2014/8/25

解かれることを望まない秘密だってあるさ  MOVIE

本日の映画は
名前を知っている人は多いけれど
意外と知られてない
エドガー・アラン・ポー(享年40歳)の晩年を描いた

「推理作家ポー 最期の5日間」

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です。

エドガー・アラン・ポーというと
「アッシャー家の崩壊」「黒猫」、
そして初の推理小説と云われる「モルグ街の殺人」が
有名ですが、
実際に読んだことがあるのは
「黒猫」と「モルグ街の殺人」くらいでしょうか?

それも小学生の頃、
学校の図書室に入荷された
小学生向けに翻訳された読み物でしか読んでいないため

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私はこれで読みました。「推理・探偵傑作シリーズ4 モルグ街の殺人事件」

事件の概要は全く記憶がなく
あるのは
「犯人はオランウータン!」
という衝撃的なオチだけという体たらくぶりです。

世界初の推理小説の犯人がオランウータンって
なんだそれ?

しかし、ポーがいなければ
コナン・ドイルも江戸川乱歩もこの世に存在しえなかっただろう
と、云われるくらい偉い人なのです。

この映画を見る限りはそんなふうに見えないかもしれませんが…。






映画は、邦題どおり
エドガー・アラン・ポーが謎の死を遂げるまでの
5日間の出来事を描いています。

ただし、映画の中のポーは
自身を推理作家より詩人として評価しているようです。

そのためか、原題の「The Raven」(=大鴉)は
エドガー・アラン・ポーが
1845年1月29日に発表した物語詩のタイトルをそのまま流用。

死を予感させる大鴉が
この映画のキーアイテムとなっております。

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「死者を悼む、終わりなき追憶」の象徴としても大鴉。

最もお手軽な百科事典「wikipedia」で
エドガー・アラン・ポーの経歴を見てみますと

「1849年10月3日、ポーはライアン区第4投票所にあたる『グース・サージャンツ酒場』にて異常な泥酔状態に陥っているところを旧知の文学者にたまたま発見され、ただちにワシントン・カレッジ病院に担ぎ込まれたが、4日間の危篤状態が続いたのち、1849年10月7日早朝5時に帰らぬ人となった。その間ポーは理路整然とした会話ができる状態でなく、なぜそのような場所で、そのような状態に陥っていたのかは誰にもわからないままとなった。その上奇妙なことに、ポーは発見されたとき他人の服を着せられており、また死の前夜には『レイノルズ』という名を繰り返し呼んでいたが、それが誰を指しているのかも分からなかった。」

と、記述されており、その史実を踏まえて
空想の翼を広げて作られたのがこの映画です。

この時、ポーは
青年時代の恋人で未亡人となっていたエルマイラ・ロイスター
(3人の子持ち)との結婚が決まっており、
自分の選集の出版準備のためニューヨークに行く道中
寄港したボルティモアに数日間滞在し、その地で亡くなっています。

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冒頭、このようなテロップで始まるので映画がどこに行きつくのかは丸判り。

ですので、クライマックスには
ポー(ジョン・キューザック)がどうなっているかを
知ったうえで映画を見ることになります。

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こうなります。

これは多くのミステリーファンが忌み嫌う
「推理小説を結末から読む」ようなものです。

映画の初っ端から
「犯人はオランウータン!」
と、宣告されたような気分です。

では、何故ポーが死ぬことになったのか?

この映画の肝はまさにそこしかありません。

1849年10月、ボルチモアで
血まみれになった母娘の奇妙な遺体が発見されます。
捜査に当たった
エメット・フィールズ警視(ルーク・エヴァンズ)は
遺体の様子や、現場の窓に仕掛けられたバネ細工などから
この殺人が作家エドガー・アラン・ポーの小説
「モルグ街の殺人」
を模倣したものだと気が付きます。

そこで、フィールズ警視は
ボルチモアに滞在中のポーの身柄を確保。

しかし、その後もポーの小説を真似た殺人事件が
立て続けに起こり
やがて、犯人はポーの婚約者である
エミリー・ハミルトン(アリス・イヴ)を誘拐し
土に埋めた棺の中に監禁します。

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ヒロインが未亡人の年増女では様になりませんので変更しました。…っておい!

そのうえで、ポーに対し事件のことを小説にし
新聞に載せるよう強要する犯人。

果たして犯人は誰か?
そして、その目的は?
ポーとフィールズ警視は無事にエミリーを
救出できるのでしょうか?


犯人は相当なポーのファンで
手口は全てポーの小説から引用し
殺人現場にはポー(とその読者)にだけ判るヒントを残して
推理したポーが自分に近づいてくることに
得も言われぬ喜びを見出しています。

小説に忠実に殺す相手や道具を用意する犯人、
時にはつい力が入りすぎちゃって
「いったいどこからそんな資金が…」
と云う大掛かりな仕掛けも出てきます。

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あったものを再利用したというのなら元々何に使う道具なの、これ?

