2014/4/19

デンマーク流「幸せの国」のつくりかた  MOVIE

本日のDVDは
邦題があまりに身も蓋もないような気がする

「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」

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です。

原題からして「En kongelig affære」
(直訳すると「王家の不倫」「王宮の秘め事」)

それにご丁寧に副題をつけているわけですが、
いつから日本では映画のタイトルに副題をつけるのが
主流となったのでしょう?

以前は「愛と欲望の〜」のお題で
邦題を一本仕立てあげるの好きですよね。

ためしに
Tsutaya online検索で
「愛と欲望の」を検索すると、出るわ出るわ

愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 タレアン(フランス映画1989年)
愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 マダム・タリアン(フランス映画1989年)
愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 ミラボー(フランス映画1989年)
愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 マリー・アントワネット(フランス映画1989年)
愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 テロワーニュ(フランス映画1989年)
愛と欲望の果てに ドレスの下のフランス革命 マラー(フランス映画1989年)
パンデモニアム/愛と欲望の館(オーストラリア映画1987年)
愛と欲望の彼方に(アメリカ映画1981年)
愛と欲望の銃弾(フランス・ドイツ・スイス共同映画1990年)
愛と欲望の街/上海セレナーデ(香港映画1990年)
ロリーヌ2000/愛と欲望の階段(イタリア映画1990年)
黒い果実 愛と欲望のはて(アメリカ映画1990年)
レディース・ゲーム 愛と欲望のダイ・ハード(アメリカ映画1990年)
愛と欲望の18才 ギャング(イタリア映画1991年)
愛と欲望の果て(フィンランド映画2001年)
カンヌ 愛と欲望の都(アメリカ映画2002年)
13 thirteen 愛と欲望の毛皮/妻の死の価値(アメリカ映画2006年)

ドラマDVDにも
野王〜愛と欲望の果て(韓国ドラマ2013年)
ボルジア家 愛と欲望の教皇一族(カナダドラマ2011年)

があるくらい「愛と欲望」は
邦題界の人気タイトルなのです。

上記のリストには
「ドレスの下でフランス革命」が6本ありますが
それぞれ別の映画です。
なんでも1989年はフランス革命200周年だそうで
そのためフランスで量産されたようです。
(いや、知らんけど)

1989年〜1990年を前後して
脈々と受け継がれる「愛と欲望」。

いつしかメインタイトルから離れても
副題として使用されることでしぶとく生き残っています。

その流れが行き着いた先がこの
「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」と云えましょう。
(いや、知らんけど)
 
 
 

また、この映画は、昨今流行の
「史実に基づいた映画」です。

youtubeの予告編の紹介文を
そのまま引用いたしますと

時は18世紀後半、精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世の侍医となった野心家のドイツ人ストルーエンセ。王の唯一の理解者であり、親友となる一方で彼は、孤独な王妃カロリーネの心も虜にし、禁断の恋に落ちる……。啓蒙思想を信奉する彼は、やがて国王の言動を操り、事実上の摂政として数々の改革を推し進めていくが、不満を募らせた保守派貴族たちは密かに政変を起こそうと画策していた…。欲望渦巻く宮廷の権力争いの行方、そして侍医と王妃の許されざる愛の結末とは?

と云う、デンマークでは超有名なスキャンダル事件を
事件後、国を追われ監禁状態にあったカロリーネが
息子フレデリク、娘ルイーセ・アウグスタに宛てて遺した手紙
と云う形で紹介されます。

そういえば
同じ不倫ドラマの金字塔「マディソン郡の橋」(原作)でも
この形式を取っていましたね。

デンマーク王とその王妃に取り入る民間出身の侍医
ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセを演じるのは
現在注目度の高い「北欧男子」の中でも
「北欧の至宝」と称される実力派マッツ・ミケルセンです。

某徳光和夫の甥御さんのせいもあり
うっかり「ミッツ・マケルセン」なんて覚え方をして
以降どうも矯正できないマッツ・ミケルセン。

そのマッツ・ミケルセンの魅力にメロメロになる
デンマーク王クリスチャン7世に
ミケル・ポー・フォルスガード。
ほぼ無名に近い若手俳優ですが、
統合失調症に悩まされる若き国王を演じ
この映画でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞しました。

そして、侍医と不倫を働くことになる
薄倖の王妃カロリーネ・マティルデには
スウェーデンの女優、アリシア・ビカンダー。

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横顔が大変美しいので正面から見ると少しがっかりすることに…。

