2015/9/27

ハリウッドよ、これが映画だ。  MOVIE

本日の映画は

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「虎影」です。

監督は、
「みんな映画はハリウッドがいいんだね!じゃあハリウッド映画だけ観ればいいよ! 予算と技術はある方がいいもんね!特に予算!金で顔叩かれた映画を観ればいいと思います!ハリウッド日本比較の人はそれが気持ちいいんでしょう?」
と云う至極真っ当な正論
且つ若干大人げないツイートをしたため
ネット上ですっかり有名人となった
「進撃の巨人」特殊造型プロデューサー西村喜廣。

そんな西村喜廣監督がメガホンを取った映画ですからね。
これがハリウッド映画ならば
日本に渡った際にはDVDスルー、もしくは、
日本未公開になりかねないような映画ができあがりました。

そういう意味では本作は
(今のところ)日本でしか見ることができない
という映画です。
ね、日本に生まれて良かったでしょ?

まずは、この予告編をご覧ください。


「桜姫」と同じ匂いがぷんぷんしていますが、気にしないでください。

概ねカッコ良い予告編です。
なにしろ主演は「今一番セクシーな俳優」斎藤工ですから
カッコよく撮ってもらわなければ女性ファンが怒り狂います。

さらにその斎藤工がインタビューで


…ん?かぶりもの?

と答えているのですから
最寄りのシネコンで公開されているのに
見逃すわけにはいきません。

たしかに予告編から滲み出ているB級臭に
一抹の不安はあります。
が、ここは敢えてそれを気づかなかったことにして
行ってきました、県内独占2週間限定上映に。

東京での公開(6月20日)に遅れること3か月。
地元での上映を今か今か待っていた人は
私だけではなかったようで
客席もそれなり混み合っておりました。

ただし上映後は皆さん言葉を失っていたような…?

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上映前、上映後の客席は当にこんな感じでした。

出入り口でパンフレットを手売りする劇場スタッフと
目をあわせないようにして足早に岐路に付く人々。

私も例外ではありません。

う〜ん、何と申しましょうか…



予告編は比較的シリアスな場面(これでもシリアスな方)
を掻い摘んで1分半に凝縮していたことを
改めて思い知らされました。

中身は相当……です。

監督のお言葉をお借りすると
レイモンド・チャンドラーの
傑作ハードボイルド小説「長いお別れ」の中に
マディソン大統領札(5000ドル)という紙幣が出てきますが、
ハリウッド映画がそういう高額紙幣で顔を叩いてくるのなら
この映画は岩倉具視札(500円)で叩いてくる感じ?

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平成6年まで市場に出回っていました、500円札。

でも、今となれば
500円札も手に入ればそれはそれで嬉しいはず。

この映画を見終えてしみじみ思うのは
「海外映画に出て来るおかしな日本描写」などは
もう古い。
今のトレンドは
「日本人監督が撮る日本映画に出て来るおかしな日本描写」
という拭いようのない事実でしょうか?

予告編をご覧になれば嫌でもお判りになると思いますが、
この映画は「忍者アクション映画」です。

「忍者」と云うと他の方がどう受け取られるか判りませんが、
私にとっては「ファンタジー」です。
これが出てくるだけで
時代劇映画だったものがチャンバラ映画へと
変貌してしまう魔法のアイテムなのです。

そう、どれだけ正統派な時代劇でも
どれだけシリアスな展開になろうとも
「忍者」がそれも黒装束姿の「忍者」が出てきただけで
画面は一変し、一気に安っぽく見えてしまうのです。

昨年公開された「超高速!参勤交代」にも登場し
終盤、江戸の街中で派手な
忍者チャンバラアクションが披露してくれるのですが、
「もうちょっとかんべんしてよ〜。」
と、それだけで辟易したものです。

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古今東西みんな大好きですよね、ニンジャ。

ハリウッド映画「ラストサムライ」においても
「漫画的な忍者軍団」が登場します。

wikipediaの記事によりますと
「日本人スタッフが難色を示したものの、
監督はじめアメリカ人スタッフの
『間違っているのは解っているが、どうしてもニンジャを撮りたい』
という要望でそのまま残っている。」
そうです。

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「ラストサムライ」でも忍者が出てきた瞬間に一気に興醒めしました。

そこまでしても日本を舞台にした映画にはぜひとも登場させたい
「みんな大好きニンジャ!!」

そのお気持ち、察することはできるのですが、
映画の中で黒装束姿のべったべたの忍者を見るだけで
富山県でのコンサートや舞台でアーティストに
「そうそう、富山と云えば
『ブラックラーメン』食べました!」
と、ドヤ顔で宣言された時のような顔になってしまいます。

リップサービスで仰っているのは判っています。
有難いとは思います。
でも、富山県民それほどブラックラーメン押しじゃないんですよ。
もっと美味しいものは他にもあるんですよ。
…8番らーめんとか?

