2014/10/9

レツゴー三匹  MOVIE

本日の映画は

10月に入ってから
WOWOWとスターチャンネルの
無料放送「メガヒット劇場」「最新メガヒット大特集!」番宣で
腐るほど予告編を見せられている

「ローン・レンジャー」

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です。

あんまり宣伝しているものだから
つい魔がさしてGEOでDVDを借りてきました。

本来は、劇場公開中に見に行くつもりでいたのですが、
今回DVD旧作7泊8日でレンタルする迄
先延ばしにしてしまったのは
予告編の最初に現れるこれ↓のせいです。

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これがこの映画最大にして最強のアピールポイントです。

パイレーツ・オブ・カリビアン。

生憎私は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズは
2作目に当たる「デッドマンズ・チェスト」までしか見ておりません。

理由は、
「デッドマンズ・チェスト」が
3作目にあたる「ワールド・エンド」と
同時製作されているとは露知らず
いそいそと劇場に見に行き、
いよいよ「俺たちの戦いはこれからだ!! 」
と、見ているこちらまでは熱くなったところで
いきなり映画が「to be continued」。

一瞬何が起こったのか判らず
「ああ、これって
『続きは(改めて後日)劇場で』
と云うことなのね。」
と、気づき、一気に続きを見る気を失ったからです。

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その時の私の気持ちはこんなんでした。

まあ、第2作と第3作が続き物と知らなかった
私が全面的に悪いのですが…。

おかげで記憶がすっかり飛んでしまい
デッドマンズ・チェスト」は
「丸い檻で転がりながら逃亡」と云うシーンしか
覚えておりません。

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こういう檻なのでタンクタンクロー方式で走って逃げることができます。

「ワールド・エンド」を見る気力も失いました。

そんなわけでかなり後回しにしてしまった
「ローン・レンジャー」。

名前こそ知ってはいましたが、
ラジオドラマはおろか
テレビドラマ版も見たこともない世代です。

基礎知識として知っているのは
・ウィリアム・テル序曲
・ハイヨー、シルバー!
・白人嘘つき。インディアン嘘つかない。
以上3点。

予告編でやたら耳にすることとなった
「キモサベ」と云う言葉も
今回の映画化を通して初めて知りました。

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なんと映画ではローン・レンジャー本人は「キモサベ」の本当の意味を知りません。

だからでしょうか?
そのような白紙に近い状態で見たせいか
「本国アメリカでは大コケするほど酷評された」
と噂された映画にしては意外なほど楽しかったです。

本作は上映時間が150分もあり
その長さが不評の一因ともなっているそうですが、
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ4作を
一気見するよりはこれ1本見る方が
「あなたの貴重なお時間」を有効に使えるような気がします。

続編ができる心配のないエンディングも
ステキですね。

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興行成績の如何を問わずここで終わる以上続編はないと見做してよいでしょう。

と云っても後何年(何十年)かすれば
またリブートされるかもしれませんが…。

これまでも何度となく映像化され
今や「鞍馬天狗」並みの「懐かしのヒーロー」でもある
本作の主人公の特徴は「不殺主義」です。

これは古き良き時代のアメコミヒーローならば
誰しもが持っていた美徳です。

しかし、時代は変わりました。




その辺の民間人でさえ
相手が極悪非道な大悪党と公的に認められていれば
特に正当防衛でなくとも
銃をぶっ放し殺害しても容認される時代です。

だってそれが正義ですから。

ところが、ここに来て
原作では不殺主義を通していようとも
映画になると、あのスーパーマンやバットマンですら
ヒーローによる殺人描写が入ってしまう世知辛い現在、
珍しくヘタレが理由で
(もちろん建前では「法による裁きが…」と言い訳しております)
銃も持たず、無暗に人を殺さないヒーローが登場しました。

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その正体は理想だけは高いインテリ青年です。銃の扱い方も知りません。

今よりも遥かに多くの人々が銃1つで
あらゆる揉め事を解決していた時代に
銃ではなく法律で正義を貫こうとしているのが
この映画のヒーローです。

その名はローン・レンジャー。
劇中一度も自分からはそう名乗ったわけでもなのに
勝手に「ローン・レンジャー」と呼ばれることになった
普段着にマスクをつけただけのお手製ヒーローです。

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そんな彼と比べるとこんな愛くるしいウサギの方が凶暴です。

「行動するときは常にトント同伴なのに
何故ローン(Lone)なんですか?」
という素朴な疑問はさておき
いくら戦前からのヒーローとは云え
人とセンスがずれているのはその衣装を見れば一目瞭然。

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そんな彼のおしゃれアイテム、真っ白なカウボーイハット。明らかに浮いておる。

本人は「正義のヒーロー」もしくは
「ローン・ライダー」と呼ばれたいみたいですが、
それって「ローン・レンジャー」と五十歩百歩?
ネーミングセンスすら一線を画するローン・レンジャー。

時代が時代だけに
「銃を捨てて法を持とう」
と云う彼の信念もまた周りから呆れられるだけです。

なんだかいろいろマイノリティー。

しかし、そんな彼がひとたび銃を手にするとあら不思議。

最悪悪党連中が生命を落とすこととなっても
それは「殺人」ではなく
何故か「業務上過失致死」か「不作為殺人」
となってしまうのです。

例えば、ローンレンジャーの策略で
たまたま悪党2人が乗っている2つの貨車が激突しようが

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この後中にいた2人がどうなったかは定かではありません。

たまたまラスボスの乗った汽車が
貨物ごと壊れゆく橋桁から落下しようが

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汽車もろとも川に落ちた人もいますが、その後の消息は不明です。

