2015/5/2

I'm a hungry spider.You're a beautiful butterfly.  MOVIE

映画のレビューなんぞを書いていますと
つい真似してやってみたくなるものに
映画の点数づけというのがあります。

映画レビューにおいては、本文に入る前段階として
その映画を100点満点中(10点満点や5点満点の場合もあり)
自分は何点と見るかを書きこむのが主流のようです。
(有名なところでは「前田有一の超映画批評」があります。)

採点の基準は人によってまちまちで
「作品の良し悪し」で採点する方もおれば
もっと単純に「好き嫌い」で採点する方もおらます。
中には「残酷すぎるから0点」ということも。

私の眼の届く範囲に限ったことかもしれませんが、
このような点数づけをたよりに
「あの映画レビューサイトで高得点をつけているから
面白いに違いない。」
「あのレビュアーが1点しかつけていなかったから
見る価値なし。」
と、見る映画(特に新作映画)を選択している方々の存在も
意外と少なくありません。

他人の書いたレビューを閲覧する際において
意外と本文そのものよりも
その映画がおもしろいかどうかの「目安」となるのが
この点数づけと云えましょう。

私もかつてはいっちょまえの顔をして
「この映画10点満点中3点」とか
ネット上に書いていたことがあります。



ただ、ふと思うのです。
では逆にそのレビュー(の中に書かれた解釈)、
映画の作り手に読ませたらいったい100満点中何点なのかと。

そう思うのは私個人
自信満々にひけらかした解釈が実は全くの的外れだったという
こっぱずかしくも苦い経験を
何度か喰らっているからに他ありません。

思い起こせば、高校生の頃受けた現代国語の試験で
いつもいつも満点って取れていましたっけ?
と云う話です。

ご存知のように現代国語では
問題となる評論や小説から作者の意図することを
読み取らなくてはなりません。

ところが、既に提示されている選択肢の内から
正解を択びだすだけのマークシート型の試験ですら
200満点中の200点を取るのは難しいもの。

文系だった私の場合でも満点を取った記憶はそうそうありません。
そんな私がですよ?
本当に映画を1度見たくらいでそこに描かれている作者の意図を
正確に読み切れるものでしょうか?

無理無理無理無理。

まあ、国語の入試問題には著者が解答を見て
「俺、そんなこと書いてないよ!」
と反論したくなるケースもあるそうですから
じゃあ採点っていったいなんだろうってことになりますが、
それにしてもそのくらい他人が描いた作品を
完全に読み解くことは難しいものです。

ということで、
このレビュー、監督が読んだら
100点満点中のいったい何点ですか?


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「表現の自由」を描いたとして有名な一コマ。でも、私みたいなのは表現者の目のつかないところで作品を論じているので怒らせることもありません。狡いですね。



なんてことを考えさせられたのも
本日の映画
「複製された男」が

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公式サイトに載っているドゥニ・ビルヌーブ監督の
「ネタバレありインタビュー」を拝見するまで
どう解釈してよいものかまるっきり判らなかったからです。


そもそも劇場で予告編を見る前までは
邦題からSF映画だと思いこんでおりました。
私の安直な脳では
「複製された」=「クローン」
と変換されてしまったわけです。

その後、予告編で

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ジャンル以前に予告編見るまで主演はホアキン・フェニックスだと思っていた…。

どうやらこれはミステリーらしいと云うことを知りました。

原作はポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの
同名小説「複製された男(原題:The Double)」。

この邦題からも「SF」と勘違いしても不思議ではないような…。
ただし、映画の原題は「Enemy」です。

とにかく、小難しい映画でして
普通の観客では一筋縄でいかないだろうと
公式サイトにはわざわざ未見の方にはオススメできない
袋とじネタバレレビュー投稿ページ」が
用意されており、既述したとおり
監督と主演のジェイク・ギレンホールの
インタビュー記事(と云う名の作品の解釈)が載っています。

