
今回はめずらしく名称の付いた技法、平行折りである。菊池清先生が「ペーパークラフト 紙ワザ工房」(日貿出版社)の中で使っておられるから、同先生が命名者ではないかと推測する。私の持っている他の本の中で、固有の名称でこの技法を呼んでいるのは同先生だけである。基本的な折り線を含む補助線4本(上の図ではLine1〜4、L1,L2,L3,L4)がすべて平行であることから名付けられたものと思われる。

作例見本。馬が玄関前につながれている一方で、建物はすでに高層化しつつある、西部のとある大都会。
建物は4本の平行線によってつくられ、三角屋根はそこから切り出される形で表現される。並行折りにおいてはこの4本の線が骨組みを決定するが、この骨組みさえ守ればあとは自由な造形の可能性が残されている。
さらに新たな補助線をくわえると(この作例では馬の部分)、さらに表現力はアップする。
折り紙建築においてはもっとも重要な技法のひとつである。とくに
茶谷正洋先生の世界においては他の追随を許さない一大世界、、、。茶谷先生は元祖切り折り紙ともいえる方なのだが、故あって自作を折り紙建築(origamic architecture)と命名、建築物を中心につくられた。なぜなら彼は建築学(東京工業大学)の教授だったから。ちなみにorigamic architectureはフランク・ロイド・ライトの提唱したorganic architecture(有機的建築)のもじりである。
川合工房の切り折り紙世界ではこの技法、脇役や裏方的に使われる。茶谷先生や
木原隆明先生が十二分にやったから、私の出番はなさそうだというのが私の見解である。そういいつつも、そのうちやるのである。真似ばかりしていてはいけないが、自分のものにして使いこなせば(知的所有権を侵害しない限り)なんも悪いことはないのである。

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