指揮官の話はともかくとして、秋です。
28日朝、栗ご飯を食べました。
あ、まちがえました! こっちです。
栗ご飯には思い出があります。
私がうまれてはじめて「合唱」をしたのは小学校4年生のとき。
世の中には「テープレコーダー」というものがあるということを教えるために、新聞社の宣伝カーがわが黒田小学校に来たんですね。昭和27年でしたか。
そのとき4年生が『里の秋』という曲を歌って、そのテープレコーダーという機械に録音したんです。いやあ緊張しましたね。
そして再生音を聞いてびっくり! 同時に、恥ずかしくてその場から逃げ出したい気持ちになったんです。
一番前で緊張して大声で歌っていた私の声が、他を圧してワーッと聞こえてきたんですね。
音楽の女先生が怒りました。記念すべきテープレコーダー初録音の音が、にっくき山口の声に占拠されていたんですから・・・気の毒でした。
その歌の歌詞はこうです。
♪ 静かな静かな 里の秋
お背戸に木の実の落ちる夜は
ああ 母さんとただ二人
栗の実煮てます 囲炉裏端
きっと女の子です。お母さんと二人きりで、戦場からまだ帰ってこないお父さんのことを思い出しながら、栗のみを煮ているんです。
それが証拠に、2番の歌詞は
「ああ父さんのあの笑顔、栗の実食べては思い出す」
もうお父さんは戦死しちゃって、ずーっと母さんと二人きりなのかもしれない。
そんな歌とテープレコーダーのことを思い出し、「ああ俺も長く生きてきたんだなあ」としみじみ思いながら、栗ご飯を食べたのであります・・・

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