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映画の始まりも監督からの挑戦状(みたいなもん)。

さらに公式サイトには
「監督からのヒント」が載っており
そこにはこのように書かれています。

最も簡単に説明すると、浮気してる既婚男性の話で、
彼が浮気相手から妊娠している妻のもとに戻るまでを
潜在意識の視点から描いた作品なんだ。





ヘ〜ェ、ソウナンダ。
センザイイシキノシテンカラエガイタサクヒンナンダ。


……うん。現代国語の試験で
「この映画を70字以内で説明しなさい。」
と問われた場合、これが模範解答となるのでしょうか?
この文章を書いたら「君、正解!」ってことですよね。

高校時代、現代国語の記述問題で自己採点する際に
毎回、自分の答えと模範解答と比べて
「で、結局私の答えは正解なの?それとも誤答なの?」
と解答編を前にして頭を抱えていた人間に
こんな70字、答えられるわけがありません。

「潜在意識」なんて言葉、どこから出て来たんですか?


というわけでこれ以降の文章は、
「100点満点中0点」をとる気で書いておりますので
ネタバレと共にご了承ください。

ちなみに映画の鑑賞後、原作本も
市立図書館で借りてみたのですが、
こちらはこちらで
本を開くとページの端から端まで
改行、空白が一切ない文章がびっしり詰め込まれ、
20ページほどまで読んだものの
だらだらと本を開いたり閉じたりしているうちに
返却日となってしまいました。
あえなく玉砕です。

なにしろ原作は映画にもあった
「友人から薦められた映画のビデオをお店で借りてきて
自宅のビデオデッキに挿入するだけの場面」
からはじまるのですが、
たったそれだけのことを描くのに
5Pほどページを費やしており
故に呆れるくらいお話が進まないのです。

ノーベル賞受賞作家、敷居高っ!

そしてこの「ノーベル賞受賞作家」というのも
映画を解釈する上で非常に障壁となっています。

「これってどういうことなの?
もしかして何かの伏線なの?」と思っても
「いやいや、一応これノーベル賞受賞作家の作品ですよ。
そんな単純な、そんな単純なわけがないでしょ。」
と、変なストッパーがかかってしまうのです。
きっと高尚な意味を含んでいるに違いないと
脳と身体が身構えてしまうのです。

この作品では、
様々な場面で様々な大きさの蜘蛛が登場するので

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六本木ヒルズにありますね。

何かのメタファーかといろいろ想像するわけです。

これはこの心理ミステリー映画における
監督が用意した伏線もしくはヒントか?
それとも主人公にだけ見える妄想か?
凡庸な私には判らないけれども
なんにせよさぞかし深い意味が…

と思いきや「潜在意識」ですよ!
潜在意識の視点から描いたなんて云われたら
何でもありじゃないですか。
私なんぞに「一度に見抜ける」わけないじゃないですか。

ということで、監督が潜在意識下の物語を
独自の視点で映像化しているからなのか
映画はずっとこのような↓重苦しい空気の中
で進みます。

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主人公の住む町は終始PM2.5大量発生中の天安門広場のように澱んでます。
映画がまんまこんな感じの映画なので最後まで見てもすっきりしません。


そんなストーリーを私が要約するとこうなります。

昨日と今日が知らずに入れ替わってたとしても
気づけないような日々を
」送っている
平凡な大学の歴史講師アダム(ジェイク・ギレンホール)は
ある日のこと同僚から薦められて見た映画「道は開かれる」に
自分と同一人物としか思えない俳優が出ているのを発見します。
尋常ならざるものを感じたアダムは
その俳優アンソニー(ジェイク・ギレンホール、2役)の住所を
調べ上げ接触を試みます。
その結果、物語は思わぬ方向に…。



アダムにとってアンソニーとは何者であるかは
物語上、いくつものヒントが出されているので
判る人には判るようになっています。
ただし、ヒント自体、どう解釈していいのか判らないというのが、
この映画の難しいところです。

例えば、この映画は
主人公のアダムが母親からの留守電を聞くところから
始まるのですが、
そこからすでにちょっとした違和感があるのです。

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「気まま」=「自由業」もしくは「無職」と思いますよね。

映画はまだ始まったばかりで
こちらとしては主人公が何者たるか知らないで見ているため
母親の物云いから
てっきり主人公は定職に就いていないものと思っておりました。

ところが、その後すぐに
アダムが大学で教鞭をとっていることが判ります。

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「気まま」じゃないじゃん!「将来に不安」なんてないじゃん!

