜行絵巻』について書きたいと思います。
今回はここまで。
また次回。
*「あべのハルカス美術館」の周辺地図・アクセスは
こちら。
*「大妖怪展」HP
http://yo-kai2016.com/
*「あべのハルカス美術館」HP
http://www.aham.jp/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
