2014/11/29

覚醒剤やめますか?それとも、人間、やめますか?  MOVIE

本日の映画は
先日見た「キル・ユア・ダーリン」からの流れで
借りてきた「バロウズの妻」

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です。

その前に市立図書館で
「キル・ユア・ダーリン」の原作である
ジャック・ケルアック&ウィリアム・バロウズ著
「そしてカバたちはタンクで茹で死に」を
読んでみたのですが、
小説内ではプライバシーの保護か本名ではなく
偽名が使われており
一応ルシアンもバロウズもケルアックも
相当する人物が判ったのですが、
肝心のギンズバーグがどの人物に当たるのか判りませんでした。

あれ?主演じゃなかったの?

とりあえず、それを踏まえた上で
ダニエル・ラドクリフ, デイン・デハーンという
2大若手俳優のの人気に肖った「キル・ユア・ダーリン」より
今回見た「バロウズの妻」の方がおそらくは
原作に忠実だと思われます。

なにしろ、映画の冒頭で

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単に「これは実話である」だけではないのです。それ以上です。

とまで明記されていますから。



登場するのは
勿論この人たち。




ジョーン・ヴォルマー(コートニー・ラヴ)

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ルシアン・カーの元カノ、ウィリアム・バロウズの内縁の妻。

ルシアン・カー(ノーマン・リーダス)

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「キル・ユア・ダーリン」におけるファムファクタル。ジョーンに片思い。

アレン・ギンズバーグ(ロン・リビングストン)

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この映画に出てくる全登場人物の友人。ルシアンに片思い。

ウィリアム・S・バロウズ(キーファー・サザーランド)

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ルシアン、アレンの友人。「キルユア」違いデイブとも友人。バイセクシャル。

デイヴ・カマラ(カイル・セコー)

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他の登場人物より一回りほど年上の友人。ルシアンに片思い。

タイトルクレジットでは
それぞれの特徴を表すアイテムとともに
配役名が紹介されており
なかなかシャレオツな映画です。

冒頭の文章といい
ゲイリー・ウォルコウ監督の並々ならぬ
気合いが感じられます。

残念ながら
ジャック・ケルアック(ダニエル・マルティネス)だけは
序盤の1944年に起こった
「デヴィッド・カーメラー死亡事件」
(「そしてカバたちはタンクで茹で死に」に当たる部分)
にしか登場しないため
オープニングクレジットには登場しません。

その後描かれるのは
「デヴィッド・カーメラー死亡事件」によって
関係者が人を素直に愛することができなくなり
じたばたする様子です。

この映画ではそれから7年後に起こった
ウィリアム・S・バロウズによる
ジョーン・ヴォルマー射殺事件をメインに持ってきているため
「デヴィッド・カーメラー死亡事件」は
そのきっかけ程度にしか触れられていません。

敢えて言うなら「みんな、片思い」。
この冬、某邦画に用意されたコピーは

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むしろこの映画より本作の方が徹底して「みんな、片思い」。

はこの映画にも十分通用する感じがします。

監督の思い入れが深い分
下手に解釈を付けたくなかったのでしょうか?

登場人物の過剰な心理描写は抑え、
事件までのあらましが淡々と描かれています。

「キル・ユア・ダーリン」で注目された
ルシアン・カーとアレン・ギンズバーグは
本作ではこんな感じです。

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この時アレン18歳、ルシアン19歳。たぶん40年代のハイティーンはこんなもの。

「キル・ユア・ダーリン」の2人と比べると
やや老けすぎな気もしないではありませんが、
雰囲気は良く似ています。

公開年は12年ほど離れていますので
「キル・ユア・ダーリン」の2人の方が
若く見えるのは今流行(?)の「若さ7掛け」なのでしょう。

バイセクシャルを公言している
バロウズにも焦点が置かれているため
一見すると、「キル・ユア・ダーリン」以上に
BL的展開を期待されるかもしれませんが、
この映画ではBL特有のファンタジーを
ことごとく崩していきます。

残念ながら現実なんてこんなもんです。

まずは、「キル・ユア・ダーリン」同様
ルシアンとデイヴの関係はBL用語で云うところの
「年上攻×ノンケ誘い受」となるのですが、
ファンタジー要素は排除しているので
いくら年上が迫ったところでノンケはノンケ。

デイブとアレンの双方から思いを寄せられる
万年モテ期のルシアンですが、
同性と恋愛する気なんてサラサラありません。

しかし、相手の恋心は最大限に利用します。

散々気を持たせておきながら
「俺、ノンケなんで交際はちょっと…。」
と、のらりくらりと振った結果、
ストーカーと変貌したデイヴにいつ襲われるか判らない
危険性が生じ、
戦時中であるにも関わらず、友人のケルアックを誘い
商船で解放前のフランスに逃亡しようとして
失敗するルシアン。

普通ならば、渡航ができなかった場合
次の機会までデイヴに見つからぬよう身を隠すものですが、
逃げたいくらいに嫌っている割には
デイヴが出入りしている仲間たちとの溜まり場に
ケルアックと一緒にのこのこ戻ってきます。

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なんでデイヴと鉢合わせする可能性の高い場所に帰ってくんねん!

