2005/6/27
「大学を見る目」
多くの人が高校卒業後の進路に大学というものを考えているでしょう。この大学、何を基準に選べばいいか分からないという声を、最近はよく耳にするようになりました。たしかに関東圏は私立大学の数が多く、選択肢が多いという意味では恵まれていますが、基準を持たない人にとっては選ぶのに一苦労だというのも現実かもしれません。選ぶ基準について少し書きましょう。といってもアドバイス程度で、それがすべてではありません。
大学というのは高等専門教育機関です。ということは自分がどんなことを専門としたいかというのが、まずは第一条件になりますね。ただ今回はあなた側の視点から離れた話題で進めるため、この話はまた次の機会にしましょう。次に専門機関ですから、その専門を積むと、何につながるのかということがあります。それは大学院への進学率であったり、就職先で確認ができます。大学の作成した学校案内でも、ホームページでも確認できるわけです。これは出口の話ですが、入り口の話だと予備校が提示している偏差値のような物差しが一つの大学の評価なのかもしれませんし、受験人数や倍率などもそういう物差しの変わりになりうるかもしれません。
ところが入り口や出口だけでは見えてこないものも、たくさんありますね。たとえば学生の満足度のようなものは、なかなか数値化しにくい側面もあり、大学評価のようなものに組み込まれていなかったりします。最近では今まで数値化してこなかった側面を相対的に評価した出版物なども増えました。そこで実際に生活する学生の評価というものはバカにできないかもしれません。そういう資料を参考にするのもいいでしょう。そうすると有名ではあるが、あまりにマンモスな大学であるため、学生の満足度は今ひとつという大学なども見受けられます。
さらに社会貢献度のようなものも問われる時代になりつつあります。経済産業省が、産業界の視点で大学と公的研究機関の産業連携体制を評価したものが発表されました。一位は立命館大学、以下、東京農工大、徳島大、京都大、九州工業大、九州大、産業技術研究所、大阪大、広島大、筑波大で、上位十位までが発表されました。これはいくつかの視点で評価してもらった総合成績なので、たとえば共同研究や技術移転の件数では上位に入っている東北大や慶應義塾大、北海道大などはベスト十圏外です。それはライセンス料の要求や特許の取り扱いなどの姿勢面で嫌われたことで、マイナス面があるからのようです。このように大学がただの教育機関でないという側面にも注目する必要があるかもしれませんね。大学が果たそうとしている役割の一端がかいま見られます。
数年前は法科大学院の設置で、昨年から今年に掛けては薬学部の六年制に伴う対応で、そして会計大学院の設置の本格化で、大学の人気はこういう情報の一つひとつに揺れるというか、流される傾向にあります。もちろんこういう部分に素早く対応できる大学のフットワークを否定するつもりはありませんが、受験生に迎合しようという姿勢だけは見抜かなければなりません。それは試験制度についても同様です。AO入試が注目されていますが、あまりに簡単に合格を謳うAO入試導入大学が信用に値はしないのです。まだあなたには時間があります。じっくりと自分が進むべき方向性を見定め、その上で大学を多角的な目で分析し、判断し、志望校を決定していってほしいのです。決して難易度という物差しだけで一義的に大学を図ってしまわない方が賢明ですよ。

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