2015/5/24

A boy’s best wife is Himself.  MOVIE

久しぶりに遠出して
いつもより大きいTSUTAYAまで行き
行きつけのTSUTAYAにはおいていない
「ロード・オブ・クエスト ドラゴンとユニコーンの剣」を
借りるつもりが、店を後にする私の手に握られた
青い袋に入っていたのはなぜか
「サイコ リバース」

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なるDVD。

つい目が留まり迷わずレジに持っていったものの
なんだこれ?

「サイコ」?で「リバース」?

私の拙い頭では「リバース」は「嘔吐」と云う意味ですが…。

一応出演者は地味に豪華で

キリアン・マーフィ
エレン・ペイジ
スーザン・サランドン
ビル・プルマン

の名前がジャケットに並んでおります。
(他にもキース・キャラダインとか)

ビル・プルマンにつきましてはつい先月
BS日テレで「ID4」を見た友人が
「ビル・プルマン、久しぶりに見たYO!」
と云う内容のメールを送ってきました。
友よ、ちゃんと仕事しておるではないですか、ビル・プルマン。

というプライベートな話題は脇に下げて
「Peacock」なる原題を確認しただけで本作が
自称映画好きなら誰もが知っている「サイコ」とは
無関係であることが判ります。

配給会社のよんどころない事情からこのような
「映画愛が強い人であればあるほどこのタイトルでは手を出さない」
邦題となったのでしょうが、
例え原題のまま「ピーコック」と云うタイトルであろうが、
過去の名画にあやかった邦題をつけようが、
DVDを手に取ってもらえる感じがまるでいたしません。

と云いつつ、手に取ってしまった以上
帰宅後はいそいそとデッキにディスクを挿入いたしますよ。


上映時間はだいたい1時間30分。



いや〜、そんな私も
本編前にこのようなトラップが潜んでいるとは
思っておりませんでした。

DVD再生直後に始まったのは



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要するにレンタルDVDお約束の「新作紹介」ですが、いつもと様子が違います。

ここまでならどのレンタルDVDにも起こりうることですが、
その後

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大きく出たもんです。

と銘打たれたユニバーサル映画7作品の予告編が
一挙に流れます。

初っ端から画面いっぱいに
「最強ハイクオリティ超大作」と書かれているにも関わらず
予告編を見る前から
「最強」「ハイクオリティ」「超大作」何一つ
期待が持てないのはどういうことでしょう?

とりあえずその豪華ラインナップは以下の通り。

まず1本目は
「ハルマゲドン」。

……どこかで聞いたようなタイトルですが、

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予告編には一瞬ブルース・ウィルスのそっくりさんも出てきますが「アルマゲドン」ではありません。

映画の正式タイトルになるのはこれがはじめてのことと思います。
それなのにはじめてという感じがまるでしません。

説明文によりますと
「未曽有の危機を描いた驚異のディザスター・パニック超大作!」
だそうですが、「超大作」と云っている割には
私、不勉強のため予告編で初めてその存在を知りました。

しかし、予告編を見る限りでは
「超大作」の名に恥じることなくお金だけはかかっていそうです。

2本目は
「スターシップ・ソルジャーズ」。

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「無数の巨大バグズが襲いかかる!」だけに無駄にCGに力が入っています。

間違える方はおられないと思いますが、
念のため「スターシップ・トゥルーパーズ」ではありません。
「人類と宇宙バグズとの果てしない闘争を描く興奮の
スペース・アクション!」との事ですが、
勿論「スターシップ・トゥルーパーズ」の続編でも
スピンオフでもありません。

それだけは本編を見ていない私でも判ります。

7本中2本までしか紹介されていないのに早くも
不穏な空気が漂う中、3番目に登場するのは
「ウォー・オブ・ザ・ゴッド〜勇者たちの神話〜」

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雷とハンマーと神話と云えば…。

いかにもありがちなタイトルな上に
「神の力を持つハンマーを手に入れろ!」
とかどうどうと云っております。
ですので副題の「神話」は「北欧神話」のことです。
それ以外は認めません。
もし「トール」とかいう神が出てきたら
それ「ソー(マイティ・ソー)」のことだから。

