2014/12/31

君を幸せにするそれこそがこれからの僕の生きるしるし  MOVIE

奥さまの名前はエイミー、
そして旦那様の名前はニック
ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、
ごく普通の結婚をしました
でもただ一つ違っていたのは、
旦那さまはベン・アフレックだったのです…

ということで
2014年の締めくくりに劇場で見た映画は
アカデミー賞の呼び声も高い
「ゴーン・ガール」

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です。

公開以前から
2015年第87回アカデミー賞有力候補の呼び声の高い
作品ですが、
「旦那さまはベン・アフレック」ですので
何が起こっても何をしでかしても
「『旦那さまはベン・アフレック』じゃ、そらしゃあないわ。」
と思わせるところに
キャスティングの上手さを感じさせます。

日本での一般公開が
「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」
「ベイマックス」
といった子供向けファミリー向け映画と若干被ったため
公開早々第2週には日に2回のみ上映(うち1回はレイトショー)
と云う憂き目に遭ってはおりますが、
映画ファンからの支持率は第3次安倍政権よりも高く
この映画の予告編はTOHOシネマズで
11月12月と本編前にもれなく見せられたため
「妻が失踪し夫に事件関与の容疑がかけられる話である」
ということを存じた上での鑑賞と云うことになりました。

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こんな映像を何度も見せられちゃねえ…。

予告編から受ける印象は
「奇跡体験!アンビリバボー」や
「ザ!世界仰天ニュース」に取り上げられるような
「夫婦間トラブルの実態が明らかに!!」
と云う展開ですが、
監督は名匠デヴィッド・フィンチャーですので、
そんなテレビの再現ドラマの枠で収まるわけがありません。

さてさて今回ベン・アフレックはどんな痛い目に遭うのでしょうか?




7月5日早朝、
ゴミ出しを済ませたニック・ダン(ベン・アフレック)は
ボードゲームを小脇に抱え自身が経営しているバー
「THE BAR」に顔を出します。

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ゴミ出しが夫の仕事というのも現代における結婚観の1つ。

バーでは双子の妹でありでバーの共同経営者
マーゴ・ダン(キャリー・クーン)が接客をしており
ニックは持参したボードゲームを妹に手渡します。

この兄からの気まぐれなプレゼントは
しょっちゅう行われているようで
マーゴはろくに見もせずゲームの箱を受け取ると
同じようなボードゲームがいくつも積み重なっている
棚に放り込みます。

店を手伝うでもなく浮かない顔で
カウンター席に腰を下ろしすニック。

そのうち2人は人生ゲームを始めます。

この日はニックにとって5回目の結婚記念日。

どうやらそのことがニックの心に影を落としており
ゲームにもなかなか集中できないようです。

やがてニックは独身の妹相手に
胸のうちにたまった愚痴を吐き出し始めます。

妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が
結婚記念日のたびにヒントだけを書いた封筒を用意し
ニックはそのヒントを頼りに
自力でプレゼントを見つけなければならないこと。

しかし、ニックはそんな妻のお遊びに辟易しており
昨年のヒントも結局解くことができず
1年経った今でもプレゼントを見つけていないこと。

そして、今年の妻へのプレゼントは
何も用意していないと云うこと。





…あ〜、それじゃ帰宅したら

奥さん、失踪してますよ。
旦那(お前)への腹癒せにな!!








ゲーム中
隣人からの電話で呼び出され
慌てて自宅に戻ったニックでしたが、
案の定在宅しているはずのエイミーの姿はなく…。


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失踪してました。


…ですよね。

居間のガラステーブルが不自然な形で壊れているのを
発見したニックは
「すわっ 事件か?」
と、間髪おかず警察に電話。


しかし、この時点で屋敷からは
血痕も凶器も妻の死体すらも見つかってはいません。
テーブルがひっくり返って壊れていただけです。

何かに機嫌を損ねた妻が
ちゃぶ台返しを決めた後外出しただけと云う可能性も
無きにしも非ず。

ところが、シーンが切り替わると警察が現場検証の真っ最中。

さらには失踪3時間後に場所を警察署に移し
担当刑事による事情聴取、
6時間後には報道陣を呼んでの記者会見です。

このニックの早計な行動はおそらく観客をも
妻殺しの疑惑へとミスリードされるためなのでしょう。

しかし、「旦那さまはベン・アフレック」なので
いきなり警察に電話してもちっとも不思議ではありません。
ベン・アフレック以外の俳優なら
「いきなり警察呼ぶなんてこの旦那何か怪しくね?」
と疑われるところですが、
ベン・アフレックならさもありなんさもありなん。

だからと云って劇中の警察は
「旦那さまはベン・アフレック」でも容赦はしてくれません。

良識のあるロンダ・ボニー刑事(キム・ディケンズ)はともかく
同僚のジム・ギルピン刑事(パトリック・フュジット)なんて
最初から「犯人は夫」とにらんでおります。

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妻の友達も血液型も知らないニックですが、それよりニック自身友達いないだろ!

