2005/12/20
「十五歳の妖精」
浅田真央選手をご存じですか。フィギュアスケートの選手です。そして十五歳です。グランプリシリーズの、先週末に行われた東京大会で圧倒的な強さで優勝をしたのです。今の段階で女王と呼ばれるイリーナ・スルツカヤをおさえての優勝です。その価値は大きいですよね。それでもトリノオリンピックへの出場は叶わないそうです。それはそれで残念なのですが、みんなと同年代が世界を相手に勝負し、十分に通用していることがとにかく嬉しいですね。あなたと同年代の人が、世界をフィールドに勝負している場合が実は少なくありません。多くは個人スポーツの世界ですが、これからが楽しみですね。
フィギュアスケートでは、ショートプログラムと、フリー演技との合計ポイントで順位が決まることになります。初日のショートプログラムを終え、二位に五点近い点差をつけてのトップ通過でした。このショートプログラム、曲は「カルメン」だったのですが、これまでのイメージとは明らかに異なり、なんともかわいらしい「カルメン」でした。特に彼女が自分のポニーテールにした髪をかき上げる仕草は印象的でした。決して色っぽい雰囲気ではなく、むしろ清潔感があふれるものでしたが、それでも印象はいいですよね。そして土曜日のフリーで女王スルツカヤを退けて、初のグランプリファイナル進出、初優勝を遂げたのです。その時にもジャンプが決まって、競技中であるにも関わらず、思わず小さくガッツポーズをしているあたりがいかにも幼く、それがまた彼女の魅力ともなりそうです。とにかく仕草の一つひとつがキュートで、それが彼女の今のところの最大の武器だと言えるでしょう。
彼女よりも少し前にフィギュアスケートの世界でアイドル的な存在になったのがミキティこと安藤美姫選手です。彼女と二歳しか年齢は変わらないのですが、彼女に幼いというイメージは持ちませんでしたね。年齢相応の顔立ち、体型に加え、ここのところ表現力が加わり、ある意味では大人っぽさが売りだと言えますね。ただこのところ彼女は周囲からの期待が大きいせいと、連戦の疲れから正直、精彩を欠くところがありますが、それでも今の日本のフィギュアを牽引する存在であることには変わりません。この二人を比較したときに感じるのは、技術的な部分ももちろん大切なのですが、年齢などから来る魅力のようなものを大切にしなければいけないなということです。
浅田真央選手の場合、テレビの中継でも「真央ちゃん」と呼んでいる場面が象徴するように、いかにも子どもっぽい顔立ち、服装なのですが、それがある意味で飾らない姿として周囲から好感を持たれているわけです。もちろん競技の時には競技用の化粧はしていますが、普段の生活の中で彼女がそうしているとは思いませんし、彼女もその必要を感じていないと判断できそうです。彼女を見ながら、彼女が評価されることの一つに、やはり彼女の年齢と、精神的なものからにじみ出る魅力が挙げられるでしょう。十五歳らしいという表現が的確であるかは分かりませんが、変に背伸びをしていない、自然な姿は好感が持てますよね。変に化粧をして飾り立てなくても、素顔で十分に魅力的な年齢なのに、素顔を覆い隠そうとしている姿勢よりも評価されるのは当然なのかもしれません。
「天真爛漫」という言葉が似合う浅田真央です。そしてあなたもまだまだ天真爛漫に、明るく、まっすぐでいいのです。飾ることを覚えるのは、飾らねば、隠さねばならない時にすればいいはずです。素顔のままで輝くあなたでいてほしいと、今学期を閉じますね。

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