さて、音楽雑記はDomesticシリーズでもやってみたいと思います。
はっぴいえんど在籍時の1972年に発表されたこのファーストソロアルバムは、もちろんはっぴいえんど人脈は総動員なので、同じ匂いのする部分も多い。が、何かが違う。
自分、「ロックというのはこういうものだ!」とか「パンクとは云々」とか、あんまり興味ありまペン。
"ashes to ashes, funk to funky"ってデビッド・ボウイの歌詞がある。それと同じかどうかはわからないが、音楽は音の響きを純粋に楽しめればいいんじゃないのかなぁ、と思うことがある。
現代音楽や、いわゆるエレクトロニカ系な音楽でも、何でもかんでも抵抗なく聴けるのはそういう嗜好があるからだろう。そんなわけで(どんなわけだ?)、自分は「根なし草」感のある音楽に何故か惹かれる傾向があるようだ。
で、大滝詠一だ。このアルバムに、どうしても聴き手に伝えたいメッセージみたいなものは何ひとつない、と思う。
社会的であれ、個人的であれ、70年代初期に、これだけメッセージ性を感じられないのは稀有だと思う。単純に、好きな曲を自分の楽しみのためのみの目的で作っている、そんな印象さえあるのだ。
たまには、歌の話もしてみよう。大滝詠一の歌い方は、実際にしゃべる時の区切りかたと違っているのが面白い。
特に「指切り」の歌詞の切り方は、Borisの歌の感じと似ていると思うのは、自分だけなんだろうなぁ。ぼんやり聴いていると日本語だか英語なんだか分からない。普通に聴いていても言葉の切り方がトリッキーなんで、次にどう来るかわからないのが、とても面白い。
そういえばゆらゆら帝国でも、目茶目茶なところで歌詞を切る歌があったな
…。(調べたら、ゆらゆら帝国のしびれ収録の「無い!!」でした)
車でヘビーローテーションしてる時期、一度BAKIさんが乗った事があって、その時しばらく黙って聴いていたBAKIさんが、「なぁんにもない歌だねぇ」と言った。なんだかとても的を得た感想で、印象に残っている。音楽なんてなんにもないモノだ。たかが音楽だもの。でも、なんでもなくないから困るんだよなぁ。

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