さすがに季節外れの陽気がいつまでも続くわけはなく、関東地方だけのようですが、今日は初冬にふさわしい空気の冷たさのようです。
さてセイヤについて、です。タイトルはネガティヴに見えるかもしれませんが、私自身の経験も含めて、セイヤへの賞賛の意図を持ったタイトルであることをご理解ください。これまでもバックスからフォワードへ転向した選手は何人もいます。おもしろいことに、この選手たちみなが、フォワードでこそ輝きを増すのです。その典型が本校唯一のトップリーガーでしょう。彼の場合、本格的には大学からですが、国体の選手に選ばれた際にも監督はすでにその意向を持っていたことを考えると、高校時代からでも良かったのかもしれません。セイヤですが、彼のフォワードへの転向は、本人の意思と言うよりも、あくまでもチーム事情の側面が強いかもしれません。ただ私個人は、彼のポテンシャルは、バックスでよりもフォワードでこそ発揮されるのではと、彼が2年生の春には感じていました。ただ当時は彼がランにこだわる面もあり、ボールを持って走るのはバックスという概念があったのでしょう。一方でセイヤがバックスを続けて行くには、一つどうしても克服しておかねばならないものがありました。それはまっすぐに来てくれる相手には、あの体格ですから決して負けないのですが、サイドに振られたり、アングルチェンジには弱い、視野が固定されてしまうと言う弱点があったのです。センターの場合、ここに対応していかないと、決定機を相手に与えてしまうことがあります。事実、そうした場面が散見されました。それならいっそフォワードで、常に相手と正面で対峙する方が、彼の強みが活かされるのです。かくして、セイヤのフォワードが実現したわけです。
バックスをしたことのあるフォワードは、次に起こるであろう接点の予測が良いのです。それは自分たちの攻撃に対してはサポートの速さに、防御においてはターンオーバーの確立を確実に上げることに寄与します。それを特に感じたのは、このコロナでの長い休業期間明けの練習試合でした。サポートがいいので、攻撃では結果としてボールを持ってランをする場面が多くなりました。彼が目指していたものに近づいた気がします。
そして何よりのセイヤの魅力は、底なしの明るさです。チームがネガティヴになりそうな空気を変えるのは、セイヤでした。声で、プレイで、とにかくチームを牽引してくれました。今年は残念ながら見られませんでしたが、合宿の余興もまたチームを一つにする起爆剤でしたものね。
器用な選手は、とかく便利に使われる傾向にあります。私自身も、バックスのほとんどのポジションを経験していますし、ロックもフランカーも経験済みです。だからこそラグビーのおもしろさと深みを理解しているともいえる気がします。セイヤも同じ気持ちであってくれるといいなと感じています。様々なポジションと、プレイの中にラグビーの魅力がぎっしり詰まっていて、それを経験できてよかったとセイヤが言ってくれたら、嬉しいです。セイヤの万能性が、このチムに厚みを与えてくれました。
今は切り替えて、放課後遅くまで数学の先生をつかまえて、志望校に向けて準備中です。だから私たちのセイヤとの遭遇率の高いこと高いこと…

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