どうも、こんにちは。
シリーズ前回から少し(?)間が空いてしまいましたが、再会と行きたいと思います。
菅原道真(すがわらのみちざね)。
元は実在の人物。それが怨霊、祟り神として恐れられ、後世になるにつれて、学問の神様として崇められ、さらに火除けや商売繁盛など、様々な顔や能力(御利益)を持たされたという非常に面白い神様です。
今回は、「必勝祈願」の神様としての
菅原道真が祀られている神社を紹介します。
しかも、その由緒に「3年後に生命を取る代償として敵を滅ぼす」というエピソードがあるというのですから、穏やかではありません。
そんな伝説が遺されている地が京都市内にあると知って、訪れないわけにはいきません。
まずはいつものとおりアクセスから。
京都市営バス「上京区総合庁舎前」停留所から、今出川通りを少し西へと歩いたところにある、「今出川新町」の交差点。
この辺りには、
境地市営バス「烏丸今出川《地下鉄今出川駅》」停留所もしくは
京都市営バス「今出川」駅からも、歩いて5〜10分くらいで行けます。
今出川新町の交差点から、新町通りを南へ。
同志社大学の「継志館」という建物の前を通ります。
そのほぼ斜め向かいに、大木がそびえ立つ小さな神社が見えます。
そこが「霊光殿天満宮(れいこうでんてんまんぐう)」です。
扁額には「天下無敵 必勝利運」と書かれています。
寛仁2年(1018年)、菅原道真6代後の子孫・菅原義郷が勅命により河内国若江郡(現在の大阪府八尾市・東大阪市の一部)に神殿を建てたのが始まりだされています。
その後現在の地に移されたのですが、何故この地に移されたかと言いますと。
菅原道真が、
藤原時平の策謀で太宰府に流される途中のこの地で。
天から一条の光が差し、
帝釈天や
天一神が降臨して、道真にこう告げたと伝えられています。
「汝に罪は無い。三年後に汝を天に召して、汝の敵を討ち滅ぼす」
その後、そのお告げの通りに、道真は怨霊⇒天神となって、藤原時平など道真を陥れた人々は次々と死んでいきます。
鳥居から境内に入ります。
この神社が「必勝祈願」の神社となったのにはもうひとつ理由があります。
13世紀の
元寇の際、ここで
後宇多天皇による祈祷が行われ、これによって元・高麗の艦隊を撃退された。
いわゆる「神風伝説」です。
その時に、鳥居に飾られた「天下無敵 必勝利運」の扁額が後宇多天皇より賜ったとされています。
ただ、この「神風伝説」。後世には太平洋戦争、さらにはあの
神風特攻隊の悲劇につながったのだとすれば、何とも迷惑な話でもあるとも思うのですが。
あるいは、大日本帝国は神の加護を失った国だったのか、と……。
境内にはやはり、天満宮の象徴ともいうべき牛の象も。
本殿へと向かいます。
この神社には、もう一人祭神となった人物がいます。
それがあの徳川家康です。
当時は
応仁の乱以来、社領の境内も失い、東寺境内に移されていました。
家康は元亀元年(1570年)に天下太平の祈願をし、社家・若江家の再興に尽力しました。
そして家康の死後、ここで祀られることになりました。
「家康もうまいことやったなあ(笑)」と思う一方で。
始皇帝からスターリンまで、古今東西、権力者というのは最後には神様になりたがるものなのか。
そうまでして死後も神様として崇められたかったのか、とも思いました。
この神社は勝利祈願の神社でしたが。
私は今まで生きさせてもらったこと、お参りさせていただいたことを感謝するだけで、あえて何もお願い事をしませんでした。
その理由は3つあります。
ひとつ目。これは、霊光殿天満宮だけでなく、他の寺社仏閣に参拝する時もそうなのですが。「困ったときの神頼み」というのは、あまり良くないと考えるからです。神様・仏様というのは敬い、信仰する対象であって、自分自身の力で出来ないことを実現するために依存する対象ではない、と考えるようになったからです。
ふたつ目。参拝している時にも、ここの祭神・徳川家康に批判的な考えが浮かんでしまったからです。現に今、この記事でも批判がましいことを書いてしまいました。そのくせ、手前勝手な願望を叶えてもらおうなどとは、ちょっと虫が良すぎる気もしましたので(苦笑)。
そして3つ目の理由。この神社の由緒にもあったように。菅原道真は、自分を陥れた政敵を滅ぼす力を得られた代わりに、3年後に天に召されることに。つまり、生命を落とすことになります。
『鋼の錬金術師』で語られる「等価交換の原則」ではありませんが、何かを得る為には、何かを為すためには必ずその代償を支払わなければならない。そんな概念を思い出します。
その相手が神様にしろ、魔や鬼にしろ、怨霊や妖怪にしろ。私みたいに無力で卑小な人間ごときが、何もなしに祈願するだけで、人間以上の存在から何かを得ようというのは、実はものすごく身の程知らずで恐ろしい考えではないか、と。
これも最近、ここだけでなく、他の寺社仏閣などでも考えることなのですが。
菅原道真は現世での復讐を実現させてもらう代わりに、3年後に生命を差し出すことになり、その後神様の一人となりましたが。
私の場合、何か願いを実現させてもらったら、どんな代償を要求されるのだろうか? まして私は、道真みたいな優れた才能・能力があるわけでもなく、また神様から特別に選ばれた者でもなさそうですし……。
とかいう以前に、果たして願いを聴いてもらえるのか、と(苦笑)。
そんな考えも浮かんだので、あえてお願いはせず、お祈りするだけでここを後にしました。
今回はここまで。
また次回。
*霊光殿天満宮の周辺地図は
こちら。
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
