2015/10/7

ヒーローになる覚悟はあるか  MOVIE

本日の映画は
MCU、フェーズ2の最後を締めくくる

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ポール・ラッドってちょっとベン・アフレックに似てません?

「アントマン」です。

公式サイトで紹介されているストーリーは
以下の通り

やる気も能力もあるのに、なぜか空回りばかりのスコットは、仕事も家庭も失い絶体絶命…。彼にオファーされた最後にして唯一の“仕事”は、身長わずか1.5cmになれる驚異の“スーツ”を着用し、想像を絶する特殊能力を持つ“アントマン”となることだった。最愛の娘のために猛特訓を開始した彼は、本当のヒーローとなり、人生のセカンド・チャンスをつかむことができるのか? そして、アントマンに託された決死のミッションとは…?

お見事です、公式サイト。

核心となる部分を巧妙に伏せた上で
ここまで簡潔明瞭な文章にまとめるとは。

まず、公式サイトでは
何故主人公のスコット・ラング(ポール・ラング)が
「仕事も家庭も失」ったのか
何故そんなスコットに
「アントマン」の依頼がどこから来たのか
それらについてはいっさい触れられておりません。

ですので、何も知らずに本編を見た時には
「え?そうだったの?」
と素直に驚かされました。
そりゃ、絶対絶命にもなりますわ。うんうん。

公式サイトだけにネタバレに対して
細心の注意を払っていることをひしひしと感じます。

しかし、これだけ随所に箝口令が敷かれた跡を見せておきながら
「キャラクター」の末尾にこの人↓が載っているのは
いかがなものでしょう。


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この人の出演こそ内緒にして欲しかったです。

ということで、「アントマン」の感想ですが、
さて、困りました。

と云うのも、私には今回の悪役
ダレン・クロス(コリー・ストール)が
思ったほど憎らしく見えなかったからです。

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単なる「ちっちゃいもの大好きおじさん」です。何でも小さくしてしまいます。

元S.H.I.E.L.D.エージェントであり
原子間距離を捜査する亜原子粒子ピム粒子を発見し
初代アントマンとして活躍した昆虫学者兼物理学者
と、肩書ばかりが異様に長い
ピム・テクノロジーズ社社長のハンク・ピム博士に
若くして才能を見い出された(らしい)クロス氏。

…と、ここから先の文章は
ピム博士の発言とクロス氏の記憶から
私が勝手に推測したことですので
かなり勘違い(と云う名の妄想)しているところ
もあるでしょうが、
おそらくこういうことだったのではないでしょうか。

ピム博士はクロス氏を実の息子のように可愛がり
ゆくゆくは跡継ぎに…と目論んでいたようです。

ところが、人間とは勝手なもので
クロス氏の研究が進むに連れてピム博士は
自分に似てきたクロス氏を疎むようになります。

同族嫌悪ほど厄介なものはありません。
そして、そういう悪感情はすぐに相手に伝わるものです。

ピム博士のことを師匠と崇め
実の父親のように慕っていたクロス氏からすると
これは心外です。

ピム博士に認められたいがため
一心不乱にそれこそ頭髪を犠牲にしてまでも
研究に取り組んできたと云うのに
なんたる仕打ちでしょう。

さらにクロス氏に追い打ちをかけたのは
研究対象の亜原子粒子はすでにピム博士によって
1989年には「ピム粒子」と云う名前で実用化されており
博士自身がその原理を応用したパワードスーツで
ヒーロー「アントマン」として
世界の危機と戦っていたという事実でした。

それを知った時のクロス氏のショックを思うと
こちらももらい泣きです。

「俺が今やってる事なんて無意味じゃん!」
と思ったに違いありません。

しかし、彼は諦めませんでした。

不鮮明な写真しかないアントマンの戦闘記録と
研究データだけを頼りに独力でピム粒子の再現することを
決意するクロス氏。

自分に構ってくれないピム博士なんて
株主総会にかけて社外放出です。

経営に興味のないピム博士が野心家のクロス氏より
社内での実権を握っているわけがないので
あっさり退陣させられてしまいます。

しかし、だからと云ってクロス氏の傷心が晴れることもなく
以後クロス氏はピム博士をうじうじ憎み続けることに…。

ちょうどその頃、クロス氏は
薄情なピム博士が自分だけでなく実の娘にあたる
ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)
までないがしろにしている事を知ります。

