「2021年・水火天満宮の桜と登天石 @ 京都妖怪探訪(731)」
季節の風景
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どうも、こんにちは。
今年(2021年、令和3年)の
『霊場魔所の桜』シリーズの第2回目です。
今回は、京都市北部の古社・
水火天満宮の垂れ桜と、その境内に遺された霊石・登天石を紹介します。
まずはいつもの通り交通アクセスから。
最寄りの交通機関は
京都市営バス「天神公園前」停留所です。
堀川通りに面し、バス停そばの鳥居からすぐ中へ入れますが、その隣にある天神公園の桜も観ていきます。
ここ天神公園も、ちょっとした桜名所のひとつです。
ただこの時は、満開まであともう少し、というところでした。
天神公園に面した鳥居からも入れます。
満開の少し手前という感じですが、境内では見事な垂れ桜が咲き誇っています。
垂れ桜に覆われ、まさに「桜の天井」。
知る人ぞ知る桜の名所だけあってか、桜を観に来た、撮りにきた人たちの姿も見かけます。
しかし、ここ水火天満宮といえば。
垂れ桜も名物ですが、やはりなんと言ってもこれです。
これは「登天石(とうてんせき)」という、霊石です。
過去記事のおさらいになりますが、ここでこの登天石とは何かについて話をします。
この霊石には、菅原道真の霊が上に立ち、13世天台座主・尊意の祈りにより天へと昇っていったという伝説が遺されています。
『北野天神縁起絵巻』には、以下のような説話が描かれているそうです。
道真の死後、京の都では災害が相次ぎ、それれらは道真の怨霊の仕業だと考えられました。
比叡山延暦寺の第13代座主で、道真の生前の師にあたる人物ともされる法性坊尊意(ほっしょうぼうそんい)僧正。
ある時、比叡山延暦寺に居た尊意僧正の前に菅原道真の霊が現れます。
尊意僧正が霊を石榴(ざくろ)でもてなすと、道真は「我を陥れた者どもに復讐するにあたり、梵天と帝釈天の許しを得た。例え天皇の命令であっても、私の邪魔をしないでほしい」と頼みます。しかし尊意僧正は「天皇から二度、三度と命じられたら断ることはできない」と断ります。
すると道真の霊は激怒し、口に含んだ石榴を種ごと吹き出します。すると種は炎となって燃え上がり、傍らの戸に引火します。尊意僧正は印を結び、水を出して火を消し止めます。
尊意はそのまま道真の霊を追います。
鴨川の辺りまで来ると突然、川の水位が上がりはじめ、京都の町の中にまで水が流れ込んできました。
尊意僧正が祈ると、水の流れが別れて、ひとつの石が現れました。その石の上に道真の霊が立っていました。
尊意僧正はさらに道真の霊へと祈りと問いかけを続け、その末に道真の霊を天へと昇らせました。
道真の霊が昇天すると、それまでの荒れ狂っていた雷雨もおさまりました。
その後尊意僧正は、道真の霊が立っていた石を持ち帰って、供養をしました。
このことから延長元年(923年)に道真の霊を祀ったのが、この水火天満宮で、その時道真の霊が立っていたという石が、この「登天石」だそうです。
それから1100年近く、この石はここに静かに佇み続けています。
このような「曰く付き」の石だけあって、なるほどいかにもって感じの怪しげな形をしています。
この古社が、ほぼ毎年訪れる私のお気に入り桜スポットのひとつになっているのには、垂れ桜だけでなく、この霊石の存在があるからなのです。
そしてまた、今年も変わらず、垂れ桜は見事な花を咲かせ、伝説の霊石は何事も無かったかのように、そこに佇んでいました。
来年もまた。
この垂れ桜の花と、伝説の霊石に遭えることを願って。
今回はここまで。
また次回。
*水火天満宮へのアクセスは
こちら。
*水火天満宮のHP
http://www.suikatenmanguu.com/
*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/
