どうも、こんにちは。
市民が普通に生活している空間内や近代的な施設の隣に、妖怪や神仏、異能者など不思議な伝説の遺るスポットが違和感なく存在していたりする。
本シリーズでは、そんな現代京都の姿を何度も見てきました。
前回は、京都駅近くの「道祖神社」と境内末社の「書聖天満宮」を紹介しました。
今回は、そのすぐ隣に立つ「明王院不動堂」を紹介します。
かの
弘法大師こと空海が東寺の鬼門を守るために、彼自身がこの地で発見した不思議な霊石で創り上げた秘仏が封じられているという、「明王院不動堂」。
そんな凄い伝説の遺された場所が、やはり現代京都のど真ん中にあるのです。
まずは
前回の続きから。
オムロン本社ビルと油小路通りを挟んでほぼ向かい側に、道祖神社と明王院不動堂が立っています。
古い歴史文化と最先端技術とが共存しているのも、また現代京都の一側面なのです。
道祖神社のすぐ南隣に、明王院不動堂が立っています。
この寺の縁起によれば、この寺の開基は1000年以上前の弘仁14年(823年)にさかのぼります。
弘法大師こと空海が、嵯峨天皇より都南に東寺を任せられ、東寺の鬼門(東北)にあたるこの地に、東寺守護のために一体の不動尊を安置したのに由来します。
のちの昌泰2年(899年)に宇多上皇は、離宮・亭子院(ていじのいん)を築きます。広大で壮麗な離宮だったそうですが、室町時代、応仁の乱で焼失しています。江戸時代に、やはり宇多天皇が開基したという仁和寺の直属道場として再建されました。
元は密教系寺院でしたが、現在では浄土宗西山派の寺院となっているそうです。
まずは、参拝といきます。
本堂の隅に地蔵尊が祀られています。
本堂内の様子です。
3体の尊像が祀られています。
本尊の(こちらから向かって)左側にある「役行者像」。
修験道の開祖で、鬼神や神々すら召喚、使役したという伝説の術者として有名です。
本尊の(こちらから向かって)右側にある、開基者「弘法大師」こと「空海」の像。
そして、真ん中に立つ本尊・不動明王像。
この本尊は、高野山波切不動尊と、成田不動尊と共に、空海自作の「三体不動尊」と称されるものです。
いや、実を言いますと……。
これも少し違います。
この写真の像は、つまり現在本堂に祀られている像は、実は本当の本尊ではないのです。
空海が、この地で発見した不思議な霊石で彫ったという、伝説の不動明王像ではないのです。
オリジナルの本尊は、開基当初から「凡夫(=悟りを開いてない、仏教者でもない普通の人)の目に触れさせないため」だとか言って、石棺に納め、地中の井戸深くに封じたそうなのです。
宇多上皇が亭子院(ていじのいん)を築く際にも、やはり「何人もその姿を見ることはならない」と、この本尊に「霊石不動尊」の称号を与えて、地中深くに封印したそうです。
何でも、「その霊石不動尊を見た者は、悉く目を病んだ」とか「失明した」とか。それで畏れて、誰の目にも触れさせないように、地中深く封じたのだと、伝えられています。
そのためかの「霊石不動尊」は、現在に至るまで誰も見ることのできない「秘仏の中の秘仏」となっています。
現在本堂で見ることができる不動明王像は、御前立の不動明王立像、つまり本尊の代理の尊像です。
毎月の28日は「不動明王の縁日」とされ、不動明王を祀っている寺院の中には、護摩供養などの特別な行事を行うところもあります。
ここ「明王院不動堂」でも、信者や参拝者が願い事を書いて納めた護摩木を護摩壇でお炊きあげする護摩供養や、お茶を交えた説法などが行われています。
私もひとつ、お願い事を。
こうして、この不思議な伝説の遺された古刹を後にします。
それにしても、「普通の人が見ると目が潰れる、目を病む」という霊石不動伝説の真相は何だったのか。
この言い伝えにはどんな意味があったのか?
「空海が不動像を刻んだという霊石の正体とは、今で言う放射性物質だったのではないか?」
こんな驚きの仮説もあるようですが、その真偽は不明ですし、我々には確かめるすべもありません。
この不思議な伝説の遺る古刹自体も非常に興味深く、面白い場所です。
が、そんな場所が、一般市民の生活空間や、近代的なビルや最先端のハイテク企業の並ぶ大都市のど真ん中に存在している京都という街自体も、やはり面白いところです。
それでは、今回はここまで。
また次回。
(※なお本記事は厄除けのため、「13日の金曜日の13時13分」にアップすることにしました。不動明王の霊験で、読者の皆様の厄や悪運が少しでも回避できますように!)
*明王院不動堂へのアクセスについては
こちらを参照。
*明王院不動堂のHP
http://fudondoumyououin.web.fc2.com/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