定職に、それも大学講師という
親がご近所にちょっと自慢できる知的職業に就いているのに
「将来に不安とかないの?」なんて
母親に真顔で心配されたらいったいどうすればよいのでしょう?

そんな気ままな生活を送っているアダムの日常は、
大学で学生相手に
同じ内容(なぜか同じ講義を2回する)の講義をし
自宅に帰宅した後は
恋人のメアリー(メラニー・ロラン)の訪問を待って
一緒に夕食、その後は一緒にベッドイン
の繰り返しです。

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恋人なのか夫婦なのか関係がはっきりしないメアリー。実は…

そんな単調な生活の中、たまたま
普段会話などしたことのない同僚と映画の話になり
彼が強く薦める「道を開かれた」というビデオ
を見ることになるのですが、
薦めた理由は映画の中に
アダムそっくりの俳優が出ていたから驚かせよう
という訳ではないようです。
そもそも同僚はそのことにまったく気づいていない様子。
(原作ではバリバリ気づいていました。)

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そっくりと云っても5年前の映画なので今みたいに髭を生やしていませんからね。

一方、ほんの数秒だけ画面に登場する端役を
見逃さないばかりか
ただの「他人の空似」とは考えず
「これは自分であり自分ではない人物だ」
とかなり自信たっぷりに確信するアダム。
その確固たる自信に特に根拠はありません。

エンドロールに流れたいくつかの俳優名を頼りに
パソコンで検索したところ、そのそっくりさんが
「ダニエル・センクレア」という名前であることが判ります。

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私が知っているジェイク・ギレンホールはこれなんですけど。

ダニエル・センクレアの出演作は「道は開かれる」以外に
「電話して」
「切符なき乗客」の3本のみ。

要するに売れていない三流の俳優です。

3本ぐらいならと
翌日には後の2本もビデオレンタルしたアダムは
ますますダニエル・センクレアのことが頭から離れなくなり
ネットに記載されている所属事務所に赴き
容貌が同じことからダニエルと偽って、受付の男から
ダニエル宛ての半年分の「親展」を受け取ります。
(窃盗罪になりますのでよいこは真似しないように。)

郵便物からダニエルの本名
「アンソニー・クレア」と現住所を手に入れたアダムは
まずはアンソニーの自宅に電話を入れますが、
電話に出たアンソニーの妻ヘレン(サラ・ガドン)から
声で夫と間違われます。

いよいよ、アンソニーが自分と「同じ人間」と
確信を深めるアダム。

一方、外出先から妻が待つ自宅に帰ってきたアンソニー。
「道は開かれる」出演時は
髭もなく痩せてこざっぱりしていましたが、
現在はアダム同様顎鬚を蓄え外見も瓜二つです。

映画は一旦ここでアダムから離れ
アンソニーとヘレンの生活を紹介します。

おかしなことにアンソニーは
出演作は3本しかなくそのどれもが端役だというのに
自宅に間接照明しかないようなアダムより
よほどラグジュアリーな生活をしています。

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アダムがアパート暮らしならアンソニーは高級住宅街でマンション住まいです。

奥さんは妊娠6か月、
俳優事務所にも6カ月顔を出していないということで
現在仕事をしているわけでもなさそうなのに
いったいどこからそんなお金が?

