2016/2/16

娘さんよく聞けよ山男にゃ惚れるなよ山で吹かれりゃョ若後家さんだよ  MOVIE

南アフリカ共和国の報道写真家であるケビン・カーターが
1993年に撮影した
「ハゲワシと少女」と云う写真があります。

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飢餓で苦しむスーダンで
飢えで動けなくなり、うずくまってしまった少女と
その背後で彼女を狙う一匹のハゲタカを撮った写真で
翌年、新聞等の印刷報道、文学、作曲に与えられる
米国で最も権威ある賞である
ピューリッツァー賞受賞を授賞しました。

しかし、その写真は
「報道か人命か」と云う論争を巻き起こし
撮影したケビン・カーターは授賞から1か月後に自殺します。

結構有名な話ですのでご存知の人も多いと思います。

本日の映画の主人公も
フォトグラファーを職業としています。

1993年ネパール、カトマンドゥでの
日本のエベレスト遠征隊に随行したカメラマンの
深町誠(岡田准一)。

しかし、登攀は2人の犠牲者を出し失敗。
帰国後出版するはずだった写真集の話もなくなります。

雪渓を滑降する仲間を救けもせず彼らに向けて
シャッターを押し続けた深町に
遠征隊の隊長も愛想を尽かし
見捨てられた深町は一人
カトマンドゥに取り残されてしまいます

しかし、野心家な深町は撮ることを諦めません。
それが仕事ですから。
写真集を出版する夢を捨てません。
男とはそういうものです。
特に山男ならば。

…ということで
本日の映画は

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世界的なのに映画化されるまで知りませんでした。
しかも映画のエンドロールで初めて原作者が夢枕獏を知りました。




「エヴェレスト 神々の山嶺」

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です。

個人的な話で相済みませんが、
試写会に応募するようになって約5年。

「陰日向に咲く」
「天地明察」
「図書館戦争 THE LAST MISSION」
「永遠の0」
「蜩ノ記」
全て外れました。
それはもうもれなく外れてきました。

岡田准一主演(出演)映画の試写会は当選できない。

私にもとうとうそのジンクスが覆される日が来たのです。

ありがとうございます、北日本新聞社!
これが、テレビ局主催の試写会でしたら
当選は無理でした。

と、きめきめの媚を売ったところで、ストーリーの続きを


「報道か人命か」と問われれば迷わず
「報道」と答えるような深町でしたが、
先の見通しがつかずカトマンドゥの町を彷徨い
立ち寄った骨董品屋で劇的な出会いをします。

それは
ヴェスト・ポケット・コダックのモデルB。

1924年にエヴェレスト頂上を目指しながら
行方不明となった登山家ジョージ・マロリーが
使用していたカメラでした。

同じカメラは数あれど
見つかった場所が場所だけに
マロリーのものである可能性は大。

もしマロリーのものであれば
マロリーとそのパートナーであるアンドルー・アーヴィンが
世界初のエヴェレスト登頂を果たした証拠ともなり
世界的大発見となります。

思わぬ幸運にほくそ笑む深町。

早速、知り合いの斎藤(山中崇)からお金を借り
カメラを買い取ったところ
骨董屋にアン・ツェリンというシェルパと
ビサル・サルパと呼ばれる男が現れ
カメラは自分たちの元から盗まれた故売品だと告げ、
深町に返却を求めます。

事情が事情だけに渋々返却した深町でしたが、
ビサル・サルパの顔を見て
かつて日本国内で数々の登攀記録を打ち立てながら
ヒマラヤ遠征で事件を起こし姿を消した
羽生丈二(阿部寛)であることに気が付きます。

運は彼を見捨てなかったのです。

羽生がエヴェレスト単独登攀を狙っていると考えた
深町は日本に帰国後、
雑誌編集長である宮川(ピエール瀧)を説き伏せ
羽生の単独取材を取りつけます。
(もちろん羽生本人には無断で)

そして、取材で知り合ったかつて羽生の恋人だった
岸凉子(尾野真千子)と共に
再びカトマンドゥに旅立ちます。

羽生の単独登攀を撮影し
マロリーが最後に撮ったフィルムを手に入れるために。



ところが、この羽生と云う男
クライマーとしては比類なき天才ですが、
登山以外のことに関してはまるっきり使えない男だったのです。

まず空気が読めない。
他人からどう思われようが気にしない。
だから誤解されっぱなし。
でも、気にしない。

まずは今を遡ること1967年、
国内屈指の谷川岳一の倉沢第三スラブを
積雪期に登攀と云う偉業を成し遂げた際には
大事なパートナーである井上(甲本雅裕)の前で
悪びれもなく単独登攀でもいけたと豪語して
井上の顰蹙を買ってしまいます。

