2014/7/10

人は野球に夢を見る  MOVIE

本日の映画は

2003年アメリカで発売されベストセラーとなった
ノン・フィクション
「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」を
映画作りに並々ならぬ情熱を燃やし続けている
ハリウッドスター、ブラッド・ピットが(で)実写化した

「マネーボール」

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です。

製作のブラッド・ピットは俳優でもあるので
アメリカンリーグ西地区所属のプロ野球地チーム
オークランド・アスレチックスを率いる
GM(ゼネラルマネージャー)ビリー・ビーンを
演じています。

ブラッド・ピット製作・主演と云う
ビックバジェットだけに
公開前には予告編を目にする機会も多く




実際に今回DVDを見る前までは

「独自の経営理論に従い
年棒の安いコストパフォーマンスの優れた選手を集めることで
弱小チームの立て直しを図る中年スカウトマンの話」

と、勝手に想像していました。

ちなみに
「ビックバジェット」とは
製作費が1億ドルを越える規模の映画を指す言葉で
この映画の公式製作費は5千万ドル。
製作費5千万ドル前後の映画は「ブルー・チップ」、
2千万ドル前後の低予算作品は
「ロウ・バジェット」または「ポートフォリオ」
と呼ぶのだそうです。

ここに辿り着くまで
いろいろ勘違いしていることがありましたが、
一を聞いて十を知った気になる時ってありますよね。

それにしても
映画特有の専門用語は何故かくも多いのか…。

そして、
日本の配給会社にして見れば
ブラッド・ピット目当ての女性客にアピールしたいのに
ブラット・ピット本人は何故かくも
女性客が好みそうにない題材の映画ばかりを製作し
配給会社の頭を悩ませるのか…。



映画の始まりは
2001年10月15日
MLBアメリカンリーグのディビジョンシリーズ(地区シリーズ)
ヤンキース対アスレチックス 第5試合目
から。

この時、アスレチックスGMのビリー・ビーンは
この世に「マネー・ボール理論」が存在することを
まだ知りません。

「マネー・ボール理論」がその真の力を発揮するのは
次シーズン(=2002年)からのお話。

映画の原作本
「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」の
発行年が2003年ですので
「マネー・ボール理論」の元となる
セイバーメトリクス
(野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、
選手の評価や戦略を考える分析手法)
でチームを立て直した翌年には本が出版されたことになります。

たった1シーズンでの実証で
マネー・ボール理論は「成果あり」と見做されたわけですか…。

それってなんか凄くないですか?

ただし、この2001年の時点でさえ
アスレチックスというチームは
地区優勝を逃したものの後一歩のところで
リーグチャンピオンシップシリーズにコマを進めるくらい
実力あるプロ野球チームだったわけです。

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負けた…、と思うより先にブラピ年とったなあと思った瞬間。

要するに弱小チームなんかじゃないんですよ。

この話は弱小チームが
「マネー・ボール理論」と云う前代未聞の改革を行うことで
勝てるチームへと変貌し全米を驚愕される話じゃないのです。

じゃあ、そんな順調なアスレチックスが
何故、
「マネー・ボール理論」と云う怪しげな理論に手を出し
成功するか失敗するか判らない改革に
取り組むことになったかと云いますと

ぶっちゃけです。

それなりに実績を上げているアスレチックスの
最大にして致命的な問題点、
それがチームにお金が無いこと。

アスレチックスは
トレードによって有力選手を
獲得することもできないほど最貧乏チームだったのです。

当時のメジャーリーグ界では
「財力のある球団とそうでない球団の格差が広がり、
良い選手はことごとく金満球団へ引き抜かれる状況が続いて」
いるという
まるで日本の巨人軍のようなことがまかり通っていました。

ディビジョンシリーズで優勝を争った
ニューヨーク・ヤンキースと比べても
アスレチックスが用意できる総年棒は3分の1しかありません。

そんなわけでして、アスレチックスのトップ選手
ジョニー・デイモン、
ジェイソン・ジアンビ、
ジェイソン・イズリングハウゼンが
2001年のディビジョンシリーズ後、他のお金持ち球団に
ごっそり引き抜かれてしまいます。

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先立つものが無ければ何も始まりません。

これは痛いです。
球団にとっては致命傷です。
特にジアンビの移籍は手足をもがれたようなもの。

窮状に耐え兼ね、ビリーは車をブッ飛ばし
オーナーに直々に予算引き上げを交渉しに行きますが、

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しかし、オーナーは聞く耳をもたないばかりかとんだ無茶ぶりを…。

…馬の耳に念仏でした。

逆に
「削減された予算内で最高の新人を育てるのが
お前の仕事だろう。」
と叱られました。

それができれば苦労はしないって。

他のマネージャーはビリーほど危機感が無く
答えの出ない議論を重ねるだけで役に立ちません。

それなのに面倒なことは全部ビリーに押し付けてきます。

「『金は出さないが、優勝できる選手を集めろ。』
ってできるかバ〜カバ〜カ!!」
と心の中で毒づいても口も顔にも出ません。
だってビリー、いい年した大人ですから。

その分、
端整だったブラッド・ピットの顔には
心痛のあまり眉間と頬に皴が増えていき
みるみるうちにベニチオ・デル・トロ化していくのを
止めることができません。

追い詰められた結果
ビリーは他のマネージャーが想像だにしていなかった
人物をスカウトしてきます。

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誰これ?選手じゃないよね?