そんなふうに周りが自分に疑惑の目を向けていることを
知ってか知らずか
駆け付けたエイミーの両親ともに
テレビ取材に応じたニックは
生来の性格からうっかりカメラの前で
笑顔(しかも中途半端な)を作ってしまい
ますます自分で自分の首を絞めてしまいます。


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しかも後々同じ失敗をします。何故なら旦那さまはベン・アフレックだから。

この映像を入手した正義感溢れるメディアは
専門家の意見を元に
「事件に巻き込まれたかもしれない妻の安否を
心配している夫がこんな笑顔をするものかしら?
もしかして夫が妻を…?」
と、ニックを厳しく糾弾します。


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マスコミがよだれが出るほど好きなタイプな事件ですからね。

加熱するマスコミの報道と警察の捜査の中、
ニックは一人、エミリーが残していった
結婚記念日プレゼントのヒントから
事件の真相に近づいていくのでしたが…。



ということでエイミーの失踪の理由は意外と早いうちに
解明します。

何故なら問題はそこではないからです。
むしろ失踪の理由が解明してからが
この映画のスタート地点です。

妻がいろいろヒントを与えてくれたおかげで
ニックと唯一の協力者マーゴはあっさり真相に辿りついたものの
時すでに遅し。

その時点でニックは
巧妙に仕組まれた罠にずっぽり嵌りこんでいたのでした。

慌ててテレビでお馴染みの弁護士
タナー・ボルト(タイラー・ペリー)を雇い
新たなる戦いに備えるものの
そこはそれ「旦那さまはベン・アフレック」ですから
肝心なところが抜けており
自力で解決しようという意欲もないため
何をしても後手に回ることに。

形勢逆転を狙うニックですが、
目的のためなら自分の肉体を疵つけることも厭わず
数か月先のことまで日割りで計画を立て
それもカレンダーに直に書きこむのではなく
いつでも予定を変えられるよう附箋を使うような
周到なエイミーに敵う訳がありません。

そんなニックの悪戦苦闘な様子を
小説風に書くとこんな感じです。


ケーブル局の毒舌司会者、エレン・アボット(ミッシー・パイル)との会見を終えたニックは確信した。

「勝った。」と。

トークショー直前にアンディ・ハーディー(エミリー・ラタイコウスキー)が、マスコミに対して彼との浮気を暴露した時にはどうなることかと肝を冷やしたが、機転を利かして見事にこの最大の危機を乗り切ることができた。

今夜の映像が放送されれば、世論や大衆の気持ちは一気にニックの方に傾くだろう。

アンディの登場にトークショーの中止を申し出た弁護士のボルトも先ほどまでの苦虫を噛み潰した顔はどこへやら。今はすっかりご機嫌だ。
彼もまさかニックがここまでできる男だとは思っていなかったのだろう。

「それもこれもエミリーの教育の賜物だな。」
その皮肉さにニックの顔に笑みが浮かぶ。

収録した会見は明日の今頃には全米中に流される。
テレビを見たあの女はどんな顔をするのだろうか?

「ざまあみやがれ、くそビッチ。」

そう思うとニックは愉快でたまらなかった。
あの女に一泡吹かせてやったのだ。
そして、自分をあっさりと裏切ったアンディにも。

しかし、ニックは気が付いていなかった。
自分が取り返しにつかない失敗を冒してしまったことに。





その夜、女は大型液晶テレビの画面を食い入るように見つめていた。

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女が視聴中なのはこの番組です。

テレビの中では、数日前自宅から姿を消し話題の人となったエイミー・ダンの夫ニックが、歯に衣着せぬ発言で有名なエレン・アボットのインタビューに対しいかに妻を愛していたかを切々と語っていた。

