私の乗用車。
車は持ち主に似る・・・のか、上のほうが
禿げはじめた。ちょっとわかりにくいが右上の方。
それもそのはず、この車、
平成8年初年度登録だから、今年で14年めということになる。人間の年でいくと
67歳ぐらいか・・・?
実はこれ、車椅子に座ったままの人を乗せる
「リフトカー」なのである。
なぜそれがマイカーなのかというと・・・
町長になって3年目か、
「一銭にもならんことばっかやっとる“文化町長”」「金のかかることばっかやっとる“福祉町長”」とか言われ始めた頃、木曽川町でも福祉ボランティア活動が盛んになり始め、熱心なグループからリフト付の車を備えてほしいという要望がもたらされるようになった。
担当課に相談してみると、今のところ車を買って運転手を貼り付ける費用に見合った
需要はないとの予測。一方で私の頭の中には
「これからの福祉はボランティアによって支えられる」との予測。ちょうど
社会福祉協議会の自立ということを考えていた頃だ。
そこで、おそらくこれは首長として
“卑怯な”手なのだろうが、
誰かがそういう車を買ってボランティアに使ってもらえば
“みんな得する”と単純に考えた。
その誰かは誰か・・・大体そういう損な役回りは
女房殿と我が家では決まっているので、そのようにしてこの車が購入された。
熱心なボランティアさんたちに喜んで使ってもらって、車としては
幸せそうだったし、これを知って「親父を病院に連れてかんならんで貸してまえんか」と使ってくれた人もあった。
そしてまもなく、私の予測どおり、ボランティア活動が盛んになるにつれてリフトカーの需要も高まり、社会福祉協議会が同じ形の車を購入することになって、我が家の車は
お払い箱になった。
そこで自動的にこの車が私の乗用車となったわけである。めでたし、めでたし。
ところがめでたくないときもあって、ちょっとした用事は公用車を使わずにこの車を運転して出かけたりしたため、たとえば商工会長さんをお訪ねしたときには
「これ、町長さんの車かね?」と聞かれたり、おおかた
「今日はどうしやあた?」と言われたりした。
それから何年経ったのか・・・車も持ち主も古びてきて「とも白髪」、いや「とも禿げ」・・・? ときには「お互い、ようやってきたなあ」と健闘をたたえあう今日この頃である。

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