「葛城トオルと葛川明王院と阿闍梨さんご一行様(後編) @ 京都妖怪探訪(646)」
妖怪スポット
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どうも、こんにちは。
今回は、
本シリーズでも何度も登場していただきました、京都で活躍中の妖怪絵師・伝道師・
葛城トオル氏に、先月(2019年7月)ドライブにつれて行っていただきました。
シリーズ第643回、
第644回、そして
前回、第645回に引き続き、その4回目(3回目の後半)は……このドライブの第一目的、毎年7月に
葛川明王院で行われるという荒行「葛川夏安居(かつらがわげあんご)」に行く比叡山修行僧の一行を観に行ったレポート記事です。
まずは
シリーズ前回の続きから。
葛城氏の案内で、本堂に上がります。
この辺りは冬場には本当に厳しく環境になるそうです。
現在は車道が通っていますが、相応和尚が明王院を開基した当時は、この付近は多くの修行者が集う霊場でもあったそうです。
堂内には珍しい絵馬が幾つも。
いろんな時代の絵馬があるようです。
この写真では見えにくいかもしれませんが・・・。
木の板の床には、無数の小さな凹みがあります。
毎年7月16日〜20日の間にここ葛川明王院で行われる、比叡山の修行僧によって行われる荒行、「葛川夏安居(かつらがわげあんご)」。
そのうち18日の夜には、「太鼓まわし」という行事が行われます。
本堂内で修行僧とこの付近の若者たちが、本堂脇に吊されている太鼓を降ろす……のではなく、たたき落とし、堂内で太鼓を転がして回るという、荒々しい行事です。
そして行者が太鼓の上から勢いよく飛び降りるというものです。
これは、この寺を開基した
相応和尚が滝壺(葛川明王院前を流れる川の三の滝)に
不動明王の姿を見て飛び込んだという話を再現しているそうです。
現在、この相応和尚の役をするのが、阿闍梨さん。より正確には「北嶺大行満大阿闍梨」の称号を持つという
「比叡山千日回峰行」という荒行を成し遂げたという方なのです。
因みに「比叡山千日回峰行」というのがどんなものかと言いますと・・・。
@ 最初の7年、1〜3年目は年に100日、4?5年目は年に200日、比叡山山中と麓の日吉大社と約30キロの道のりを、真言を唱えながら6時間ほどで巡る。なお途中で行を続けられなくなったら自決しなければならない。
A 5年700日を満行すると、比叡山・無動寺明王堂で「堂入り」を行う。9日間に渡る4無行(食べない、飲まない、寝ない、横にならない)で、毎晩2時に近くの閼伽井で汲んだ水を不動明王に供える他は、ひたすら、10万回真言を唱え続ける。
B 6年目にはこれまでの行程にさらに、京都・赤山禅院への道が加わり、60キロになった道のりを巡る。
C 7年目には200日行う。前半の100日は84キロに及ぶ京都大回りの道のりで、後半100日は最初の30キロに戻る。
D 以上の行を満行した者で、無動寺谷明王堂の輪番職にある者は、その後2?3年以内に100日間の五穀断ちを行う。
E その後自ら発願して、十万枚大護摩供(火の燃える護摩壇に十万枚の護摩木をくべる)を行い、京都御所に土足で参内し、加持祈祷を行う。
ざっとこれだけの恐るべき荒行を成し遂げたという、まさに超人的な人が「大阿闍梨(北嶺大行満大阿闍梨)」となっているわけですね・・・。
話を明王院の境内巡りに戻します。
葛城氏の案内で本堂脇へ。
阿闍梨さんご一行のわらじが準備されています。
上には「太鼓まわし」に使用する太鼓が。
おそらく手前にある太鼓が新しい方で、奥にある方が使い古された方でしょう。
よく見ると、皮の張り具合が違って見えます。
本堂から外へ。
明王院、地主神社の前には古い旅館らしき建物と、半夏生が咲く湧き水も。
ちょうどここで、阿闍梨さんご一行が到着されるとのお知らせが。
ただここで、関係者の方から阿闍梨さんご一行を撮影しないようにとのご指示が。
その為、残念ながらここで阿闍梨さんご一行のお姿を見せることは出来ません・・・。
しばしの間、阿闍梨さんご一行は、常満・常喜さんのお宅に滞在されます。
以下は、阿闍梨さんご一行が出発された後の様子です。
阿闍梨さんご一行が通られる時は、我々は地面に膝をついて座り、頭を下げます。
その間、ご一行は持っている錫杖で頭と肩を触れられていきます。
そして明王院境内へと続く赤い橋の下で、かつて相応和尚が不動明王と相まみえたという滝壺の下流で、一行は身を清めてから境内へと入ります。
そしてこの日からご一行は、5日間の荒行に入ります。
ここから先はもう「聖域」。
我々、俗世界の者がみだりに立ち入らない方がいい世界です。
我々はそっと立ち去ります。
以下は、葛城氏らと帰りのファミレスで食べたパフェですが・・・。
これでようやく俗世界に、日常世界に帰ってきたようなほっとした気持ちになりましたね(笑)。
こうして何回目かの葛城氏とのドライブを終えました。
光源氏の元ネタを祀る神社、河童伝説の地、そして聖地と、なかなかに充実したドライブでした。
今回はここまで。
また次回。
*葛川息障明王院のHP
http://www.biwa.ne.jp/~k-katura/index.html
*葛城トオル氏のTwitter
https://twitter.com/yokaido
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
https://kyotoyokai.jp/