また、唯一兄のように慕ってくれた
山岳会の後輩、岸文太郎(風間俊介)が見ている前で
「もし遭難しパートナー(つまりは文太郎のこと)が
邪魔になれば切り捨てるし
自分が相手にとっての足手まといになれば
切り捨てられて大いに結構。」
などと持論を噛まします。

あああ、そんなこと本人を前にして云ったら
後々遭難したとき、岸は自ら命を絶つことになるぞ。
と思ったらその通りに…。

しかし、コミュ障の羽生は沈黙を貫いたため
山岳会の仲間は羽生が岸を見殺しにしたと思い込み
羽生は名前通りハブられることになります。

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男は黙ってサッポロビール。

失意の中、羽生は岸の妹である凉子の面倒を見始め
いつしか2人は恋仲に。

やがて、エヴェレスト登攀に向かった羽生は
日本の涼子に首飾りを贈るとそのまま消息不明になります。

で、深町に発見されるまで何をしていたかと云うと
ちゃっかりアン・ツェリンの娘との間に子供を儲け
粛々とエヴェレスト最難関ルートである南西壁の
冬季単独無酸素登頂を目論んでいたのでした。

年老いた父親(=アン・ツェリン)を抱えた妻と
幼児と乳飲み子までいるというのに
命にもかかわる危険な登攀に挑む羽生。

そんな羽生を追ううちに深町の心境にも
変化が現れます。

なんと、羽生に影響を受けた深町は
それまでの過度にビジネスライクだった生き方を改め
感情赴くままに行動し始めるのです。

羽生なんて抜け目ないように見えて
折角、登攀中に偶然マロリーの遺体を見つけ
件のカメラを持ち帰ったまでは良かったものの
カメラの中にフィルムが入っていなかったことに
山を下りるまで気が付かなかったような男ですよ?

そんな男に追従してしまったばかりに
以降の深町はまったく仕事になりません。

雑誌社に頼まれ撮影した写真を火にくべたり

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プロのフォトグラファーになると云うのはかくも過酷なものなのか…。

クライマーが集う酒場で生意気盛りの若者に酔って絡んだり
借金を重ねた上に返す当てを自ら踏みつぶしたり
商売道具も持たずエヴェレストに登って
いきなりスピリチュアルなことを始めたかと思ったら
何の収穫もなく下山したり

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このお返しにてっきり深町が羽生を担いで下山するのかと思いました。

その際羽生自作のポエムを心の中で暗唱してみたり。

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深町がまともに仕事をしたのは中盤までです。

なんかもう



…仕事しろ。

映画の冒頭で雪渓を転げ落ちていく遠征隊メンバーに
無慈悲にカメラを向けていたあの深町は
もうここにはいません。

映画は日本映画らしく音楽を盛り上げるだけ盛り上げて
そこに羽生のモノローグを加え
最高に感動するラストシーンに仕上げていますが、
私に見えているのは
羽生と云う天才クライマーに出逢ったが故
フォトグラファーとしての矜持を捨ててしまった
深町の姿なのです。

映画前半の深町も羽生も自分の目的のためなら
他人の気持ちなどお構いなしで邁進する男たちで
そこには怖ろしいまでに感情に欠けており
日本映画特有のじめじめしたところがなく
これはこれで面白いと思っていたのです。

ちょっと豪華なドキュメンタリーの再現映像を
見るような面白さですね。

ところが、後半は一変し、
岡田准一が雄叫びまくる姿と
泣き叫ぶ尾野真千子の姿ばかりが目立つようになり
いい加減うんざりとなります。

標高8,848mでの吹雪の映像と云い
阿部寛のナレーションといい
岡田准一の泣き顔と云い
ここぞとばかりに大音響でかかるBGMと云い
目にも耳にも全てがやかましいわ!

判ったからそこまでして盛り上げなくてもいいよ!

となってしまい終映後にはどっと疲れが…。

判るよ、深町が損得に囚われず
真のクライマーになる話だということも。

いくらフィクションでもマロリーのフィルムを
発見してはいけないことも。

しかし、こんな結末では
衝撃的な写真を撮ることと、
そうした写真ばかりが喜ばれることに疑問を抱き
葛藤の末自死を択んだ先達であるカメラマン
ケビン・カーターも草葉の陰で嘆いていることと思います。

まあ、あまり仕事に打ち込みすぎると
「ナイトクローラー」の主人公みたいになってしまいますけどね。

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カメラマンならこの俺を見習えよ。

それにしても
昨年秋に公開された韓国映画「ヒマラヤ」と云い
「エベレスト 3D」と云い
ここにきてエベレスとを舞台にした映画が
続々公開されてるのは何か理由があるのでしょうか?


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