4本目「ザ・スネーク」。
タイトルでだいたいお判りになると思いますが
西部の街に数百万匹の毒蛇と巨大蛇が現れます。

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アニマルパニック映画では数で攻めるのは子供、巨大なのは親と決まっています。

数百万匹もの蛇が這う映像は確かに圧巻ですし
工夫を凝らして西部劇となっております。

流石、「最強ハイクオリティ超大作」、
バラエティには富んでいます。

と、いい加減早送りしたい気持ちを抑えて
5本目は
「レジェンド・オブ・アーク〜ノアの秘宝〜」。

いろいろ混じりすぎて原型を留めていないようですが、
予告編を見る限り、監督は
「インディ・ジョーンズ」シリーズみたいな何かを
撮りたかったのだと思います。

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予告編ではインディ・ジョーンズ的な人も出ているのですが、何から何まで違います。

これが6本目になると
さらに恥も外聞も捨ててしまいむしろ清々しいくらい
のタイトルで挑んできます。

ということで6本目は
「パイレーツ・オブ・オーシャンズ
〜キャプテン・ドレークの不滅の航路〜」

もはや何も云うことはございません。

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「実在」と云う言葉がこれほどまで白々しく感じられる映像に私お目にかかったことがありません。

しかし、こんなもので終わらないところは
ユニバーサル・スタジオ。

最後の作品はずばり
「ゴーストライダーズ」。

…謝れ、とりあえずニコラス・ケイジに謝れ。

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よもやこれがゴーストライダーズ(の一員)ではあるまいな?

どの作品もVFXに力を注いだ作品ばかり
とは云え、主演俳優までもが見たこともない俳優なのが
致命的と云えましょう。

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いやいやいや、俳優の名前はおろか代表作の名前すら見たことないよ!!

7本抱き合わせで売ろうとする配給会社の試みも
判ると云うもの。

ですが、この「新作案内」の恐ろしいところは、
7本を軽く紹介した直後に
がっつりと編集した予告編が改めて流れることでしょうか?

何故か流れるのは「ザ・スネーク」、
「レジェンド・オブ・アーク〜ノアの秘宝〜」
の予告編2本だけと云うのもまた…。

……。

この濃密な4分間の後
「パリ20区、僕たちのクラス」
の予告編が流れた時は心底安堵いたしました。

「駄作で金を貰ってこそ本当のプロ!!」(「新吼えろペン」)
とはこういうことなんですね。
見てもいない映画を「駄作」と決めつけるのも
どうかと思いますが。

しかし、
TSUTAYA並びにGEOの棚からこれらのDVDを掻き集め
96円×1.08×7≒726円も払う気力は
今の私にはありません。

こんな最強ハイクオリティ超大作ばかり配給し
適当な邦題を付けているから
「ピーコック」が「サイコ リバース」なんて名前に
日本語翻訳されるわけですね。

まあ、私のようにそこに目が行き
DVDを借りるような人間もいるのですから、人間万事塞翁が馬。

ということで、前置きが大変長くなりましたが、
ここから「サイコ リバース」に話を移したいと思います。

映画が始まると出てくるのがこの女性。

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演じているのが誰か頭では判っていても「ほんとにキリアン…?」と考え込みました。

