この文字がつくと急に胡散臭くなるんやな。
政界、芸能界、プロ野球界、柔道界…。
政(まつりごと)に面白みは感じるけど、政界には吐き気がする。
曲りなりに芸能にかかわってるけど、芸能界には近寄りたくない。
プロ野球は見るけど、プロ野球界にはウンザリや。
何より、自分をここまで育ててくれた柔道には感謝してるけど、柔道界には関わりたくない。
だけど、その「界」を牛耳ってる輩から見ると、自分の考えこそが政であり、自分こそが芸能を体現するものであり、自分がプロ野球を成り立たせ、自分こそが柔道なんだろう。そんな錯覚に陥ってまうんやろな。
戦後のわが国の娯楽を支えてきたプロ野球界の盟主「読売巨人軍」が断末魔の状態にある。シーズン途中で事実上クビを切った前監督の返り咲きが実しやかにニュースに流れる。
引責辞任をしたはずの爺が、舌の根の乾かぬ間に復帰したのには笑えた。
傲慢を絵に描いたような勘違い爺のことだから、「自分でないと栄光の巨人軍は救えない」なんて思ってるやろな。なんせ、自分が「プロ野球」だと考えてるに違いないんやから。
昨年の選手会とのこじれも、それをファンが支持したのも、この爺の「たかが選手」発言が引き金になってるに他ならない。
プロ野球を楽しむ多くのサラリーマン層にとって、経営者の労働者に対するかかる傲慢な発言は看過できんわな。考えたら当たり前のこっちゃな。
コミッショナーという「組織」すら無視する。
そんな傲慢な態度には、憤りを感じる人間は少なからずおるやろしね。
もはや、戦後の物がなかった時代やない。娯楽ひとつにしても、もはや、テレビだけじゃない。プロ野球だけじゃない。ましてや「巨人、大鵬、卵焼き」なんて時代は過去の遺物でしかない。
地球の裏側で行われている大リーグを普通に衛星放送で見ることが出来、地球の裏側で行われているコンサートが普通にインターネットで放映される。
ハリウッドも、ヤンキースタジアムも、すでに夢の場所ではない。
ハリウッドの銀幕に日本人の役者が映し出され、ヤンキースのクリーンナップを日本人を打ってるのだ。しかも、日本の大衆は、それをリアルタイムに目にすることが出来る。
娯楽は多様化してる。後発のJリーグなんざ、既に地域に密着してる。地方に行くほど、唯一放送を独占してる巨人のファンが多いなんて事情は既に瓦解してる。
「もう長嶋さんに頼るのはやめにしようよ」
王貞治の言葉だ。
病床に伏せ、リハビリ途中の長嶋茂雄を、視聴率回復のための「人寄せパンダ」として担ぎ出し、ものの見事に失敗したテレビ局は愚かだ。
長嶋茂雄にかつてのカリスマを期待するのは酷ってもんだ。
本当に長嶋茂雄のファンなら、このような扱いにこと憤るべきだ、と僕は思う。
だからこそ、王はこの言葉を吐いたんだろう。巨人を追い出されたからこそ、「名選手は必ずしも名指導者にはなれない」という言葉を王貞治は覆すことができたと思う。だから、見えるものもあるんだろう。
読売の爺共の中に、この王の言葉を真摯に受け止めるのはいないんだろな。
いやいや、あの爺こそが「裸の王様」なのかもしれない。
巨人軍から追い出された「世界の王」は、現実に目を向けてるようだけど。
みんなが愛想を尽かしてるのは、選手じゃない。あの爺だよ。
なんにしてもプロ野球はおもろなくなった。

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