というわけで、2日目は新幹線で高雄へ・・・朝早く勇んでホテルを出たのだが、なにしろ言葉が通じないから、まず台北駅までの地下鉄駅に行き着くのが難題。「しぐなる、ふたつ、ツー、ライト!」で、二つ目の信号を右に曲がる。
やっと駅に着いたら、切符の買い方がわからない。画面を解読しながら2元(2NT$)入れたら、プラスチックのコインが出てきてびっくり。ところがこれを改札機に読み取らせると、入り口がパッと開く。こんなおもしろいのが日本円で60円弱だから安い!
なんてことを喜んでいたら、今度は新幹線の切符を買うのに一苦労・・・。
しかし、こんなことがあるから「さあ、知らないところに行くんだ!」という気分が高まってくる。このワクワク感が外国旅行の最大の楽しみだといえるが、同時に、シアトルの空港でその日とうとう荷物が出てこなかった不安がよみがえる。ハハハ、おじいさんの一人旅・・・人はこれを‘徘徊’というのでしょうか?
その台北駅がこれ。
まるで空港みたいで、ますます旅情をかきたてる。
さて、窓際に陣取っていよいよ亜熱帯から熱帯へ・・・まずやるべきことは、車内販売が来るのを待ってコーヒーを飲むこと。これが予想通り!かわいいお姉さんがカートを押してくる。コーヒーを注文すると「ミルク?シュガー?」、これも日本と同じだ。ここからは東京へ行くときの私のペース・・・コーヒーを飲みながら車窓の景色に見入る。景色が単調なら、本を読む。
だんだん頭の中の風景が日本とダブってくる。私が行こうとしているのは高雄、そのちょっと手前に古都台南、途中台中を通過する。まるで 東京―大阪―ちょっと手前に京都―途中に名古屋 という感じなのである。
なんてことを考えているうちに高雄郊外の左営に到着、ここから在来線の高尾駅までは地下鉄、そしていよいよ・・・
これが高尾駅、古い駅舎が残してあるんだねえ。これはいい。
で、今の駅舎はこれ
ここからお目当ての「東帝士85ビル」378mという摩天楼へ。時間がないから高雄を一気に観光しようという魂胆。東京なら東京タワー、名古屋ならテレビ塔というやつだ。
ところが、地下鉄で行けばいいものを、市内見物と洒落込んでバスを待ったばかりに、ここでへまをやらかした。乗車してから、コインがないと乗れないということに気がついたのだ。
ポケットには札しかない。むりやり料金ボックスに100元札をねじ込んで・・・言葉が通じないから目と目で火花が散る。
(おつりは出んのか!)
(出るわけねえだろう)
(チケットオフィスが閉まっとるがや)
(そんなこと知るか!)
(次を待っとる時間はない、なんとかならんのか)
(ならん!)
と、ここが台湾のすばらしいところだ。若い娘さん二人が席を立ち、私の英語程度の日本語で「これをつかってください」とコインをくれたのだ。事なきを得てバスは出発。運転手は(しょうもねえ)という表情である。
私は札を渡し、寅さんばりに「つりはいらねえよ」と気取ってみたが、「けっこうです」と言って受け取らない。ああ、“長幼の序”! 麗しの国台湾! ・・・だが待てよ、以前ニューヨークでもこれと同じことをしでかし、あの時は白人の上品なおばあさんにコインをもらったっけ・・・。

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