女はテレビから目を離さないままテーブルにおかれたワイングラスを手に取った。

それが自分のグラスではなく、隣の男のものだということに気が付かないほど女の目はテレビ画面に集中し、女の脳はフル回転していた。

テレビの中の男の言葉に感動しつつも、これは夫がくれた起死回生のチャンスだということを
聡明な彼女は瞬時に理解した。

思えばこの数日間ろくなことがなかった。
完璧であるはずだった計画は、いくつかのアクシデントに見舞われ今では大きく脱線している。

つい先日まで滞在していたモーテルでは、うっかり知り合いとなった若い男女に有り金の殆どを盗まれた。
しかし、盗みを働いたことで彼らが彼女のことを警察に通報する恐れが無くなったと思えば、むしろついていたと云えよう。
なにしろあの2人は彼女の変装を見破っていたのだから。
下手に警察に駆け込まれては最悪の結果を招くことになる。

そう、彼女はついていた。
無一文になったおかげで頼りたくもない昔の男に助けを求めることになったとしても。

テレビの中の男は失踪中の妻に向けひたすら愛の言葉を並べている。
この口調なら大概の女は絆されるに違いない。
男は今頃世論を味方に付けたとでも思っていることだろう。

彼はまだ自分の仕出かした過ちに気がついてはいない。

彼女の頭の回転が止まった。
起死回生へのシナリオは完成した。
これならこのうっとしい昔の男も合法的に始末し、彼女が望んでいた生活を確実に手にすることができるはず。
後は明日から徐々に実行に移せばいい。
急いては事を仕損じる。そう、急ぐことはないのだ。

夫は予想外に上手くやってくれた。

女は心の中でテレビの中の男に告げる。
「愛しているわ、ニック。」と。


後はずっとエイミーのターンです。
清々しいまでにエイミーのターンです。

所詮は、
目の前の問題を片付けることしか頭にないニックが
先々のことを見通した上で物事を計画し、
たとえ邪魔が入っても
そこから新たに計画を練り直すことができるエイミーに
勝てるわけがないのです。

まあ、失踪後のエイミーには
うっかり隙を見せたり、お金を分散して保管してなかったりと
危なっかしい面がありましたが、
自分が夫に対してどうしたいか
自分がどうなりたいのかという
最終目的だけはしっかり持っており
決してぶれることはないので
どんな事態にも対処することできます。

何もかも弁護士まかせにして、
自分にとって不利になるものの始末を怠っているような
ニックに勝ち目などないのです。

対等な立場でお互いの意見を尊重し
円満な夫婦生活を送ることが理想とは云え
どちらかが相手の財布の紐と行動を牛耳り、
牛耳られる方はその境遇に甘んじている
というご家庭も多いはず。

この作品を見て「結婚が怖い」
と云う意見が少なからず出ているようですが、
劇中でエイミーも云い放っているように
「結婚ってそういうものでしょ。」

女の子が憧れる世界一幸せな結婚式の先には
綾小路きみまろ的夫婦生活が待っているのです。

きみまろさんもこう仰っているではないですか
「あれから40年。
恋焦がれて一緒になったダンナも40年も経てばただのジジイです。
昔、ダーリンだった主人も今ではダラリンです。
最近、ダンナのお茶を飲む音もイヤになり、
ダンナのお茶に一度入れたいトリガブト。」
と。

それでも我慢して40年間続けるのが
「結婚」であり「夫婦生活」なのです。

マーゴと同じ独身女のくせに
何を知った口をきくかと思われるでしょうが、
ラブラブの新婚時代が永遠に続くのであれば
私も結婚を考えないでもありません。

しかし、その間の30代40代には
子作り(子育て)がどうだの
家計の負担の割合はどうだの
ローンはどうするだの
老いた両親の面倒は誰が看るか
財産分与はどうするか
などと云った多種多様な問題を抱えることとなり
いつまでも新婚気分を引きずっている場合ではないのです。

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あれから40年…って5年しか経ってないよ!

それを判ったうえでみなさん結婚に踏み切っているのだと
思っておりました。

エイミーと云う女性は異常なほど結婚に対して慎重です。

劇中でも破綻した夫婦生活を怖れる科白が何度か出てきます。

結婚記念日ごとの凝ったプレゼント交換も
彼女なりに考えた
「二人はいつまでも仲良く幸せに暮らしました」
というおとぎ話の結末のような結婚生活を続ける
秘訣だったかのしれません。

5年目の結婚記念日は「木婚式」と云うそうです。

1年目は紙婚式
2年目は綿婚式
3年目は皮婚式
4年目は花実婚式

結婚記念日にはニックとエミリーの夫婦は
毎年それぞれの記念日の名前にちなんだ
贈り物を交換していました。

2年目の綿婚式には
お互い同じ「少し贅沢なシーツ」を用意し
その偶然に確かな愛を感じていた2人。

まさか4年でダメになってしまうとは…。
夫婦にとってのグランドスラム「プラチナ婚式」
まで後何年あると思っているのでしょう。

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結婚生活を疎かにしていると5年目にはこんな怖い人形が贈られてくるよ!

