スーパーじっちゃはほんとにいい人です。
なに話してるかというと「手作り工房おおつち」の人気商品「刺し子」のこと。
「92歳でこんなのができるなんて、すごいですね!」
「え?」
「これ、すごいですね!」
「耳がちこえねえから(聞こえないから)・・・
んでもずぶんで(自分で)つーせえ(小さい)針にも糸通すんだ」
「絵も自分で考えるんですか?」
「あ?」
「これ、自分でデザインしたの?」
「つーせえ時から絵が好きで、ずぶんでこういうの描きてえと思って描くんだ」
横から奥さんが口をはさみます。
「右向きの鮭ばっかりじゃだめだから左向きも描けって言ったのは、
わだす(私)だから・・・それだけは言っとかなきゃな」
奥さんは80ン歳で、この仮設のスポークスマン、
テレビにもすんぶん(新聞)にもしょっちゅう出てるんだそうです。
「しゃべれって言われればいつんつ(一日)でもしゃべってるよ」
このあと私はばっちゃのはなす(話)を単独30分も聞くはめになる・・・
いや、聞く機会に恵まれるのです。
で、すごく好きになってしまったじっちゃとばっちゃに言いました。
「二人の似顔絵を描いて送ります!」
「あ?」
「ぬがおい(似顔絵)描いてくれるんだってよ!」
そして昨晩、夕食後のだらっとした幸せな時間を割いて、仕上げました!
刺し子、ほんとに素晴らしい物、お土産に買いました。
さて、この日の夕食は小川旅館です。
おかみさんが「今夜は珍しいものを食べてもらいます」と言ってたけど・・・
出た、これだ!
ホヤ、ウニ、ホタテから山菜まで・・・地のもの旬のものが並ぶ中に、
一際存在感を示しているのが餃子!
「これは鮭餃子です。
ここでは鮭のことを「南部の鼻曲がり」といいますが、
毎年その遡上を特別な、神聖な気持ちで迎えるんです。
鮭は海へ出ていって4年経つと、ちゃんと生まれた川に戻ってきます。
震災津波後4年目、私たちは鮭のすり身を具にした餃子を作り、
鮭にあやかって復興成就を祈るのです」
試作中ということで、今のところこの小川旅館でしか食べられない。
復興への祈りを込めた鮭餃子を、特別な気持ちでいただきました。
さて、そのお礼たるや、またこの方たちの登場です。
大阪の紙芝居おじさんと木曽川最古の舞踊家オーツカさん、
何やってると思います。「どじょうすくい」なのです!
「鮭への思い」を聴いたあとに「どじょう」・・・
さて、そのお礼へのお礼の気持ちを込めて、小川屋のご主人登場!
というより大阪のおじさんにそそのかされただけのようですが・・・
ははは、はははは! と笑ってる場合じゃないので、
最後は私が『絆』を歌って締めくくりました。
女将さんがずーっとビデオカメラを回してくれて、緊張しましたよ。

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