デイヴの方は
ルシアンは戻ってきたことに喜びを隠せないのと同時に
あからさまに避けられていることを痛感し
そのアンビバレンツに苦しむこととなります。

それは周りから見ても明らかです。

流石にバロウズが警告しますが、

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どちらかと云うとバロウズは普段ルシアンより年の近いデイブとつるんでいます。

変なところで楽天家のルシアンは聞く耳を持たず、
迂闊にデイヴと一緒に外へ買い出しに出かけて

その数時間後、




デイブを殺して手ぶらで帰ってきました。


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あいたたたたた。いろんな意味であいたたたたた。

ルシアンへの劣情を抑えきれなかったデイヴが
いきなり押し倒してきたので
たまたま持っていた小刀で刺してしまったそうです。
しかも何度も。

「俺このままじゃ電気イスになっちゃうよ!」
とわめきたてる身勝手な未成年に頭を抱える仲間たち…。

ここまでが
「そしてカバたちはタンクで茹で死に」
に書かれている内容です。

巷にあふれるBL小説ならば
デイヴに襲われたルシアンがろくな抵抗もしないで
そのまま流されるか、
傷ついたルシアンをアレンが慰めて
そのまま流されるか
とにかく官能シーンにもっていきたいため
そのまま流される廉い展開(一例)にもっていきかねませんが、
現実はそう簡単ではありません。

そういう意味では
ダニエル・ラドクリフ君が渾身の演技で
やりきった「キル・ユア・ダーリン」恐るべし、です。

そして、舞台は
それから7年後の1951年のメキシコに移ります。

殺人事件の前ルシアンがやたら口説いていた
ジョーン・ヴォルマーは
バロウズと結婚し2人の子供(一女一男)とともに
メキシコで暮らしていました。

そこで、刑期をとっくの昔に終え
UPI通信社の記者として就職先が決まったルシアンが
アレンを伴って訪ねてきます。

ところが、バロウズは彼らとの再会を避けるように
契約中の男愛人リー(サム・トラメル)と
グアテマラ旅行へと旅立ってしまい
残されたジョーンはすっかりお冠。

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すれ違う夫婦。夫の前では常に読書中の妻。目を合わそうともしません。

当てつけに自分も知り合いに子供たちを預けると
ルシアンたちと火山見物に旅立つことにします。

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就職内定者と売れない詩人と専業主婦の旅なので基本野宿です。

この機会に、バロウズからジョーンを取り戻そう
と目論むルシアン。

そして、そのルシアンへの熱い思いを押し殺し
今考えられる最良の関係である「親友」と云う立場を
キープせんがため、ルシアンがジョーンを口説くのを
指を咥えて見まもるしかないアレン。

紅一点のジョーンはと云うと、
彼女は彼女なりに夫バロウズを愛しているため
ルシアンのことは憎からず思っているものの
簡単には誘いに乗りません。

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ムードに流され一緒に寝ても翌朝にはキスさえ拒む自称貞淑な妻。

一方、バロウズの方もリーとはどうにも上手くいかず
旅行中はイライラさせられっぱなし。

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契約を盾にちょっと触ることさえ許してもらえません。

意趣晴らしにこんなことを云ってしまうバロウズですが、
結構本気です。

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心は女を愛し身体は男を愛するなんてリーが愛想を尽かすのも無理ありません。

火山見物旅行の終わりにルシアン(とアレン)は
ジョーンだけでもアメリカに戻るよう薦めますが、
子供たちのことをどうするか訊かれ
一瞬云い澱んだのが原因か
結局、2人は来た時の人数のまま帰国することになります。

どうも全員が煮え切らないのです。
なんだか「みんな、片思い」なのです。

4人が4人、思いの強さに反して
強く行動に出られないのは
デイヴの事件がルシアンだけでなく
彼ら全員の心に少なからず影を落としているためでしょう。

ルシアンとアレンが帰国したのを見計らって
帰宅するバロウズ。

その夜ベッドでジョーンが夜の営みに挑みますが、
背後から抱きつくすことしか許してもらえませんでした。

この夫婦の危機はそれだけでなく
金銭的なものもあり
碌に仕事もない上に
愛人との不倫旅行にないお金をつぎ込み
麻薬所持の罪から米国に戻ることもできない
バロウズは、家賃を工面するため
普段から肌身離さず所持している拳銃を売ることを決心します。

ジョーンも同行して
銃の買い手に逢いに行くとそこにいたのは
リーでした。

敵愾心バリバリのジョーンとリー。
険悪なムードに場を和まそうとバロウズは
ジョーンに「ウィリアムテル」ごっこを披露することを
提案します。

この事件は私でも聞きかじったことがあるほど
有名な事件ですが、
…え〜っと、今更なんですが、
バロウズのファーストネームが「ウィリアム」に
因んでのお遊びなのでしょうか?

それはともかく
「ごっこ」とか云っている割には
銃口がショットグラスではなく
ジョーンの眉間を狙っているように見えます。

それだけではなく
想像していたよりも距離が近いのにも驚きました。

グラスではなく妻を撃つ気バリバリに見えるのですが…。

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近い近い。

引鉄を引く一瞬、さらに銃口を数ミリ下に向けるバロウズ。
え?確信犯ですか?

当然、銃声の後には頭部から流血し
床に崩れ落ちるジョーンの姿が…。

後のバロウズのコメントがこれ↓です。

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おい!

現実なんてものはそんなものです。

ルシアンもですが、バロウズも
とても優秀な弁護士を雇った結果、
犯した罪の割には大した刑罰には問われませんでした。

これは
デイブとジョーンという2人の人間の死を踏み台にして
ビートニクが誕生したというお話です。

こういう映画を見ると、
ド派手なB級アクションより殺人を犯す罪の重さが
どんどん軽くなるような気がします。

ある意味真実は小説より奇なりということなのでしょう。







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