とまあ、そんな感じなんです、映画における「忍者」の存在も。

何故かようにも「忍者」が国内外で愛されるのか?
それはおそらく使い勝手が良いからではないでしょうか。

「忍者」の前には
「時代考証」などと云った小賢しいものは必要ありません。
比較的好きなように物語を作ることができます。
どんなおバカな必殺技も兵器も
「これは忍術です」と云いきってしまえばOKです。

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このようなパワードスーツがお目見えしても大丈夫です、ニンジャ映画だから。

例え「人外」のキャラクターが現れても
観客からクレームが出ることはありません。

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なんならここまではじけちゃってもOKです。

作り手やりたい放題!!
ビバ!ニンジャ!

公式サイトのストーリーをそのまま拝借して
紹介いたしますと、本作は

「『忍びの世界で最強』の名を欲しいままにしていた虎影は6年前にその道を捨て、里の片隅で家族と共に静かに暮らしていた。しかし、妻と息子を人質に取られてしまい、隠された財宝が記された二つの“巻物”を巡る、命懸けの争奪バトルに巻き込まれていく。愛する者を救う為、再び刀を抜くことを決意した虎影の前に立ちはだかる、凄腕の刺客達―
はたして財宝は誰の手に?そして、虎影を待ち受ける運命は?」


ととっても簡潔なストーリーとなっております。

「カムイ外伝」をベースにして撮っていたら
お子様向けの「仮面の忍者 赤影」になっていた
と云った感じの映画です。

監督本人にとっては
「これ面白い!絶対受ける!」を
次から次へと集めて映画に投入した結果
こんな面白い映画が完成しました
と行きたいところでしょうが、
何をどう面白いと思うかは人によって異なって当たり前。

逆に監督と同じ感覚の持ち主ならば
間違いなく大好きになれる映画です。

と、このような奥歯に物が挟まったような物言いとなり
申し訳ございません。

「自分が面白いと思わなければ他人にも面白さは伝わらない」。
それもまた真理とは思います。

私もその考えでブログの記事を書いているのですが、
これがなかなか難しい…のです。

私も中盤での虎影が大草原を突っ走りながら
「お父さん、どうしよう!」
と、叫ぶところなんて大好きです。

敵味方問わず
いきすぎちゃっているキャラクター造詣も大好きです。

でも、ひっくるめて好きかと云うとそうではありません。

これを以てして
「新時代の活劇アクション」等と大見得を切られると、
時代活劇の未来に憂えてしまうのです。

「時代劇」「活劇」の態を取っただけで
忍者映画でもチャンバラ映画でもないんだもの、この映画。
ニンジャで1本撮りたいだけの映画なんだもん!

小学生の男の子が「忍者」に初めて触れて興奮のあまり
「俺も!俺もニンジャ描く!」
と、ノートに殴り書きした自作マンガのような作品じゃないですか。
(Hな展開になりそうなところをHな展開と云うのが
どういうものか判らず回避してしまうあたりが
中学生ではなく小学生。)

そんな映画がこれからの日本の時代劇の一端を担うかと思うと
つい暗澹とした気分になってしまうのです。

ただし、そういうくそまじめな気分を払拭すれば
本作は気持ち良いまでの「男の子映画」です。

だって、見どころが
竹製のパワードスーツ
人間手裏剣
イノシシのかぶり物
なんですよ、この映画。

そんなの男子狂喜乱舞です。

思いっきり楽しめないのは、私がかつて(と云っても数十年前…)
「男子」ではなく「女子」だったせいもあるのでしょう。

ところで、公式Facebookで
上映後の「トークショー」の案内をしているのですが、
その際に使われている画像がこれ↓って
いい加減すぎませんか?

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マッツ・ミルケセンは出演しておりません。写真はイメージです。

本当にこの映画を愛しているなら
こういう細かいところにちゃんと気を配りましょうよ。
と、云う気持ちになります。

まあ、こういう間の抜けたところも含めて
ほんと、嫌いにはなれないです、こういう映画。

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タグ: 虎影 斎藤工



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