撮影当時は若干23歳で、
15歳から23歳までのカロリーネ王妃を演じています。

史実ではカロリーネ王妃がデンマークに嫁いだ時
クリスチャン7世は17歳。即位仕立ての若造でした。

そして、ストルーエンセがクリスチャン7世と
お見知りおきになったのは30歳の時です。

マッツ・ミケルセン(当時46歳)ではちょっと無理があるような…。
ええ、ええ、素晴らしい演技でしたけども…。

本作だけでこの王室不倫事件に対するイメージを
固めてしまうと
ファザコン気味の若い王様夫妻が
臈長けた年長者である初老中年男性に
身も心も蕩かされ
一も二もなく懐いてしまったようにしか見えません。

まあ、干支一回り以上も離れていれば
立派に年長者でしょうけど
この映画の配役ですと、
ハイティーンばりばりのデンマーク王にとっては
「父親のような存在」
王妃には
「いろいろなことを教えてくれる素敵なオジサマ(…ロリコン?)」
という感じなんですよね。

物心ついた時から生まれた英国を離れ
デンマークに嫁ぐことが定められていたカロリーネの結婚は
本人が乙女チックな憧憬を抱きすぎていたため
期待外れもいいところで最初から波乱の連続でした。

初対面の印象も今一つ。
王宮入りでは王妃をそっちのけで出迎えの愛犬に駆け寄り
食事時にも王妃をそっちのけで食べるのに夢中。
しかも食べ方が汚い。
ピアノが得意なカロリーネが見事な演奏を披露すると
いきなり怒りだして彼女を罵倒。
さらに初夜のベッドで荒々しく扱われたことで
初日にしてカロリーネはクリスチャン7世に
すっかり心を閉ざしてしまいます。

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初夜だというのにムードも減ったくれもない国王に幼い王妃はドン引きです。

そして、カロリーネは国民待望のご懐妊を果たすと
「お役放免」とばかりに
一切クリスチャン7世を寝室に近づけようとしなくなります。

王妃の接近禁止命令の申立てに気を悪くしたクリスチャン7世は
意趣返しにカロリーネの侍女を馘にしたため
夫婦仲は拗れるばかりです。

そして、この「ボタンの掛け違い」は
生涯掛け直されることはありませんでした。

妻が常につんけんしているのでは
夫も家にいて面白いわけがありません。

こういう時、男は旅に出たくなるものです。

「帰宅拒否症」のサラリーマンとは違い
執務も家庭も同じ王宮であるデンマーク国王は
妻子を残して一人欧州遠征旅行に出ます。

その旅行先であるハンブルクで出逢ったのが
ドイツ人医師のストルーエンセでした。

禅問答ならぬシェイクスピア問答で意気投合。
「彼なら自分の孤独な魂を癒してくれる」
そう確信したクリスチャン7世は
ストルーエンセ医師をコペンハーゲンにお持ち帰りします。

実はストルーエンセは
政敵に嵌められ没落した啓蒙思想家の貴族
シャック・カール・ランツァウ伯爵と
エネヴォルト・ブラントが送り込んだ刺客でした。

刺客と云っても暗殺者ではなく
選挙で使われる方の刺客です。

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国王の信頼が深まるにつ入れ衣裳もみるみるうちに立派になっていきます。

ストルーエンセに与えられた任務はクリスチャン7世に取り入り
2人を再び王の側近に戻すことでした。

しかし、いったん王宮に潜り込んだ後は
ストルーエンセのターンとなります。

昼間は健全にクリスチャン7世を
野原に連れ出し遊び戯れ
(「戦国自衛隊」での伊庭三尉と上杉謙信ばりの追いかけっこを披露)
夜には性欲有り余る若き国王をいかがわしい娼館に案内し
王の信頼を堅固たるものとします。

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デンマークでは国王でも王宮からの出入り自由のようです。

そのため王妃の覚えが非常に悪かったのですが、
そこはそれ、小娘など一ひねり。
仮面舞踏会で1曲踊っただけで簡単に落ちました。

はじめての恋にすっかりのぼせ上がる若き王妃。

この様子はWikipediaで
「18歳になったばかりの若い王妃が、才気あふれる若い医師の手管にかかって虜になるのに時間はかからなかった」
と記されているものの、医師の方は
ちっとも「若い医師」に見えません。

しかしながら、ここは、経験豊かな中年医師の方が
絵的にも説得力があるというものです。

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危なっかしくて見てらんねえ!そのため視線が自然、胸毛の方に…

若い王妃は夫である国王とはすっかりご無沙汰なのに
機会さえあれば、自分の寝室に
ストルーエンセを招き入れるようになります。


…ちょっと無防備過ぎませんかね、王妃?
避妊とかしてないでしょう、この人。

生まれつき許嫁が用意されていたせいか
恋愛経験が非常に乏しく
それゆえ、国王との間にも大きな溝ができてしまった
ような王妃です。

うっかりストルーエンセの子供を妊娠しても
不思議ではなりませんし、案の定妊娠します。

ストルーエンセも仮にも本当にも医者なんだから
気を付けましょうよ。

夫との既成事実がないため
妊娠が判ってから慌てて国王をベッドに呼ぶ王妃様。

普通ならば、こんな付け焼刃なことをしても
妊娠から出産までの計算が合わず
この時点ですべてのことが白日の下に晒されても
不思議でないのですが、
国王は国王でちょっと抜けているので
「わ〜い!二人目だ!!でかしたぞ、妃!」
と、ことのほか喜んでくれ、なんとか事なきを得ます。