愛弟子である自分に対してピム粒子を隠匿したように
実の娘に対しても何か重大な秘密を隠しているようなのです。

孤独感に苛むクロス氏がホープ嬢に親近感を抱き
実の妹のように思っても仕方ありません。

そう、クロス氏はホープ嬢を妹のように感じているはず。
そうでなければ、ディナーだけで済むわけがありません。

おそらくクロス氏は天涯孤独。
それだけに家族に対する憧れが強いのです。
(だから後々敵となる男の娘も殺せない)

そんなこんなでピム博士を放逐した後
クロス氏はホープ嬢とともに事業を拡大していきます。

ところが、ここに来てなんとホープ嬢の心までが
クロス氏から離れていきます。

理由はクロス氏が再現したピム粒子改めクロス粒子を
ゆくゆくは軍事利用しようと企んでいることが
発覚したためです。

しかし、軍事大国であり経済大国であるアメリカに
生まれたクロス氏が「利益追求」「軍事利用」に走るのは
あながち間違いではありません。
高く売りつけるなら「兵器」として商品化するのが一番です。

かつて、ピム博士と志を共にしていたはずの
S.H.I.E.L.D.のメンバー
ハワード・スターク(ジョン・スラッテリー)や
ミッチャル・カーソン(マーティン・ドノヴァン)も
博士の研究成果を軍事利用にと目論んでいたくらい
自然な流れです。

社長たる者、まずは社員一人一人の生活のため
利益を上げ続け、会社を成長させなくてはなりません。
それも永続的に。

しかし、そんなクロス氏の考えに見切りをつけたホープ嬢は
あれほど嫌っていたピム博士の元にこっそり戻ると
今度は彼の密偵となってしまいます。

まさか彼女が心変わりしているとは露知らず
クロス粒子の完成まであと一歩と云うところで
クロス氏は先に出来上がった
伸縮自在のパワードスーツ「イエロー・ジャケット」を
企業向けのレセプションで大々的に披露します。


こんなPVまで作って……。

口では「平和活動のためのスーツ」と云っていますが、
PV映像では「兵器」としか見えないため
フランク(ジョー・クレスト)と云う良識ある社員が
それとなく社長に意見します。

折角プレゼンも成功し気を良くしているところに
思わぬ茶々を入れられたクロス氏。

「積極的平和主義だよ、積極的平和主義!
軍備拡大こそが最強の安全保障なんだよ!
そこんとこちゃんと汲み取れよ!!」
と、苦虫を噛み潰したような顔になります。

レセプションに招待したピム博士に
一泡吹かせたつもりだったので
高揚した気分が台無しです。

そこでクロス氏は、
防犯カメラの入っていない自社のトイレで
フランクと2人っきりになるや
クロス粒子の実験失敗から生まれた自作の銃で
フランクを撃ち、ピンク色のペーストにしてしまいます。

実はこの時点で完成途中のクロス粒子はまだ安定しておらず
無機物は縮小できても
有機体が浴びるとなぜか縮小せず
直径5cmほどのペーストに変化してしまう
と云う欠点を持っていました。

とは云え失敗から生まれたヒット商品など
この世にごまんとあります。
これを使わない手はありません。

この失敗クロス粒子を発射する銃ならば
死体の処理もトイレットペーパーでさっと拭って
便器にポイするだけ。

これは「冷たい熱帯魚」での名文句
「ボディを透明にする」のさらに上を行っています。

その後フランクの消息については
誰の口からも語られませんし
警察が介入してくることもありません。
何と云う完全犯罪!
むしろ「イエロージャケット」より使える兵器に思えます。

ただし、クロス氏がこの非人道的な銃を使うのはこれ1回きりです。

判っているのです、
こんな銃何度も使っちゃいけないことは。

クロス粒子による有機体縮小実験に
愛らしい子ヤギを使うところなど
悪役らしく人非人な面も見せてきますが、
だったら
ホープ女史の云うように「実験用マウス」を使用すれば
心は痛まないのでしょうか?

