大家「いきなり酒の話かい。旅の目的は鉄道だって言ってたのに」
やま「鉄道だとも。五能線から津軽鉄道・・・寺子屋の頃からのあこがれだ」
大家「で、どうだったい、そのあこがれは?」
やま「あこがれどおりよ、おどろくな!」
大家「へえ、最果ての海を見ながら汽車の旅って感じだな。で、津軽鉄道は何がよかったんだい?」
やま「これだよ!」
大家「なんだい、これが鉄道かい?」
やま「そうよ、こんな別嬪さんがすとーぶでするめ焼いてくれるんだ。ざまあみろ!」
大家「ストーブ列車ってえやつだな。するめで一杯かい?」
やま「その通り! 見てみなよ、するめ焼いてくれて・・・」
やま「するめ、さいてくれて・・・」
やま「で、これだ!」
大家「ストーブ酒・・・で、外の景色はどうだったい?」
やま「・・・忘れた」
大家「しょうがないね。何が鉄道旅だい、別嬪さんのお世話で飲んでただけじゃないか」
やま「いいじゃねえか、それも鉄道旅だ」
大家「五所川原へ行ったんだろ? 太宰治とかの話は無いのかい?」
やま「だざいおさむ? そんなのより五所川原っていえば、これだ!」
大家「すごいね、聞きしに勝る!ってやつだ」
やま「高さ22メートル、7階建てのビルと一緒!」
大家「最後のは何だい?」
やま「単なる案内人さんだ」
大家「単なる、にしちゃあ、えらい別嬪さんじゃあないか」
やま「あっしあこの人に約束したんだ。来年のねぶたに絶対来るってね!」
大家「そうかいそうかい、わかるような気がする。好きなようにするんだな」

0