どうも、こんにちは。
そろそろ紅葉の季節かと思いますので、今回もまた京都の紅葉の光景をお届けしたいと思います。
それも毎年この時期恒例の
『京都妖怪探訪』シリーズの
『霊場魔所の紅葉』シリーズです。
今回は、京都の
泉涌寺の
塔頭寺院である
即成院の紅葉を観に行きます。
また即成院には、源平合戦の英雄の一人で、弓の名手として有名な
那須与一のお墓もあります。
最寄りの交通機関は
京都市営バス「泉涌寺」停留所です。
そこから泉涌寺道を少し歩けば、泉涌寺の総門が見えてきます。
総門の少し手前に即成院の門が見えます。
さて、ここで。
即成院について。
また、何故ここをわざわざ
『京都妖怪探訪・霊場魔所の紅葉』シリーズに加えたのかを少し説明します。
この即成院は古い記録に寄れば、正暦3年(992年)“恵心僧都”源信によって建立された光明院が前身だとされています。
この
“恵心僧都”源信というのが、非常に面白い人物です。
比叡山中興の祖として知られる
“元三大師”良源を師とする高僧ですが、この良源という人物には、「
大陰陽師・安部晴明を凌ぐ霊力を持っていた」とか、「角の生えた鬼の姿に変身して魔や厄を祓った(角大師伝説)」とか、「豆粒のように小さく変身した(豆大師伝説)」などの不思議な伝説や超人的なエピソードなどがあります。
その高弟の一人である源信自身にも有名なエピソードがあります。
最も有名なのは、『往生要集』という仏教書を記したことでしょう。これは極楽往生のために記された書物ですが、そこで書かれた教えや地獄や極楽の記述は、後世の浄土教や、日本人の地獄・極楽に対する見方を形作りました。
つまり、この源信さんこそが、日本人の地獄や極楽に抱くイメージを作ったとも言えるのです。
また『今昔物語』などには、源信が「羅刹谷」という谷で、羅刹(絶世の美女の姿をした人喰い鬼)に出くわしたというエピソードが伝わっています。しかし、その羅刹は源信に触れることもできずに去っていったとも伝えられます。
この即上院(の前身・光明院)は、元々は京都の伏見桃山にあったのですが、現在は泉涌寺の塔頭寺院としてこの場所にありますが……。
実は源信僧都が羅刹女に遭遇したという「羅刹谷」は、現在の泉涌寺、東福寺の辺りにあったそうなのです。ということは、現在の即成院はかつての「羅刹谷」のすぐ近くにあるのです。長い歴史の中で紆余曲折を経て、源信が建立した寺院がそんな場所に移転したとは。
おそらくはただの偶然でしょうが……私は何やら因縁めいたものを感じずにはおられませんでした。
余談が過ぎました。
門より中に入って、境内を散策します。
境内の各所に紅葉が見られます。
真言宗(泉涌寺派)の寺院だからでしょう。
弘法大師の像が立ち、稲荷らしき神様も祀っているようです。
奥にあるのが本堂です。
この本堂内には、重要文化財に指定されている木造の阿弥陀如来像と25体の菩薩像があります。
これは、阿弥陀仏と25人の菩薩像が死者を極楽へと迎えに来る様子を表現したものです。
仏教絵画によく描かれるテーマですが、仏像という3次元で表現したものは非常に珍しいものです。
残念ながら、さすがにそのような貴重な仏像を、私のような一般人に撮影させてもらえるはずもないので、その様子をここで読者の皆様にお見せすることはできません。
どうか、ご容赦を。
直接ご覧になりたい方は、即成院を訪れられるといいでしょう。
本堂のさらに奥、お地蔵さんの並ぶ道を進んでいきます。
その先に、あの那須与一の墓がありました。
与一が「屋島の合戦(寿永4年・1185年)」で平家の出した扇の的を射抜いたという有名なエピソードに因んで、扇と的の形をした絵馬に願い事を書いて奉納する人も多いようです。
何故、那須与一の墓がここにあるかと言いますと。
与一が大病を患った時に即成院の阿弥陀如来の霊験によって平癒し、さらに出家して最期の時をここで迎えたと伝えられます。
即成院のHP内に、那須与一のエピソードが書いてあります。
*漫画で紹介 那須与一【平癒編】
http://www.negaigamatoe.com/heiyu.html
*漫画で紹介 那須与一【合戦編】
http://www.negaigamatoe.com/gassen.html
仏教寺院の境内で歴史上の英雄や有名人が神様として祀られているのも、いかにも神仏習合の国・日本らしくて面白いですね。
紅葉だけでなく、いろいろなものを楽しんで、即上院を後にしました。
まだまだ紅葉の記事を書きますよ。
それでは今回はここまで。
この続きはまた次回。
*即成院へのアクセス・周辺地図は
こちら。
*即成院のHP
http://www.gokurakujyoudo.org/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