これらは「殺人」では断じてなく
「業務上過失致死」または「不作為殺人」なのです。

敵に銃を突き付けられたトントを救う時も
その銃を撃ち落としただけで満足してしまうのが
ローン・レンジャーと云うヒーローです。

他の映画なら迷わず相手を撃ち殺していることでしょう。

とにかく、彼は直接手を下すことはしません。

中には下手な鉄砲、わざと外して撃ったのに
銃弾はピタゴラ装置的な経路を辿り
結果的に悪党を2人まとめて殺してしまうなんてことも。

殺意がないのですから、
これも今の日本の法律に照らし合わせば
殺人罪ではなく傷害致死罪なのです。

しかも映画の演出上(子供も見る映画だから?(*)
悪党連中の生死の程は明確に映し出されていません。

同じように制御不能な貨車に押しつぶされそうになっても
銃で胸を撃たれて蘇生したところを石で殴られても
爆風に煽られ水中に吹き飛ばされても
ローン・レンジャーの方はそのたびに
ぴんぴんとしているわけですから
案外彼らもどこかで生き延びているかもしれません。

死体がないって云うのはそういうことでしょ?
(続編への布石だったらどうしましょ?)

さて、本作はたまたま
「西部開拓時代」という見世物小屋に入り込んだ
少年(メイソン・クック)が

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俺たちスーパーマジシャン」にも出ていたメイソン・クック君。

資料として展示されている老いたトント(ジョニー・デップ)から
聞かされる昔語りと云う形で進みます。

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そろそろ特殊メイクをしていないジョニー・デップを見たいものです。

以降150分もかけて
主人公の若き検事ジョン・リード(アーミー・ハマー)が
いかなる経緯を経てローン・レンジャーとなり
劇中では誰からも「悪霊ハンター」などと呼ばれていない
先住民トントとバディを組むかという
ヒーロー誕生譚を長々と描かれるのですが、
語り手がトントである以上、
本来主人公たるローン・レンジャーことジョン・リードを押さえて
相棒のトントがでしゃばってくることになります。

劇場公開後、見た人からは
「主人公に華がない。」
と、陰口を叩かれているジョン・リードですが、
それもそのはず
本作の映画化に大きく貢献したジョニー・デップの意向もあり
この映画の主役は
ローン・レンジャーではなく相棒のトントなのです。

ジョニー・デップ自身公言しているのですから
ジョン・リードに華がないのも当たり前。

トント役のジョニー・デップがそう希望する以上
誰も反対できなかったのでしょう。

おかげでジョン・リードの方は
甥に当たるブリット・リードが
映画「グリーン・ホーネット」(2011)で
これと云った目立った活躍がなかったのと同様

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裏設定によるとこの子が後のグリーン・ホーネットなんだとか。

タイトル・ロールらしからぬ地味な主人公となっています。

自分なりの正義を貫こうをするたびに
裏切られ挫折し
さらには観客からは
「前半と終盤は良いけど中盤の展開はダレる」と罵られ…。

実兄の死体を弄ぶような悪党を前にしても
「殺さず」の誓いを護るような主人公が
観客の心を掴めないのも仕方ないことなのかもしれません。

殊映画においては
観客は法による裁きなんて期待していなくて
できれば悪人が壮絶な死を迎えることで
溜飲を下げたいのですから
直接成敗できないヒーローなどお呼びではないのです。

ただのヘタレ扱いされても仕方がありません。

スター・チャンネルの番組紹介で
冷たい川の中での演技も
「念願の主演だから」と頑張っていたアーミー・ハマーのことを
思うと涙を禁じ得ません。

実兄に恋人を奪われただけでなく
相棒に主役の座を奪われたジョン・リードですが、
私は嫌いではありません。

トントとのゆるい会話のやり取りも
結構好きです。

この2人にかかると
あの名セリフもスローテンポな漫才に…

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テレビドラマを見たことがない人も何故か知っている名セリフ。

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すかさずツッコみを入れるトント。

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しょんぼり。

2人顔を合わせると
こんな感じのゆるい掛け合い漫才しかしていない
ローン・レンジャーとトント。

この2人と比べると頼れる第3の仲間シルバーが
見るからにまぬけづらなのもいいですね。

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トントからはバカもしくは気狂い扱いされていますが、仲間内では最も有能です。

この2人と1匹のトリオが話の流れを止めて
やたら上映時間を引き延ばしているところもありますが
映画史に残るラスト11分だけではなく
いろいろ頑張っている映画です。

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実際に映像が止まったりもします。

老いたトントが子供に聞かせる話の初めに出てきた
意味不明のエピソードが
後々ちゃんとつながるのも私が好きです。

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冒頭の銀行強盗の話がラスト11分に繋がるとは…。しかし何ゆえ金庫に爆薬?

あ、もちろん
ヘレナ・ボナム=カーター演じるレッド・ハリントンも
良かったです。
主人公ばかりかヒロインにも華がなかった分、
女性の中ではひときわ輝いていましたね。

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なんかこの人NHKドラマにおける濱田マリと同じような使われ方してますね。

それにしても
あんな白塗りでも老けメイクでもジョニー・デップは
判るのに
絵に描いたような悪役ブッチが
ウィリアム・フィクナーだとはエンドロール見るまで
気が付きませんでした。

ちょっとショック。


(*)その割にはアメリカ軍が誤報を受けて先住民を大量虐殺するというシーンがあります。
アメリカの歴史を知るうえで重要なシーンですのでこちらは残酷極まりなくしっかり描いています。
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