たまたま、トレードを持ちかけるために訪れた
クリーブランド・インディアンズで出逢った
イエール大学卒業の球団スタッフ、
ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)を
即日引き抜くビリー。

彼から
「同じお金を使うのなら選手より『勝利』を買え」
という新しい野球理論を掻い摘んで説明された
ビリーはそこに起死回生のヒントを見出し、
ピーターと二人三脚で根本からシフトの改革を始めます。

しかし、それは伝統を重んじる他のスタッフ
そして、これから1年間アスレチックスを率いる
アート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)にとって
決して受け入れることのできないものでした。

反発しあうビリーとハウ監督。

スタメンにいちいち口を出してくるビリーを
ハウ監督は無視し続けます。

セイバーメトリクスについての説明を
理解しようともせず頭から否定し、
その結果に連敗続きでもこれまでの戦略に固執するハウ監督に
イラつくのはビリーだけではありません。

見ているこっちもイライラ。

なにしろ、この映画の観客にとって
この不毛な争いは過去の出来事。
ビリーが推し進める理論が正しいことは
立証済みなのですから。

今後のアスレチックスの活躍を
「歴史上の出来事」として知っている観客は
ちっともビリーの云うことを訊かないハウ監督に
苛立ちを感じざるおえません。

とうとう、堪忍袋の緒が切れて
今回の改革の要となる出塁率が高い一塁手
スコット・ハッテバーグ(クリス・プラット)を
スタメン入りせんがため
ハウ監督お気に入りの一塁手を
他球団に放出してしまうビリー。

これにはハウ監督もお手上げです。

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ビリーの横暴なトレードに茫然となるハウ監督。
この映画では敵役ですが、実際は選手からは慕われていたそうです。


これを境にビリーの指示に口を出さなくなります。
ハウ監督としては「どうにでもなれ」と云う
気分だったのでしょう。

ところが、それ以来、アスレチックスは一気に快進撃。
あれよあれよという間に19連勝してしまいます。

にっくきハウ監督を黙らせることに成功したビリーは
調子に乗って
どんどん選手たちのトレーニングに口を挟むようになります。

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ビリーは元々野球選手だったので適格なアドバイスができます。

しかし、ロッカールームにずかずか入り込んでも
肝心の試合には一度も顔を出すことはないビリー。

彼にはひとつジンクスがあったのです。

どういうわけか
彼が観戦した試合は必ず負けてしまうのです。

そんな選手にも云えないジンクスを抱え
一度も観戦しないまま迎えた
ア・リーグ新記録となる20連勝をかけたロイヤルズ戦。

愛する一人娘に諭され
ビリーもこの試合だけはポリシーを曲げて
球場に足を運んだのですが、
彼が球場に到着した途端、
11−1で圧勝だった試合の流れがあからさまに変わります。

じわりじわりと点差を縮めていくロイヤルズ。

自らジンクスを破ったビリーは気が気ではありません。
彼の気持ちに寄り添ってきたこの映画の視聴者も
他人事ではありません。

よって、この試合がこの映画の中で
最も手汗握る試合となるのですが、
日本人でメジャーリーグに疎い私は
結果を知らないで見ていますが、
本場アメリカで見ているアメリカの人は
試合結果すでにご存知ですよね?

それだけでなくその後再び迎えたヤンキースとの
ディビジョンシリーズの結果も…。

人によっては、ディビジョンシリーズ後
「ボストン・レッドソックスから5年契約1250万ドルという高額のオファーを受けたビーンはこのオファーを快諾し、メジャー最高年俸のGMとなるはずだった。しかし、数日後に契約を自ら破棄した」ことも。

結末を知っているのを知らないのとでは
どのように違って見えるのでしょうか、この映画?

それはともあれ
高額のオファーを前にしたビリーが
自らの進退に迷いを感じた時
ピーターが彼に見せた
マイナーチームのメタボ気味の捕手が
バッターボックスに立つ映像とその解説が素敵です。

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だから野球は面白い。

もう30年ぐらい思い込んでいることですが、
野球を扱った映画にハズレなし!

選手や試合を中心に描かなくても
こんなに野球は面白いのです。

それにしても驚いたのは
シーズン中のトレードの多さ。

何あれ?

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BMの主な職務が電話番とは…。

これはと思う選手を獲得するためなら
現在チームに貢献している選手でもドンドン捨てて
よりチームに役立ちお金のかからない選手をスカウトしていきます。

日本では7月31日からレギュラーシーズン終了までは
トレード禁止期間と定められているので見慣れていない所為か
ビリーが小気味よく選手を切っていく姿に驚かされました。
(メジャーリーグも7月31日までトレード可能で
それ以降はウェーバー公示する必要があります)

日本からメジャーリーグに移籍する選手の
年俸を聞くたびにその現実味のない金額に
驚くやら羨むやらしてきましたが、
その裏はこんなにもヘビーなんですね!!
 


 
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