1.5cmのネズミよりも
1.5cmの可愛い子ヤギが見たかったんですよ、きっと。

実験成功後、ミニサイズになった子ヤギちゃんから
眼が離せず愛でるように眺めまくるクロス氏。

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ほら、こんなに喜んでおられます。


あのまま自宅に持ち帰って大事に飼っていそうです。

人を外見で判断してはいけません。

そう思うと
「クロス粒子」や「イエロー・ジャケット」と云った
ネーミングセンスの無さまでも可愛らしく見えてきます。

一方、クロス粒子の完成を危惧したピム博士は
「イエロージャケット」を盗み出し(これは犯罪です)
クロス氏の計画を阻止しようと考えます。

そのためには1.5cmに縮小し
どこにでも潜入できる「アントマン」になる
人材が必要となってきます。

そこで選ばれたのが実娘のホープ嬢ではなく
件のスコット・ラングです。

ホープ嬢の気持ちを知ってか知らずか
ピム博士は、どこの馬の骨とも判らぬスコット
(彼は窃盗犯です)に娘以上に目を掛けます。

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全ての元凶はこの博士です。スコットに自分の尻拭いを全て任せます。

かつてクロス氏もこのように博士から
可愛がられていたのでしょう。

新たなる「博士にとって実の息子のような存在」を知った時の
クロス氏のショックを思うと、こちらもさらにもらい泣きです。

しかし、ここまで博士にコケにされてなお
ついでにホープ嬢の裏切りも明白となっても
クロス氏は
スコットを交えピム親子と対峙した際
彼らを殺すことができませんでした。

あのペースト銃を使えばこんな3人など
いともたやすく始末できると云うのに…。

スコットの娘キャシーを襲った時も
殺そうと思えばいくらでも機会があったのに
「お前の大事なものを全て壊してやる」
と、云いながら嬉々としてレーザー攻撃しているのは
キャシー本人ではなく
ラングの元妻のマギー(ジュディ・グリア)が
再婚した相手パクストン(ボビー・カナヴェイ)が
キャシーのために用意した子供部屋と玩具なのです。

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人質そっちのけで子供部屋を破壊するのに夢中なクロス氏。

妻と子供を奪った男の家がどれだけ破壊されようと
元夫で部外者のスコットにとっては痛くも痒くもありません。

クロス氏の的外れな攻撃はそればかりではありません。
クロス粒子のサンプルをくすねた
ミッチェル・カーソン(マーティン・ドノヴァン)を除いた
残りの悪党どもを殺しまくっているのも
ヒーローのアントマンではなくクロス氏です。

悪役でありながら、ヒーロー側の人間を傷つけることなく
代わりに廻りに蔓延る悪党を一人で殺しているのです。

おかげで世界の平和が保たれました。

その頃真のヒーローアントマンはピム・テック社屋を
まるっと消失させていました。
元社長(=ピム博士)の依頼とは云えやりすぎです。
社外に逃げ遅れた社員その他の人はどうなったのでしょう?
ピム・テックの社員は明日からどうやって食べていくのでしょう?

アントマンの悪行と比べるとクロス氏などまだまだ。
これでは本作のヴィランとしてあまりに不憫すぎます。

ないしろスコットなんて2時間の上映時間内で
機密漏洩、住居侵入、金庫破り、窃盗、殺人といった
犯罪を次々やらかしているのです。

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主人公でありヒーローが実はバリバリの(軽)犯罪者。人生はやり直せるのです。

しかも3年も刑務所に服役していたため再就職もできなかった
スコットが仕方なくシェアハウスしている仲間
3バカトリオの
ルイス(マイケル・ペーニャ)、
デイヴ(ティップ・ハリス)、
カート(デヴィッド・ダストマルチャン)
はいずれも窃盗団がお仕事です。

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悪そうな奴は大体友達。 悪そうな奴と大体同じ。

たしかに「アントマン」に付き従うアリたちを
番号で呼んでいた元アントマン=ピム博士と比べ
1匹とは云え「アントニー」と云う名前を付けた
スコットの方が人情味があると云えます。

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他の使い捨て要員要蟻には名前がありません。

でも、ピム博士が正式にクロス氏に後を継がせていれば
きっと全員全蟻に
名前をつけ可愛がっていたに違いありません。

そう、彼のように。

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この映画にも秘密兵器「縮小ビーム銃」が出ていましたね。










と、ぐちぐちと書いてきましたが、
非常に楽しい映画です。
ええ、ええ、最後に
キャプテン・アメリカとウィンターソルジャーさえ出てこなければ…。
(来るべき「シビルウォー」を予感、いえ悪寒し
一気にテンションが下がったもので…)
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