ぼくらはことばでつながっていた
はかない信号の扉からそっと入って
本当の出会いまでは何もわからないでいた
小さな怯えも、大きな不安もみんなおなじ大きさで
こっそりと話したり、大勢ではしゃいだり
子供の頃を思いだしたように
そしていつしかぼくらはことばの網に捕まった虫のように
もがき苦しむ時を迎えた
けれど肝心の蜘蛛はいつも留守で
一人、またひとりと地上へ戻って行った
ことばはある日ぷつりと途絶えた
ぼくらはなにもしなかった
その先を知らなかったから
見えない糸は身体のどこかにくっついていたのに
みんな今何をしていますか
しあわせですか
ぼくらの糸は土にまみれて白く光っている
まだどこかで信じて待っているんだ
はかないことばを

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