いろいろおかしいです、この映画。
やはり「ミステリー」ではなく「SF」なんじゃ…
と不安になった頃、
アダムはアンソニー本人と連絡が取ることになんとか成功します。
でも、逢ったところで何がしたいのか、
アダムの真意は観客にはまだ判りません。

アダムと云う存在を知ったことで
やたらこそこそしはじめた夫の様子に異変を感じた
ヘレンは夫に内緒で夫のパソコン履歴から
アダムの勤め先を探しだし大学まで会いに行きます。

アンソニーの妻であることを告げず世間話をする2人。
その割には会話が…
かみ合っているようでかみ合っていないような?

講義に戻るアダムの後姿を見送りながら
慌てて夫に電話をするヘレン。
もしアダムが携帯電話を取り出すようなことがあれば
夫はヘレンの知らないところで
大学講師「アダム」として生活していることになります。
しかし、夫が電話に出たのはアダムが校舎内に
姿を消した後でした。

ヘレンがアダムに逢いに行ったことを知り
一度は無視することに決めたアダムと逢うことにするアンソニー。

指定したホテルの1室では
実際に顔を突き合わせたことで
顔や体型、声、生年月日ばかりではなく
胸の下にある傷跡までが同じと判り2人は激しく動揺します。

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何もかもが同じ2人ですが、服の趣味は異なるようです。
そうでないと区別できませんから。


翌朝出社するアダムとメアリーを尾行したアンソニーは
美しくキャリアウーマンとして働くメアリーに一目惚れし
「自分のことがばらされたくなければ
メアリーと一晩過ごさせろ」と、アダムを脅迫。
アダムも渋々それを受け入れます。

お互い、服を取り換えそれぞれお互いに成りすました後、
アンソニーはアダムの車でメアリーを迎えに行き
残されたアダムはヘレンに逢いに行きます。

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アンソニーの自宅に着くや部屋着に着替えるアダム。
そういう生真面目さが純白のトランクスに表れています。


結局、アンソニーの方は偽物ということが
メアリーにばれてしまい、
そこから一気に真実が明るみとなるのですが

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決め手は「偽りの人生」と同様、指輪の痕です。

そこのところが今一つ判りにくく
結局公式サイトのネタバレで
真相を教えてもらうになってしまいました。

偽りの人生」も片方がインテリ、もう片方が粗暴でしたね。
ということで双子?!とも思ったのですが、
それは劇中でアダムの母親によって一笑に付されます。

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怖気づいたアダムは母親に相談しますが、母親の助言もまたどうもおかしいのです。

蜘蛛以外にも
アダムと母親の会話に出てきた「ブルーベリー」が
その後アンソニーとヘレンとの会話にも出てくるなど
趣向は十分に凝らしてあります。

ということで非常に解釈しづらい映画でした。

ここまで書いてきたことは
これまで他の方が映画レビューでお書きになった感想の
二番煎じのようなものですので最後に一文。

個人的に本作のジェイク・ギレンホールは
肉付きが素晴らしく
脱がなくても脱いでもドストライクだったことを
最後に付け加えてキーボードから手を離したいと思います。

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「おっぱい映画ベストテン」という企画があれば堂々第1位です。
思わず後ろからハグしたくなるような白シャツ姿も素敵です。


 



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2015/6/22  19:00

投稿者:あゆか

kaori様

いつも以上に「あらすじ」が判りにくくてごめんなさい!
タイトルがSF風で謎の蜘蛛が出てくるため、前情報なく見た方には「宇宙から来た蜘蛛星人によって知らない間にコピーされた男の話」と解釈した方も多かったみたいです。
理解はできませんでしたが、映画の空気感は好きです。
ジェイク・ギレンホールはやせているイメージがあったのであんなに肉付きが良いとは思ってもしませんでした。

2015/6/21  19:49

投稿者:kaori

映画は見ていません・・・見ていませんが、あゆかさんのレビューを読んで真相が気になって公式サイトのネタバレレビューを読みました。
でも、読んでも分からなかった(笑)。(映画見てないのに分かるか!)


一体どちらが妄想なの?

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