しかし、よく見るとこの「綿婚式」の贈り物にさえ
2人の思いの違いが現れているのです。

奇麗にラッピングを施されたエイミーのプレゼントに比べ
ニックのプレゼントは同じ品物(しかも高級品)なのに
ビニール包装されたままの形で
鞄の中から取り出されているのです。

まさか万引きしてきたのではあるまいな?

そのくらいエイミーのプレゼントに比べ
心がこもっていないのです。

この気持ちのかけ違いが悲劇の始まりだったのかもしれません。

一方がステキな結婚生活にしようと奮闘しても
片方にその気がなければどうしようもできません。

2人の心のずれは日を追うごとに深まり
5年も経つとプレゼントすら用意しません。

さて、劇中何度か出てきてはいるものの
どのような内容かは明らかにされていない「婚前契約書」。

そんなものを取り決めていなくても
J・POPの歌詞を気取って
「僕が君を幸せにするよ。約束するよ。」
なんて彼女にプロポーズしようものなら
後々痛い目に遭うかもしれませんね。

女と云うものは心のどこかで思っているものです。
「(結婚して)幸せになりたい」と。

ですから男もつい口走ってしまうのです。
「(結婚して)君を一生幸せにするよ」と。

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夫「君を幸せにするよ。」妻「私幸せになります!!」…山口百恵か!

なにしろ現代女性にとっての「結婚」は
「種の保存」でもなく「家と家の結びつき」でもなく
「幸せになるためのもの」ですから。

もちろん、
「夫や彼氏が幸せでいることが私の幸せ」
と思ってもいるのですが、
それは心にも体にも余裕があるから。

エイミーの視点から見れば
とってもロマンティックな告白をしてくれた
(後で他の女にも全く同じアプローチをしていることが判明)
彼氏が、
エイミーが一躍有名人の仲間入りを果たし
彼女自身取り巻く環境の変化に
心中穏やかでないタイミングをついてプロポーズ。
うっかりそれに乗ったが最後、
エイミー(の実家)に財産があるうちは良き夫でいたものの
エイミーの両親が破産しエイミーもニックも無職となった途端
ぐーだら夫に変貌。
夫が貯金を切り崩してテレビゲームを買い漁り
ゲーム廃人になったかと思ったら
何の相談もなく親の介護のためとか云い包められ
都会生活を捨てて行きたくもない夫の田舎に里帰り。
遂にはエイミーの名義で妹と2人でバーを経営しはじめ
その片手間で始めた講師の仕事で若い教え子と浮気…。

そこまでして何で
円満離婚ごときで済むと思ったか?
ニック、見積もり甘めえなあ、もう。

夫と2人で「嬉しいことは2倍 悲しいことははんぶんこ」
がベストでしょうけど
最悪自分だけでも幸せにならなければ
結婚した意味がありません。
ましてや夫一人が勝者総取りだなんて…。

そりゃ「あなた一人を幸せにはさせない」
なんて事になりかねませんよね。

そんな事態を回避するため
プロポーズの言葉は
「僕はあなたを幸せにする自信なんかありません。
でも、僕が幸せになる自信はあります。」
などがよろしいのではないかと。

そうすればこんな素敵な結婚生活を送ることも可能です。

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断っておきますが、この2人は夫婦ではありません。

ニックにとっては自分で自分の首を絞めることになった
トークショーの出演。
なんてったって全国ネットで
「こんな僕でもただただ優しく包んでくれる君だから
幸せにすると誓う My Lover…」
って宣言しちゃったわけですから。

今度こそ公約通り幸せにしてね
と、エイミーに迫られても仕方ないですね。



あ、それから、この映画を見た男性はお判りと思いますが、
結婚を決意する前には
一応相手の母親を観察することが大事ですよ。

この映画に関しては
「カップルで見てはいけない」
と、忠告しているレビューも多いですが、ここまむしろ
運転免許更新時の講習で流れる事故映像を見るが如く
敢えて見ることで来るべき結婚生活に備えてはいかがでしょう。

結婚、怖い。

 
 



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