それほどまでに
ストルーエンセに対するクリスチャン7世の信頼は厚く
カロリーネ王妃への無関心ぶりがうかがえます。

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皇太子の天然痘種痘の結果を待つ3人。すかさず侍医の手を握ろうとする王。

なにしろ、クリスチャン7世は
普段カロリーネ王妃を「ママ」と呼んでいるのです。
家臣の前でもところ構わず。

そんな微妙な関係の3人でしたが、
啓蒙思想に影響され
デンマークを他のヨーロッパ諸国同様、いえそれ以上に
国民が住みよい国にしようという志だけは同じです。

常々、一般庶民の窮状を憂いていたストルーエンセは
国王の権限を以てして
私腹を肥やす枢密院や教会を議会から退けると
次々、新しい法律を施行します。

貴族の年金を減らすことで予算を確保すると
「乳幼児の予防接種」を敢行
「囚人に対する拷問を廃止」し
「全市民に対し大学を開放」すると
「出版の自由化」や
「検閲制度の廃止」
「孤児院の完成」などに手を付け
ほんの数か月で数百に及ぶ法案を通過させました。

これによってデンマークは飛躍的に成長することに。

しかし、それを快く思わない者もいるのです。
昔気質の政治家オーヴェ・ヘー=グルベアと
枢密院議長のベルンストルフは
クリスチャン7世の継母にあたる王太后を
味方につけると、デンマークを
再び貴族が住みよい旧体制に戻すべく
ストルーエンセの周りを嗅ぎまわり
カロリーネ王妃との不倫と云う格好の失脚ネタを手に入れます。

後はこのスキャンダルで民衆を煽るだけです。

ストルーエンセによってなされた改革は
民衆にとって有益なものが多かったのですが、
あまりに早いペースで変革されたため
国民がその変化についていけなかったことと
ストルーエンセ自身が
徐々にクリスチャン7世を蔑ろにし始めたこと
(映画ではこの辺の下剋上は穏便に描かれています)

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この映画では、王の権力を利用するより王猫可愛がるような描写が多目です。

そして、
ストルーエンセが異国人だったため
同じ異国人のカロリーネ王妃との不倫が一気に
ストルーエンセに対する反発に火をつけました。

おまけにストルーエンセの後ろ盾のなる
ランツァウ伯爵もクリスチャン7世も
後先のことを深く考えず、
グルベアが出したストルーエンセの逮捕状に
サインしてしまいます。

感情に任せ目先のことにだけ囚われると
取り返しのつかないことになってしまう
と云ういい例です。

「このままじゃドイツ人の侍医と
英国から来たバカ女にデンマークが乗っ取られるべ。
お可哀相な国王様をお助けするべさ。」
とばかりに
ストルーエンセの逮捕を促すデモに参加した民衆も
処刑場に集まり彼に罵声を浴びせた民衆も
これを境に貴族たちだけが甘い汁を吸う社会に逆戻り
自分たちの生活が元の木阿弥となるばかりか
より一層悪化することになることに気が付いていません。

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「私も民衆の一人だ」とストルーエンセの訴えも耳に届いていません。

これを
「愚民どもめ。」
と、云うのは簡単ですが、
我が身を振り返ると決してバカにはできません。

日本の昨今の政権交代を見ていても
この時代とさして変わっておりません。

一方、どこまでも能天気で
どこまでもストルーエンセが大好きな
クリスチャン7世が
史実とは違う意味で気の毒になってきます。

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ストルーエンセ最大のピンチを救うことでよりを戻そうとする若き王。

さらに気の毒なのは
巻き添えを食って一緒に処刑されたブラント君ですね。

処刑前にはこんな侮辱を国王から受けています。

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王からストルーエンセとのあらぬ疑いまでかけられるブラント君。

むしろ、クリスチャン7世の方が寝てるんじゃないの?

政治よりもストルーエンセに構ってもらいたいだけの
クリスチャン7世を引き離すのに
ストルーエンセが国王に
遊び相手として黒人少年の小姓を宛がったりするのを見ると
この映画の監督・脚本は
どちらかと云うと、この映画では
カロリーネ王妃よりもクリスチャン7世との
ロイヤル・アフェアにしたかったじゃないかと
云う良からぬ疑いが頭を持ち上げてきますけど、ま、いっか。

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国王の入浴をじっくりねっとり見守るストルーエンセ。ところで、浴槽狭くない?



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