こんな仕掛け、個人の力だけでは用意するのは無理だろう
という無茶振りをかましてくれるものの
行き過ぎたファン心理はいつの時代も変わらぬもの。

ポーの知られざる死の真相を巡って
史実に沿って丁寧に作られている映画だとは思います。
そして、それゆえ
エドガー・アラン・ポーマニアがにやにやして
楽しむ内容となっており
私のような「モルグ街の殺人事件」しか
読んでいないような人間には到底太刀打ちできません。

正直、ポー役のジョン・キューザックにも思い入れがありませんので
(旧作に落ちるまでDVDを借りていなかったのはそのため)
もっぱら視線の先にあるのはフィールズ警視です。

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2人並ぶとどうしても目が向かって右に行ってしまう。

自民党が「殺人や自殺に関する表現の法規制」を促すような
ポーの小説を真似た連続殺人事件を担当する事になった
フィールズ警視。

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いつものことながら時代物の衣装が似合うルーク・エヴァンス。

ポーの方は犯人からのヒントを
自署の文章と照らし合わせ確認する為
警察に協力させられているだけですので
そこから犯人の次なる行動を推理するのは
もっぱら警視の役目です。

最初の密室殺人事件で
所轄の警官が誰一人目にも留めなかった
窓に仕掛けられたバネ細工に気が付き
そこからポーに行き着く観察力と記憶力。

あまり手際がいいので正直最初は
「ひょっとしてこの人が真犯人か?」
と、疑っていました。

重要参考人としてポーを呼び出してからは
彼の「良き理解者」に。

酒に溺れ女に溺れているようなポーを
しっかり支えていきます。

直前まで体を密着させダンスを踊っていたというのに
エミリーをまんまと真犯人に目の前でかっ浚われるポーとは
えらい違いです。

娘を誘拐されたハミルトン大佐が
「全てはポーの責任」と食って掛かった時も

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もうこっちが主役でいいじゃん。

と、丸くその場を収めるすフィールズ警視は警官の鏡ですね。

捜査中、真犯人の凶弾に倒れても不屈の精神で復活。

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警視の事件における執念に医者も若干引き気味です。

留守中真犯人に自宅を放火され、行く当てのないポーが
唯一頼れる相手として警視の元を訪ねるのも無理ありません。

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ペットのアライグマを抱えてアポなしで訪れたポーにこの対応。大人ですね。

その時、警視は自宅の書斎で
女性が密かにキュンとすることでも知られる腕まくりをしながら
事件関連の資料に片っ端から目を通していたのですが、
快く部屋を貸してくれます。

それなのに
その地道な捜査を目の当たりにしキレたポーは
あろうことか警視のデスクの台帳や時刻表を叩き落とし
片っ端から当り散らしてしまいます。

「一晩泊めて!」と真夜中に押しかけてきながら
何様なんでしょう、この主人公?

それから詳細は省きますが、約40分後
ポーが今際の際に残した「レイノルズ」と云う言葉の意味も
警視だけには伝わって事件は無事に解決します。

そんな終始ダンディで通したフィールズ警視でしたが、
途中からは部下のジョン・カントレル巡査
(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)の揉み上げ具合が
「リアルハンス(「アナと雪の女王」参照)だなあ。」
と、ちょっと目移りしてしまいました。

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劇中名前であまり呼ばれていなかったので陰でハンス巡査と呼んでおりました。

あの手の王子が実は姑息な卑怯者であることが
簡単に予想できるように
「この手の巡査はいずれは真犯人の手にかかって殉職ね。」
と、予測していたら案の定殉職してしまいます。

そんなハンスジョン・カントレル巡査でしたが、
殉職に至るまでの警視との絡みはちょっと良かったです。

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ハンス巡査の危機に駆け付ける警視。マント姿も恐ろしくお似合いです。

ただし、ポーとの関係性にも云えることですが、
もう少しなんですか?「萌え」?が欲しかったです。
この警察と重要参考人の差し障りのない関係も
良いことは良いのですが、
コンビものならコンビものならではの
「萌え」ってあるじゃないですか。

後、これだけは云っておきたい事があります。

それは、エンディングクレジットが
それまでの空気をぶち壊すような作りになっていて
一気に興醒めしてしまうということです。

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凝った作りですが、この作品向けではありません。

あれは、ないわ〜。

それを以て補う意味でか、DVDではレンタル専用でも
ボーナス・トラックが充実しています。

未公開シーンではフィールズ警視がポーの部屋を訪れて
初対面時の態度についての謝罪と世間話をするやり取りもあり
かなりのお得感。

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「結婚しているのか?」と聞かれて含みのある表情ではぐらかす警視。

返却直前に「メニュー」を見て
慌ててボーナス・トラックを再生して本当に良かったです。

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未公開シーンではハンス巡査が妻帯者であり28歳だったことも判ります。
 
 


…そういえばアライグマはどうなったのかしら?

 
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