「高雄の紅葉と青瀧宮 @ 京都妖怪探訪(582)」
妖怪スポット
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どうも、こんにちは。
今年も紅葉の季節になりましたので、
『霊場魔所の紅葉シリーズ』を始めます。
まずは、京都・高雄にある古刹・神護寺を訪れようとしました。
ただその中で思わぬ偶然から、
弘法大師こと空海ゆかりの地を、しかも空海が召還したという伝説の竜神、
善女龍王ゆかりの霊場を見つけてしまいました。
京都・高尾の「清瀧宮(せいりゅうぐう)」です。
紅葉の季節になり、「よし、今回は今まで訪れたことのない霊場魔所の紅葉を観に行こう」と、京都・高尾の
神護寺を訪れることを思い立ちました。
神護寺は京都市内でも、北西端の山奥にあります。
そこへ行く為の交通手段は限られているので、訪れるまでが大変です。
まずは、京都市営バスの8番系統バスで、
「高雄」停留所を目指します。
しかしながら、停留所から神護寺までの道が通行止めになっているようでした。
今年9月、関西地方などに大きな被害をもたらした
台風21号の影響でしょうか?
まずは「高雄」停留所で降ります。
やはり、途中で道が塞がっているようです。
仕方が無いので、回り道をします。
その為に、「高雄」停留所よりひとつ前の
「御所ノ口」停留所まで戻ります。
その途中で、大きな御神木とお宮が見えてきます。
妙に気になって近づいたら、以下の様な案内板が。
おお、これは!
思わぬ発見に、うれしくなってしまいました。
真言密教の開祖・空海が、
師・恵果から密教の全てを学んだという青龍寺ゆかりの社が、こういう場所にあったとは!
しかも青龍寺の鎮守神であった「青龍権現」こと
善女龍王(ぜんにょりゅうおう)を勧請して祀ったという貴重な社ではないですか。
ところで「善女龍王」で思い出すのが、空海の雨乞い伝説に登場し、ライバル守敏との雨乞いの呪法勝負で空海に勝利をもたらしたという竜神でもあります。
本シリーズでは、
第117回、
第147回、
第225回などで紹介したことがありますが、ここで空海と善女龍王の登場する雨乞い伝説について、ここで復習してみましょう。
天長元(824)年、旱魃が起こり、朝廷は祈祷の力に優れた二人の高僧、東寺の空海と、西寺の守敏に祈雨の祈祷を行うよう命じました。つまり、両者の「雨請い術くらべ勝負」となったわけです。
そして勝負の時を迎えましたが、空海が祈祷しても雨が降りません。
不審に思った空海が、法力を使って原因を調べてみると、ライバル守敏の仕業だということがわかりました。
空海の祈祷が始まる前に守敏は、法力でて世界のほぼ全ての竜王を閉じ込めてしまうことによって、空海が祈祷をしても雨が降らないように仕掛けておいたのです(当時、雨は水神である竜が降らせるものと考えられていました)。
しかし、天竺(インド)に居た善女竜王にだけは守敏の法力が及んでいませんでした。
そこで空海は、善女竜王を召還して雨を降らせることに成功しました。
こうして勝負は空海が勝ち、栄誉が与えられました。
この伝説によって、善女竜王が東寺の境内、及び神泉苑(東寺の飛び地境内)にも祀られているのです。
なお、この勝負に負けてから守敏の西寺の方は衰退し、現在では東寺だけが残っていると伝えられています。
今回初めて気付いたのですが、空海に勝利と栄光をもたらした善女龍王は、元々空海と縁の深い竜神であったわけです。
まずは挨拶代わりに、この社「清瀧宮(せいりゅうぐう)」に礼拝します。
ところで、善女龍王について、後ほどもう少しだけ調べてみました。
八大竜王の中の一柱、沙掲羅龍王(しゃかつらりゅうおう)の三女だとも伝えられています。
8歳の幼女の姿をしているとも伝えられているそうですが、男性神の姿で描かれることもあり、実際の姿については今ひとつはっきりしてないようです。
それにしても、予想外のハプニングとはいえ、今回私がこの場所を発見したのは、何かのお導きかもしえない。
そう考えて、喜びながらこの社を後にし、目的地である神護寺へと向かいました。
それにしても……今年の紅葉は大して赤く染まらず、ムラが目立つのが気になりますが……。
今回はここまで。
また次回。
*神護寺のアクセス・周辺地図については
こちらを参照。
*神護寺のHP
http://www.jingoji.or.jp/
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
