じいちゃんは、筋肉の回復は遅くなったが、脳味噌の回復は早い。単純だからだ。
児童館は乳児から学童までいろんな遊びをするため、毎日念入りに掃除をする。
みんなが床掃除など始めたときに、じいちゃんはそういうことは似合わないから、草取りをした。
今年は生育が遅いんだろうけど、今取っておかないと大変なことになるという感じになっている。
草取りはいいなあ。昨日あったことなど考え考えしながら、作業を進められる。
絵を描いているときなどは、それに集中するから一方を忘れているだけだが、草をとるのにそんなに脳味噌は使わないから、昨日の事など振り返って、考えをまとめることができる。
だんだんスッキリしてくると、単純な脳味噌はもう他の事を考え始める。
大きな桜の木があるから、草は花びらに埋もれている。
このところ毎日花吹雪を見ているので珍しくもない花びらだが、しゃがみこんでみてみると、花の格好のまま散っているのがあるんだ、椿みたいに。
これがきれいだねえ・・・というので、こんなことしてみた。
はははは、童心に帰るというやつだ。
童心に帰って、そのうち0歳に帰って、そのときが「お迎え」なんだなあ・・・
なんてことで草取りを切り上げて、用があって法人本部と2つの保育園を回ったりしているうちに昼を過ぎ、学童たちがやってくる時間になる。
休みのうちに4月生まれの小学3年生の似顔絵を描いて、朝掲示しておいた。
さっそく反応がある。
本人が事務室にやってきた。
「センセー、私の絵、あった!」
「そうか、私の絵だって、わかったか」
「うん。みんな似てる!といってた」
「ほかに4月生まれがいたら、名乗り出るように言っといてくれ」
「あのねえ、4月生まれ、学年で私しかいないよ」
「え、何クラスあるんだ?」
「2クラス」
「そうか、4月生まれは少ないんだなあ」
童心に帰ったせいか、なんか友だちどうしみたいな会話になっていく。


どっちが小学3年生か?

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