裏庭で洗濯物を干し終わると
足早にカーテンを閉め切った自宅に駆け込み
かいがいしく朝食の準備を始めます。

午前8時15分。
彼女の時間は終わります。

2階の自室に入ると、彼女は化粧を落としウィッグを外し
ドレスを脱いで本来の姿に戻ります。

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刈上げ、白ランニングと白ブリーフと云う姿に感無量です。

彼の名前はジョン・スキルパ(キリアン・マーフィ)。

女装癖があるのではなく
母親から受けた虐待が原因で解離性同一性障害を患っています。

もう一つの人格は「エマ」と云う名前で
1年前ジョンの母親が亡くなった後出現し
以後、彼の食事や身の回りの世話をしています。

しかし、それは誰も知らない 知られちゃいけない
2人だけの秘密。

午前8時30分。
ジョンはエマが用意した朝食を一人で食べ、
自転車で勤め先のピーコック銀行に向かいます。

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不味そうに食べるところがポイントです。

他人を目を合わすことができない変わり者
というのが職場におけるジョンの立ち位置です。

気が弱いため上司のフレンチ(ビル・プルマン)からは
就労時間以上の仕事を押し付けられて
昼休みすら充分にとれませんが、
文句を云うほど苦でもありません。

仕事が終わると、エマに頼まれた買いものを済ませ
ついでにエマには内緒でチョコレートバーと
野球カードを買うのが日課になっています。

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チョコバーと野球カードもまたジョンの不安定な精神状態の象徴です。

毎日がその繰り返し。

そんな穏やかで退屈な日々が続くはずでした。

ところが、ある朝
いつものようにエマが人目につかぬよう洗濯物を干していると
ジョンの庭に隣接する線路を走っていた列車が突如脱輪し
彼女を跳ね飛ばしてしまいました。

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板塀を突き破って列車がドーン!

幸いにもエマに怪我はありませんでしたが、
小さな町のことですので
一気に町中に彼女の存在が知れ渡ってしまいました。

ただし、そこは田舎だけに
純朴な人々は素直にエマのことをジョンの配偶者と思い込み、
そこから話は思わぬ方向に。

現在、ジョンの住むネブラスカ州ピーコック市では
上院選を巡るスキャンダルが発覚しゴタゴタの真っ最中。

再選を望むワイアット議員の上級政務官を務める
コナー・ブラックと
現市長(キース・キャラダイン)の妻である
ファニー(スーザン・サランドン)は
事故現場が格好の選挙集会会場になると考え
ジョンとエマの生活に文字通り
土足でずかずかと上り込んでくるのでした。

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悪い人ではないのですが…。

ファニーに押し切られ
エマが庭の貸出を勝手に承諾したのを機に徐々に
列車を一刻も早く撤去し元の生活に戻りたいジョンと
ファニーとの交流がきっかけで社会活動に目覚めたエマの間に
軋轢が生じ始めます。

そんななか、
ジョンの母親から毎月一定の額のお金を受け取っていたと云う
シングルマザーのマギー(エレン・ペイジ)が
幼い息子と共にジョンの家を訪れ、
引き続き養育費を出してくれるようジョンに要求してきます。

マギーと知り合ったエマは、
死んでもなおジョンを束縛する母親が立てた計画を知り
マギーと幼い息子、そして自分が生きつづけるため
ジョンに対してあることを決行します。



と云うお話なんですが、
今回は最後までネタバレはいたしません。

近所の人々が1年もエマの存在に気が付かないばかりか
近くで接してもその正体を見破れないことや
最後に出てくる死体の身元を警察が確認しないことなど
気になるところはあるのですが、
珠玉の作品と銘打ってミニシアター系の映画館で
一般公開されても不思議ではありません。
私は見に行きます。

そんな見る人によっては
「意外とこの映画好き」となるはずの映画ですが、
残念なことに安っぽい邦題が邪魔をしています。

一方「サイコ」の文字に踊らされ
サイコホラー、サイコサスペンス、サイコスリラーを
期待して見ると手痛く裏切られます。

サイコはサイコでも「精神科疾患」を扱った映画です。

このような映画が大好物と云う方に限って
タイトルやDVDパッケージに書かれた
「自分の中の悪魔が、僕を支配する」という煽り文句に
二の足を踏み辿りつけないのではないでしょうか?

地味なキャストにふさわしい地味な映画でしたが、
見終えた直後の私に云えることは
「キリアン・マーフィの演技に酔え。」
ですね。

二重人格を使い分けるキリアン・マーフィの演技は
見ているだけで胸が詰まります。

二重人格であることが周りにばれても
ばれなくとも不幸になる予感しかいたしません。

ただ静かに暮らしたいのは痛いほど判るのですが、
こんな生活を続けていても
決して幸せになれないのも判るのです。

平穏な生活が崩れゆく様に
手に汗を握らされました。

私は好きな映画です。

 

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